表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
脱出成功はしたものの、依然迷子の現実主義者(自称)
148/228

148.

リプファーグにとっての、ドキドキの初体験が始まった。

垂直型なので、さっきよりも大分体勢は楽なはずなんだけど、どうだろう。

表情は真剣そのものだ。

出来れば、そんなに固くならないでほしい。

落下したら大変だ。

後気になるのは、リプファーグの爪だ。

なぜ右手の薬指だけが少し長い?

何か風習のようなものだろうか?

移動中に割れなければいいが。

「右足をここにかけて」

私の左足でその場所を示して、注意を促す。

「もし届かなければ、右足を左足で送って下さい」

風が出てきたな。

空を見ると、先程より雲の量が増えているような気がする。

まずいな。

急がないと。

「どうした?」

「いえ、風が出てきました。少し早めにいきましょうか」

何だか嫌な予感がする。

途中、雨とか降らなければいいが。

進むスピードを上げたため、いくつかヒヤリとする場面があった。

しかし、よく付いてきてるなぁと思う。

結構根性がある。

まぁ、音を上げられても困るんだけど。

命がかかってるし。

さて、何事も無く岩の出っ張り部分までたどり着いたのはいいが、問題はこれからどうするかだ。

落ちるか降りるか。

一応本人の意思を確認してみるか。

「ここから飛びますか?」

「何!?下まで壁伝えに降りるのではないのか?」

落ちるのは嫌らしい。

まあ、当然か。

だが、空模様がおかしいのも確かだ。

降りだすギリギリまで、降りてみるか。

「分かりました。空模様がおかしいので、危険だと判断した時点で飛び込みましょう」

リプファーグだけな。

10m程降りた時点で、異変が起きた。

風向きが変わり、滝の水がこちら側にかかるようになってきたのだ。

冷たい。

寒い。

「足場が滝の水で濡れ始めてきました。かなり滑りやすくなっています。気をつけてください」

4m程降りた辺りで、断続的に突風が吹き付けてくるようになった。

そのせいでリプファーグの体が風に煽られ、そのままバランスを崩す。

足場が濡れているため踏ん張りが効かずに、そのままずり落ちる。

すかさずリプファーグの腕を掴みなんとか落下を防いだが、その際に腰の傷口が開いた。

痛い。

岩の凹凸に足かけてもらい、何とか体制を整えてもらう。

このまま続けるのは危険だ。

傷が開いたし、何かあったとき次は助けられないかもしれない。

よし、飛び込んでもらおう。

これくらいの距離なら、怪我もしないだろう。

「足から飛び込んでください!このまま壁伝えに降り続けるのは、困難です」

「わ、解った」

どうやら、飛び込む決心をしてくれたようだ。

念のために、飛び降りの時の注意点を伝えておく。

「では、下で会いましょう」

私のこの言葉を合図に、リプファーグが飛び込んだ。

見届けた後、急ピッチで下に降りる。

と、真っ青な顔をしたリプファーグが滝壺の畔に立って出迎えてくれた。

若干恨みがましく睨まれているような気がするが。

「大丈夫でしたか?」

「飛び込まなかったんだな。なかなか浮かんで来ないし、まさか死んだのではないかと」

どうやら、かなり心配をかけていたようだ。

崖を見たら見たで、今度は落ちるのではないかとハラハラして見ていたらしい。

リプファーグの心配顔をみていると、段々悪い事をしたかもしれないという気になってきた。

説明不足だったかもしれない。

今日はこの場所で夜営をすることになった。

雨が振りだしそうなので、なるべくかからなさそうな場所を選ぶ。

降ってくる前に、残り僅かな食料で腹ごしらえ。

「これからの事ですが、当初の予定通り貿易都市を目指します。つまり、南西ですね。明日に再度確認しますが、この崖を背にして右手方向が南西になります。そちらへ向かいましょう」

「解った。方向に関しては、君に任せたほうが良さそうだ。私ではさっぱりだからな」

「では、予定通りに。明日は日の出とともにここを発ちます」

「そうだな。では、それまで見張りは私がしよう」

「お願いします。食事が終わりましたら、すぐに寝てください。時間が来たら起こしますので。ここの処理はこちらでしておきます」

明日のことについての取り決めが終わり、一段落する。

「レイ、少しいいか?」

ん?

ああそう言えば、下に着いたら何か話があるとか言っていたな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ