表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)の帰還
154/228

154.

「やっぱりだ。この間の」

呼ばれたので振り向くと、そこにはひと月程前にこの店で乱闘した、ポパ……いや ラパ、違うな。

えーとなんだっけ。

そうだ。

「ラポッポ!」

「ラポイだ!」

「……」

「……」

「……そうか。で、何か?」

「知り合いか?」

リプファーグに聞かれたが、知り合いというのも一度だけしか会ってないしなあ。

「いえ、知りません」

「それはないぜアニキ!」

は?

今なんと?

「あれから、ずっとアニキを探し回ってたんだぜ」

おい、そのアニキというのはもしかして私の事か?

「あんなにきれいに負けたのはあれが初めてだ。あの日、ロープに縛られていた間中アニキの顔はぜってー忘れないって決めてたから、ずっと顔を見続けてたんだぜ」

何それ、怖い。

「それからというもの、この街を必死に探してて。でも見つからねーし、もしかしたらここに通えば会えるかもしれないと思って、待ってたんだよ」

「なぜこの男は、アニキと呼ぶんだ?レイはお」

「アニキ!頼む。俺をあんたの舎弟にしてくれ」

おい、われ、どこの組のもんや。

って違う。

いくら日本の任侠映画が好きだからと言っても、私はマフィアじゃない。

舎弟とかいらないから。

どこの組の構成員だよ。

「間に合ってます」

「そいつか?そいつがアニキの舎弟なのか?そいつがいるから駄目なのか?そいつを倒せば、俺は舎弟になれるのか?」

は!?

待て待て待て、なぜそうなる。

なにそれ、舎弟の座強奪宣言。

「いやいやいやいや、彼は舎弟どころか私より強いから。何故そんな話に……」

「アニキは俺より強い。そういう人の元にいれば、自然と強くなるものだ。俺は強くなりたい。だから俺は俺より強いものの下につく」

「私は今騎士団に所属しているんだ。舎弟だとかを持つわけにはいかない。だからラポイ」

彼の眼をしっかりと見つめて、続きを話す。

「すまないが、諦めてくれ」

「そんな。俺はこのひと月ずっとアニキの事だけを考えてきた。探し追い求めてきた。俺が、騎士団に入れば側にいられるのか!?そうすればアニキの舎弟になれるのか!?」

両肩を掴まれ揺さぶられる。

中身が飛び出る、やめれ。

「強くなりたいと言ったな?騎士団に入れば、私以上の実力の者がわんさかいる。それこそ掃いて捨てるくらいに。私に拘らずとも、すぐに師事を仰ぎたくなる者が見つかるだろう。私に時間を費やすことは非常に無駄なことだ。強くなりたいのだろう?だったら騎士団へ入って」

「違う。あれからアニキの動きが目に焼き付いて離れないんだ。あの組み敷かれた時の動き、思い出すたびに疼くんだ。頼むよ、舎弟になりたいんだ!」

駄目だ。

聞く耳持ちやしない。

「もう一度言うが、私は舎弟とかそういうのは持つつもりはないよ。どんなに頼まれても、ダメなものはダメ。そろそろ行かないと」

リプファーグに助けを求める。

って、リプファーグ、眉間のシワがヤバい。

駄目だ、気付いてない。

「とりあえず、ラポッ……イ、それほど強くなりたいのなら、舎弟の事より先ず騎士団の入団を考えた方がいい。では、我々は先を急ぐ。ここで失礼するよ。オーナー。どうも御馳走様でした。美味しかったです」

本当に旨かった。

元々この店の味付けは、私の口に合ってたからなあ。

また来れるといいな。

「そうか、それは良かった。あのもらった肉は高級食材で、しかも一番旨い部分だったんだ。釣りを渡さねばならんくらいに」

「あはは、取っておいて下さいよ、迷惑料込みですから。それでは、我々はこれで」

「ああ、また来てくれ」

「ぜ」

「待ってくれ、アニキ!」

誰が待つか。

「よせ、ラポイ。お前は振られたんだ。振り向いてほしけりゃ、引くことも覚えろ」

オーナーが今の内に行けと、目で合図を送ってきた。

目礼で返す。

絶対にまた来よう。

オーナーいい人。

「リプファーグ、参りましょう」

その足で、店を出る。

よし、追いかけてくる気配はないな。

リプファーグも追いかけてくる気配はないな。

「どうかしましたか?」

振り向いて問いかける。

「いや、なぜあんな輩と親しいのかと」

「親しくはありませんよ。話したのは今日が初めてですし。正直参りました。そろそろ行きませんか?」

リプファーグに歩を促す。

「あ、ああ」

なぜ進まないんだ。

ぼーっとしてるから子供にまでぶつかられて。

何をやってるんだか。

「っつ!」

え?

あの子供!

「リプファーグ!大丈夫ですか!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ