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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者の最終試験
162/228

162.

「おい!」

誰だよ体ゆすってる奴。

うるさいな。

「うるさい、寝かせろって」

余りにしつこいので、思わず言ってしまった。

本気で眠いんだって。

目もあかないし。

「うるさいだと!?まぁいい、今から医務室へ運ぶ。そのままおとなしくしていろ」

この声は確か……

駄目、眠すぎて思考がまとまらない。

それにしても、医務室って何で?

ああ、怪我しているからか。

腕のやつ、結構はいってたからなぁ。

出血もあったし。

止血はしたから、なんとかなると思ってたんだけど、甘かったのか。

あぁ、胸のほうの傷が開いたのも影響しているかもしれない。

手当てきちんとしてくれるならありがたいが……

ん?

医務室?

手当て?

医務室で手当て!?

やばい!

一気に目が覚めた。

手当てとか無理!

バレる。

「おい、こら暴れるな!落ちたらどうする!?」

落とす?

よく見ると宙に浮いていた。

んなわけない。

ただ抱えられているだけだ。

ユイクル教官に。

かの有名な抱かれ方で。

何でこの持ち方なんだ。

しかも一人で運んでるし。

普通に担架来るまで待てばよかったのでは?

いかん何故かイライラしてる。

落ち着かねば。

それにしても寒いな。

冬の寒さと言うよりかは、貧血で体温低下を起こしている感じだ。

そこまで酷かったのだろうか?

ん?

あのさわり心地のよさそうな髪の持ち主は、ジェイだな。

あれで隠れてるつもりか?

体1/3出てるよ。

何故尾行の形をとっているのか疑問だが。

手を振ってみると、嬉しそうに振り返してた。

駄目だろう。

でも、なんだか和んだ。

後ろからついてきている人数は4人プラス4人ってところか。

いつものメンバーに違う気配がちらほら。

「あのー、意識もはっきりしていますので、歩きます」

さすがに皆の前でこれは無いわ。

「お前は怪我人だ。怪我をさせた自分が運ぶのは当然だ」

「あ、いや、だから自分で歩けるのですが」

頼むから下ろしてくれ。

腰が痛いんだ。

「余計出血したらどうする。大人しくしていろ」

「何も1人で運ばなくても。他の人にでも手伝って貰えば」

「お前は、ば……!はぁ」

人の顔を見て溜息つくなよ。

失礼な。

「周りの者がこられて困るのはお前のほうではないのか?」

どういうことだ?

「はぁ。まあいい。どういうことなのか説明は治療が終わったら聞く」

だから、人の顔見て溜息とか。

取り敢えず降りるか。

今の体勢から教官の両肩に手をかけそれを力点とし、背中に回った腕を支点にして両足を勢いよくあげる。

その勢いで体を捻り、着地した。

って、痛い。

腰が、腰がやられた。

ついでに怪我した所にも響いた。

「なっ、いったい何をしてるんだ!」

「いや、歩こうと思って」

「その出血で歩けるわけが無いだろう」

「大丈夫です。今までもっと酷い怪我した事がありますが、その時も歩いてましたから」

あの時は大丈夫ではなかったが、人間死に物狂いになれば何でも出来るものだ。

「もっと酷い怪我!?どうしたらそういう状況になるんだ」

ほっといてくれ。

黒歴史の51ページ目だ。

「まぁ、過去には色々ありまして。そんなわけで歩けますんでご心配なく。ではここまで本当にありがとうございました。ここから先は一人で行けますんで、では!」

早歩きで医務室へと向かう。

場所は知らないが。

取り敢えず後ろのギャラリー全員まく必要がある。

女だとばれるのはまずい。

行くのはまいた後だな。

あれ?

それだと医務室へ先回りされるだけか。

教官にはああいったが、治療をしないといけないのは事実だ。

医務室へ行かずに治療を受ける方法と言えば……

ナリアッテかぁ。

うわぁ、どう言い訳しよう。

森から帰ってきてまだ会ってもいない上に、怪我までしてるとわかったら。

いや、もう知っているな。

「おい、待てと言っている!」

げっ、追いついて来た。

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