143.
「もっと考えなければならない事があります。ここからの脱出方法です。このまま閉じ込められ続けると、後数日もしないうちに手持ちの食料はなくなるでしょう。この様な洞窟の中では、食料を探すのも一苦労します。幸い水などの心配はなさそうですが」
まぁ、数日なら食べなくても何とかなるだろうけど、それでもリプファーグの手持ちの量だけではじり貧だろう。
「そうだな。これからの事を考えよう。その前に座った方がいい」
あ、立ったままだった。
傷に響かない様ゆっくりと座る。
「君が気絶をしている間に、少しだが周りを見たんだ」
何故先程の状況報告でそれを言わなかったんだ、リプファーグ。
「それで、出口を出来る範囲で探してみたんだが、見当たらない。落ち着いたらもう一度探してみようかと思う」
「そうですね、解りました。風の流れや水の流れがあるので、どこかに突破口があるかもしれません。食料の問題もありますし、この洞窟からなるべく早く脱出した方がいいでしょう。幸い私の怪我はそれほど重いものではありませんので、出来るだけ速やかに行動を起こしましょう」
リプファーグが複雑そうな表情を見せたが、それ以上言及してくる事はなかった。
私が言ってもあまり説得力がなかったのかもしれない。
「君の意見は解った。食事をしてから、行動しよう。食べられるか?」
首を横に振る。
食欲はない。
それに、食事はしばらく少な目にした方がいいだろう。
「干し果物は食べられるか?」
そう言って手渡されたドライフルーツは、袋の中に大量に入っていた。
これだけあれば、私だけなら3~4日はもつ。
リプファーグに聞いたところ、手持ちの食料はパンと固形スープ干し肉各種に穀物系の何かだった。
それだけあるなら、リプファーグだけなら4日はもつ。
言いかえれば4日が限度だ。
等と考えていたら、リプファーグが食事作りに四苦八苦していた。
何故水を入れずに固形スープを鍋に入れるんだ。
「あのー、水入れた方がいいと思います。1人分でいいので、握りこぶし分の水を入れて下さい。干し肉を1本の半分程、細かくナイフで刻んで鍋に入れて煮込めば何とか食べられるはずです。後パンは半分だけにしておいたほうがいいでしょう」
穀物系の何かは、正直使い道が解らない。
余裕が無いと実験は怖くてできないな。
どうにかこうにか作り上げた食事を食べ終わり、リプファーグが口を開く。
「先程水の流れがどうとか言っていたが」
「ああ、ええと。水が流れると言う事はこの場所に流れる為の入口や出口があるわけです。そこに脱出の為の何かがないかなと思いまして」
「そういう事か。解った。辿ってみよう」
出発の為の準備をする。
水を煮沸し、持ってきていた水筒もどきに入れておく。
もちろんリプファーグの分も。
リプファーグに断りを入れて、バックパックの中身を全部出した。
バックパックの背面が少し裂けているからだ。
全部取りだした中身を食料の入っていた袋に小さくまとめて入れておく。
鍋の中に食料なんかを収め袋に詰める。
裂けたバックパックには毛布や、落ちる時に一緒に落ちてきていた薪用の木などを入れて私が背負う事にした。
そうして準備を整え、リプファーグに入れ替えた荷物を渡した。
食料袋が予備のバックパックになっているので、背負い心地はましなようだ。
まず、流れを見て上流部分から探ってみる。
岩場が多くかなり歩き辛い。
少し登って行くと、岩に道をふさがれ行き止まりになった。
足元から水が流れ出ているようだ。
よく見ると隙間がある。
潜り抜けるにしても少し穴が小さいようだ。
向こう側に行くには潜らないといけない。
それに穴もリプファーグが通れるかどうかというぐらいに狭い。
一度、下流の方へも行き確認してみる事にする。
岩が多いので、足を取られながら降りる。
先程火をたいた付近から下は、岩が少ないようだ。
水の流れに沿って歩いていくと、ほどなくして行き止まりになった。
こちらは岩と岩に挟まれたその隙間から、水が流れて行っているようだ。
上流に負けずお劣らず狭い。
さて、どちらに行くべきか。