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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者と大量迷子
136/228

136.

「そこで、ひとつ提案があるのだが」

提案?

こういう状況下での提案は、ありがたい。

「初めレイが言っていた、南へ向かう案があっただろう?」

先を促す。

「どうも先行隊が今向かっている方向は、違うようだ。で、私が思うに、今とっている東の進路は森を抜けたとしても、森周辺には町がなかったように記憶している」

「うん、東って何もないよ。たしか、小さな村がいくつかあった気がするけど、これだけの人数が泊まるための場所はないだろうね。行ったら、野宿になると思う」

クィリムが、追加情報をくれる。

そうなのか、どうやらこの国の東側は村が多いらしい。

「で、南西に向かえば貿易都市に出るし、そうなれば帰城手段も増える。そちらに進路を変えた方が良いと思うのだが」

「それは構わないのだが、南西というのはどちらの方向になるのだ?」

顔しか知らない貴族1号が、ウィルに尋ねている。

「レイ、南西はどっちだ?」

ウィルに聞かれ、改めて周りを見渡す。

ここは暗すぎて、日が差さないので正確には判らない。

思わず、ジェイを見る。

「え?俺?ああ、判った、判った。じゃ、リム頼んだ」

「あ、あれ?俺なんだ」

今度はクィリムが、行ってくれるらしい。

「あ、何も見えないかもだけど、一応周囲も見ておいて」

念のために伝えた私の言葉に、手を振って答えるクィリム。

身軽だな。

クィリムからの報告によると、やはり周囲は木一色らしい。

暫くは、南西に進んでおいたほうが無難だろう。

太陽の向きから方角を割り出し、水分補給をしてから進む事にした。

太陽や北極星から方角を割り出すやり方っていうは、晴れた日にしか出来ない。

天候が崩れたら終わりだ。

今持ってる時計に、方位磁石が付いていたらよかったんだけど。

ナリアッテによると、この国の冬は曇り空が多いそうなので、いつ気まぐれに太陽が隠れるか判らない。

明日も天気だといいのだが。

そうして1時間程、枯れ木をちょくちょく拾いながら歩いた。

途中リプファーグに何故そんなものを拾うのかと聞かれたので、野営時に必ずいるから時間短縮の為にと答えておいた。

クィリムは経験者らしく、既にいくつか集めていたようだ。

ジェイも拾っている。

あれだけあれば、火を起こせるだろう。

もう少し拾っておけば、夜間も安心だ。

暫く進むとある程度開けたいい場所に出たので、そこで今晩の野営準備をする事にした。

こういう野営関係は、貴族は苦手らしく殆ど役に立たなかった。

まぁ、ウィルの片付け下手を見ていたから、ある程度の予測はついていたけど。

それでも、寝床の確保は各自でやってもらう事になった。

騎士団から支給されたものは、調理用具と毛布と水だった。

水は調理用に使ってしまうと、2日持つか持たないかの量だ。

今日はそれほど歩かなかったので、少ししか飲んでいない。

他の4人も同じだそうだ。

だが、気がかりなのはリプファーグ他の貴族だ。

先程、結構飲んでいたのが気になる。

途中に川でも行き当たればいいのだが。

取り敢えず料理を作る。

誰がと言うと、私とジェイとクィリムそれからヴォイドだ。

ウィルには火起こしをしてもらった。

クィリムが一生懸命教えていたが、なかなか火が着かず苦戦しているようだ。

ナイフで火花を起こすやり方だったが、アルミの粉があれば或いは早く着火したかもしれない。

アルミってここにもあるのだろうか。

何とか火が付いたようなのでその火で簡易鍋の水を沸騰させ、そこに固形スープ・乾燥野菜・乾燥肉と、隠し味にイジャーフォ専属シェフ特製調味料を入れて、温かいスープを作った。

10人分が限度なので、同じようにもう一か所で作る。

おーい貴族ども、見てないで頼むから運ぶのだけは手伝ってくれ。

取り敢えず、パンとスープと干し肉、それにドライフルーツと紅茶を夕飯に出した。

量の少ない食事ではあったけど、凄く美味しく出来たように思う。

スープに入れた、イジャーフォ専属シェフ特製調味料が効いているようだ。

ただ、育ち盛りの坊っちゃん達には、この量はきついだろう。

何日保つやら。

いずれ、肉を調達する必要性があるかもしれない。

そうして、食事を終わらせ見張りをする為に3交代制で睡眠をとる事にした。

私の見張りの番は、最後だ。

それまで寝よう。

お休みなさい。

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