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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
洞窟の中の出れない面々(自称現実主義者と他1名)
138/228

138.

声が聞こえる。

誰だろう?

「……がおかしいぞ!?」

「ウォーレン、バイタルが先程から急激に落ちてます!」

「解った。Dr.に連絡をするって繋がらん!ハリー、Dr.ウィリスを大至急全館で呼べ!院内電波が繋がらない。俺はもう1度かけてみる!」

「オペレータ。Dr.ウィリスを大至急CS11まで呼び出してくれ!」

「このままでは心停止してしまいます!」

「部外者は出てくれ!」

『Dr.ウィリス、Dr.ウィリス、至急研究棟CのS11まで。繰り返します。Dr.ウィリス研究棟CのS11まで』

「どうなっている!?」

「酸素を全開にしてくれ」

「すでにフルです!」

「おい、CPRだ!」

ああ、これは夢か。

確か、ずいぶん前の時のだな。

知人が入院した時の事だ。

一瞬心臓が止まって、その後何とか助かったと聞いて、皆で騒いでたらスタッフから怒られたっけ。

どうやら夢を見ているらしい。

何故この夢を。

「先輩、どうしたんすか?ぼーっとして」

え?

今度は、堂島?

「なんか雨やまないですね。先輩気をつけて帰ってくださいね?」

ああ確か、こっちに飛ばされる前の時のか。

この後車にのって、家に帰る途中雷落ちて。

「おい、聞いているのか」

そうそう、キースがいらつきながら聞いてきたんだっけ。

牢屋に入れられてたんだよなぁ、私。

その時に見た、月の個数に衝撃を受けて、異世界を受け入れて。

その後色々あって、騎士団に入って。

「やぁ、久しぶりだね」

えーと、誰だっけ。

「ア、琉生ってばひどいなぁ。俺を忘れるなんて。ここでは1度会ってるのにな」

本気で判らない。

私がそう言うと、悲しげな顔をする。

なぜ。

「Dr.!バイタルが戻りません!!」

「2アン追加しろ!」

「AED準備!」

「あはは~、1時間以内で終わらしますよ、こんなの」

「キース、待たせたな」

「あ、隊長」

「どうだ、何か話したか」

色んな場面が、凄まじいスピードでぐるぐる回る。

酷く気持ちが悪い。

「しっかりしろ。琉生。俺を見ろ。わかるか?」

スーっと、ぐるぐる回っていた場面が真っ白に変わる。

少し落ち着いた。

「助かったよジオ」

あまりの気持ち悪さに、本気で感謝した。

「そうか、よかった。ここに居るのは今はあまり良くない。元の所に戻すのはすぐには無理だけど、せめてさっきまでいた場所には、送らせて」

妙な事を言うなぁ、夢なのに。

送るだなんて。

「そう?ではお言葉に甘えて」

気取った態度で言ってみたが、堪え切れなかったのか笑われてしまった。

「どうぞ、ミス」

肩が笑ってるぞ。

手を取った瞬間、発光し再び辺りは闇色になった。

それが自分が目を閉じているせいだと気づくのに、暫くかかった。

ふと風に載って、小さく声が聞こえた様な気がした。


『名前、思い出してくれてありがとう。出来れば忘れないでくれ』


目をあけると、はじめに痛みが襲う。

アバラ辺りと背中側の左わき腹と足の付け根。

他諸々。

背中の痛みは、恐らく荷物から突き出た何かが刺さったのだろう。

アバラと足の付け根は、よく判らない。

地面に叩きつけられた時に、衝撃で痛めたのかも。

背中の怪我の確認をしておきたいが、暗くてよく判らない。

直接触ってみたら、手当をしてくれたようだ。

包帯が巻かれている。

恐る恐る、身体を起こそうとすると、怒られた 。

「君は、怪我人なんだ。横になっておけ」

リプファーグだ。

無事でよかった。

「すまない。こんな事になるとは」

後悔の滲み出た声だった。

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