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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の最終試験
174/228

174.

ナリアッテに聞きに行くのはいいとして情報が得られなかった場合、次はシェフのイグプリームさんとシノヤカさん辺り。

会えなければ、副団長のところだな。

「あれは、シェフのイグプリームさんでは?」

ヴォイドが教えてくれる。

良い目してる。

どうやら夕食準備後の休憩のようだ。

「お久しぶりです、イグプリームさん」

「あ、レイ。しばらくぶりだね」

行軍訓練の時にもらった乾物にはおおいに助けられたので礼を言い、イグプリームさんに教えられたコリュッリの店でイジャーフォ艦のナリメユリさんから伝言預かった旨を伝えた。

「え?あいつと会ったの?」

知り合いだったとは思わなかったらしく、かなり驚かれた。

「ええ、あの店で偶然お会いしまして」

「そうなんだ。それで、なんて言ってた?」

「今度飲みましょうと。料理について相談したいことがあるそうです。今は確か、どこの国かは忘れましたが、他国に行くとおっしゃっていたので、戻ってきてからの話だと思います」

「わかった。ありがとう。なんだろ。料理で迷うってあいつにしては珍しいな」

「新作か何かですかね?ああ、そうだ」

この際だから、食堂利用の件について聞いてみよう。

「仮訓練生用の食堂をこれから毎日使わせてほしいのですが、これは誰に許可をもらえば良いんでしょうか?食べる場所の一部だけお借りしたいんです」

使用目的を聞かれたので、同期会結成の経緯と活動内容について答えた。

「へぇ、そんなの作ったんだ。……わかった。そのかわりちょっと頼みたい事というか、お願いというかあるんだけど」

「内容にもよりますが、いいですよ」

「俺も料理の腕を磨きたいんだけど、城の調理場は私用で使えなくてさ。で、前々から訓練生用の食堂に目をつけてたんだよ。で、ちょっと便乗させてもらいたいなぁと思って」

「私たちは構わないです。調理場は使わないですし」

「よし、おそらく許可は料理長と騎士団の偉いさんにもらわないといけないんじゃないかな?あの建物自体は騎士団の管轄だし。俺は料理長のほうに使用許可をとっておくから、レイは騎士団のほうを頼んでいいか?」

あ、なるほど。

料理長のほうの許可は取れるけど、騎士団の使用許可が今まで取りにくかったんだな。

私の提案は渡りに船だったわけだ。

「わかりました。そうします。よろしくお願いします」

「こちらこそ」

イグプリームさんと別れた後、ナリアッテのところに直行する。

知りたい情報は大体得たので、会わなくてもいいんだけど、合格した事だけは知らせたい。

なので寄り道。

寄り道したら、満面の笑みで出迎えられた。

「まぁ、ルイ様。合格おめでとうございます。それでどちらの隊に決定されたのでしょうか?」

「11番隊だよ」

「当然ですわね」

誇らしげに言うナリアッテには悪いが、あれはクジだ。

「あ、いや、実は……」

厄介払いのたらいまわしの挙句のクジ引きで、クジ運の悪かった11番隊の人がはずれを引いた結果だと心苦しいながらも伝えた。

「あら、私はその方、当たりクジだと思いますわ」

「俺もそう思いますが」

ヴォイドもナリアッテに追随する。

いや、どう考えてもはずれだと思うが。

しかしクジ云々よりも問題は、11番隊全体の私に対する低評価だ。

長い目で見て結果が当たりになったとしても、そこに至るまでがやばい道のりだと思う。

出来そこないのノンキャリに、どう考えても居場所があるとは思えないんだが……

「ははは、2人ともありがとう。ところで確認だけどヴォイドって11番隊でいいの?」

「はい、引き続き護衛をと言われておりますので」

「従騎士?」

「はい」

これにはナリアッテが盛大に驚いていた。

近衞騎士が従騎士となるなんてありえない話なのだそうだ。

キャリア組超エリートから超雑用係へってか。

何も事情を知らない人から見たら、いったい何の不祥事を起こしたとか思われるんだろうな。

大丈夫かな?

ヴォイド。

「一応新しい名前をもらいました。これからはヴォイド=サドロチューラとなります」

「うっかり名前を呼んでも大丈夫な感じだね。隊長クラスは任務内容を?」

「いいえ。知りません。ですがお互い顔の面識がありますので、内容を話さずに説明しておきました」

え?

どうやって……?

あ……

もしかして、言葉での説明ではないかもしれない……

「快く返事をいただけましたよ」

「あはははは」

思わず乾いた笑いが出た。

ウィルの件もあるので、少し心配だ。

トラウマになっていなければいいが、その隊長。

「それでしたら、従騎士としてどのようにしてルイ様をお守りするおつもり?」

ナリアッテが厳しい口調でヴォイドを問い詰める。

「そうだわ、あなたが、騎士となり従騎士としてルイ様をお側におけば宜しいのではありません?」

「それは……」

確かに1番すっきりはしているが、おそらくそれが出来ない事情でもあったのだろう。

実力のある隊にわざわざ近衞が編入する。

それだけでも、悪目立ちする。

さらに、火種になるだろう。

そんなところに私がヴォイドの従騎士となったら、周囲の部隊から見た場合狭量な措置だと非難されそうだ。

プライドの高い集団が、それをよしとするわけが無いからなぁ。

というような事を2人に話してみた。

「そう……ですわね」

あまりナリアッテは納得していないようだ。

「そうなると、ルイ様と離れ離れになる可能性があるのですね?」

ヴォイドが頷く。

「騎士と従騎士だと行動範囲が違うが、従騎士同士だと重なる事が多い。そのほうが逆に守りやすい」

なるほどね。

そこらへんの調整はうまくしてそうだな。

ヴォイドの顔を見てそう思った。

「さて、ナリアッテそろそろ行くよ。副団長に会わなきゃいけないから」

「先触れを出しておきましょうか?」

「いや、事前に俺が出しておいた」

いつの間に。

気が利く。

助かった。

と思ったらノックがなる。

誰かと問うと副団長だった。

タイミングよすぎ。

「怪我してる奴にこいなんて言えねぇよ」

わざわざ来てくれたらしい。

すれ違いになるとは思わなかったのだろうか?

「勘だ」

以外と野性的だな、副団長。

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