167.
部屋に戻ると満面の笑顔でナリアッテに出迎えられた。
「とうとう殿下とお会いになられたのですね」
ル・レイ会が絡むとどうしてこんなに元気なんだろう。
それに情報が早い。
さらに笑顔が倍。
「えーと、確認するけど彼女がロイミオ王女殿下でいいのかな?」
「はい。早速召集を受けましたわ。なにが起るか楽しみでなりません」
頼む私はおもちゃじゃない。
「お手柔らかにお願いします……」
今からものすごく不安でならないのだが、今はその事より今後の事だ。
実は最終試験後の結果がまだきていないのだ。
夕食後にでも担当教官のところへ押しかけるか。
その前に皆にでも会いにいくか。
出歩く許可は貰っているし。
しかし、まだ皆訓練中だろうか?
のぞくだけのぞいてこよう。
宿舎に来ると人の気配はするものの、人が少ない。
やはり訓練中?
自分の部屋にいくとジェイだけがいた。
「あ、レイ!」
「ジェイ、1人?」
「10日間休暇もらったから、ウィルは家に帰ってる。レイはもう怪我大丈夫?」
「先生が少しなら動いていいって」
「倒れたときはびっくりしたよ。ユイクル教官も担当教官もレイの様子何も教えてくれなくてさ。自宅待機とだけ聞いた。あ、そうだ。動けるようになったら担当教官のところへ来いって伝言あずかってる」
「そうか、心配かけたなジェイ。担当教官の件教えてくれてありがとう」
そういって、久しぶりにさわり心地のいい髪を撫で回した。
癒されるわ。
「あいかわらず子供扱いするよな。もう、慣れたけど」
「レイ、そろそろやめてあげたほうが……」
「あ、ごめん」
途中考え事をしてしまった。
「担当教官の件は恐らく合否の事だと思う。1人1人担当教官に呼ばれて、合否と配属先教えてもらったから。レイ途中で倒れたけど、大丈夫だよな?ユイクル教官とやってた時結構いい線までいってたし、何よりなんていうか……綺麗だった」
綺麗?
何が?
「ああ、それは判ります。洗練されているとあそこまで剣術は美しくなるものなんですね」
「そうそう。思わず見とれるというか、ユイクル教官も恐らく見とれてたよ。もっと見てたい感じだった」
「あはは……」
どう反応すればいいのやら。
「ええ、何度見てもいいものですね」
「うわ。ヴォイド何回も見てるなんてズルイや」
「あ、あぁ、そろそろ担当教官の所へいこうかな?」
無理やり話題を切る。
いたたまれないから。
「あ、そうだね。合否気になるもんね。俺も一緒にいくわ」
で、来ました担当教官の部屋。
「あ?あぁ、そうか。すまん、怪我で自宅待機中だったな。伝言したのを忘れていたよ」
忘れるなよ。
「ふむ。まぁ、座れや。それから他の奴は出ろ」
椅子を勧められたので座る。
ヴォイドとジェイが出て行った。
出て行き際2人の舌打ちがシンクロしていたのが面白かった。