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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
洞窟の中の出れない面々(自称現実主義者と他1名)
141/228

141.

「え?」

後頭部を打ちつけて目がちかちかしていた所に、容赦なく服をまくられる。

「ちょっと!?」

思わず服をフリーになった片手で押さえつけるが、怪我状態の今の力では敵わずあっさりまくられてしまった。

「……」

「……」

もう、ね。

視線がどこにあるかとか、色々判る。

判るんだけど、どう反応すればいいのか。

キャーとか言って恥じらう年齢は過ぎた。

かと言って、怒りだす程胸は大きくない。

こういう場合、世の女性達はどうしてるんだろうか。

サラシが緩みまくって完全に前が見えてる状態なので、性別を隠すもなにも丸わかりだし、さてどうしたものか。

あ、そうだ胸隠さなきゃ。

今更だけど。

まぁ、一応形式美。

「リプファーグ、その」

取り敢えず、説明はいるだろう。

どうやってすればいいのか。

参った。

「あの、リプファーグ?」

反応が無い。

おかしいな。

「あ、ああ。クスリ。そうだ薬を塗らなければ」

再起動したかと思ったら、いきなり俯せにされる。

お願いだから、声をかけて。

思わずカエルのつぶれた様な声を出してしまった。

洞窟だからかエコーつきだ。

どうやら、薬を塗り替えるために俯せにしたようだ。

濡らした布で丁寧に傷口の塗り薬を拭いてくれている。

「あっ」

そこはヤバい。

くすぐったい。

って、脇は無理!

弱点なんだって。

思わず身悶えしてしまう。

こんな年で叫ぶのも、あれなので我慢。

痛いし、くすぐったいし、頭が変になりそうだ。

「お、おい、痛むのか?」

い、痛むけど、それより脇腹がぁ。

ちょっと涙でそう。

「もう少しで終わるから、我慢してくれ」

もう我慢するのに必死です、色々。

自分の気を逸らせば耐えれるか。

羊が1匹羊が2匹って、それはなんか違う。

頭が混乱してきた。

「ひゃっ、あっ」

冷た。

今度は新しく薬を塗られている模様。

薬がかなり冷えてて、背中に塗られる度に冷たい感触がする。

も、もう早く終わって。

ひぃ、冷たい、くすぐったい、痛いの波状攻撃。

完敗です。

「もうすぐだ。もう少しだけ耐えてほしい」

と言われたものの、恐らくリプファーグは包帯を巻くのは苦手とみた。

包帯を巻きはじめてから5分以上かかっている。

さっきから寒くて震えが止まらない。

段々と気温が下がっているようだ。

「ごめん、限界。は、はやく」

マジで寒い。

歯と歯がカチカチと鳴りはじめた。

実は自分でやった方が早いんではなかろうか。

思わず、止めてしまった。

「きついか?」

首を振る。

「だ、大丈夫。あの」

体を起こす。

貧血の様なめまいが来る。

「え?」

「あの、自分でや、やります」

もう駄目、寒すぎ限界。

そこから体を起して奪い取る様に包帯をとって、自分でまいた。

ついでに寒いのでサラシもまいておく。

その後すぐに服を着て落ち着く。

リプファーグが呆気にとられたのか先程の体制のまま固まっている。

火種がとんでもない事になっているので、先程目星を付けていた木くずを取りに行こうとするとリプファーグに怒られた。

取って来てくれるらしい。

ああ、火が戻った。

只今解凍中。

少し寒さが落ち着いたころ、ぼそりと声が聞こえた。

「やはり、その、女性だったんだな」

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