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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者と大量迷子
133/228

133.

置き去られ、残されたのは大量の迷子。

本当に見事な置き去りっぷりだった。

さて、帰るか。

「うわー、これどうやって帰ればいいんだよ」

クィリムが、頭をかかえている。

それを皮切りに、私・ヴォイド・ジェイ・ウィルそれから、クィリムこのいつものメンバーが自然と集まった。

ここまで来るのに、大型馬車で大体4時間かかっている。

馬車の速度を40 km/hと仮定すると、単純計算で城からは160 km離れた場所に現時点いるという事になる。

貿易都市ジュハフィーグから城までは、単騎で2時間の距離だったので、少なくともあそこよりは遠くの距離を移動しているわけだ。

副団長や陛下の部屋にあった地図を何とか思いだす。

地図には城が上部に描かれ、その上部と右部に海が広がっていた。

だが実際は西側と南側が海だ。

ということは、あれは南が上の地図という事になる。

そうすると、ジュハフィーグは西側。

夕日を港から眺めたので、間違いないだろう。

大型馬車で城から町を出るには、北側の門からしか出る事が出来ない。

そこから揺れの具合で大きく左に曲がった個所が1個所。

更に進み大きく右に曲がったのが1個所。

それだけで判断すれば、北に向かっていた事になる。

まぁ、南に向かっていれば間違いないし、森を抜ければ街道ぐらいには出るだろう。

後は、授業でやたら強調していた、森の植生と野営の仕方を頼りにサバイバルだ。

と言う事を、集まった皆に話してみた。

「チズって何?」

「それは、場所を記した図の事だ。俯瞰した状態で描かれた、場所を記した絵と言うと判りやすいか」

ジェイの疑問に、ヴォイドが答える。

「何それ、見た事無い」

ジェイの言葉にクィリムも頷く。

「まぁ、あまり目に触れるものではないな。私も父上の書斎に入らないと見る機会が無い」

ウィルもあまり見た事が無いようだ。

「よく、レイは地図を知っていたな。普通の生活をしていれば、見る事も少ないだろうに」

「あれ?入団試験の面談の時に机の上にあったのを見たよ?」

何故知っていたかの答えにはなってないけど、誤魔化されてくれ。

「ああ、ありましたね。机の上に。レイはよく見ていましたね」

ヴォイドが同意してくれる。

「あの地図、かっこよかったから。目がいっちゃって。個人的にあれ欲しいわ」

凄く芸術的だった。

手書きの地図って、なんだかいい。

ある程度時間が経っているのが好きなんだけど。

「まぁ、ジェイの反応が普通だと思うのだが。異国では地図が普及しているのかもしれんな」

ウィルが言った言葉に、笑ってごまかした。

「じゃあ、向かうは南だな。行こうぜ」

「待て」

ジェイ以外の全員が、待ったをかけた。

いくらなんでも、いきなり出発はないだろう。

「行かないと、日が暮れるし」

まあ、それは気になるが。

「方角も正確に判らないのに、どこへ行こうと言うんだ」

ウィルの正論に、ジェイが押し黙る。

「とまあ、そういうことだ。あ、ジェイは木登りは得意?」

「ああ、結構好き」

と答えた所で、顔が引きつるジェイ。

ふむ、よい勘だ。

「と言う事で、木登り行って見ようか。てっぺん上ったら、太陽の位置とか、回りの景色を良く見て」

「これに登るの?」

全員で頷く。

仕方が無いと言って、登り始めた。

やはり身が軽いな。

ジェイが登り始めると、大量の迷子たちが何だ何だと興味深そうに見上げる。

しばらくすると、降りて来た。

「太陽はあっちに出てた」

指差した方角と現在時刻を見比べる。

現在時刻は1時ごろだ。

「おい」

磁石が無いので、頼りは太陽だ。

雑貨屋に置いてなかったんだよね、方位磁石。

ちょっとずるいけど、時計を使う。

現在の時刻の短針を太陽の方角に合わせ、12時の位置との真ん中が丁度南となる。

「おい、レイとやら」

城は南端にあると思われるので、しばらくは南に向かえばいい。

「聞いているのか」

皆恐らく右利きなので、歩いている内に南西へと向かうことになるだろう。

南西には、ジュハフィーグがある。

上手く辿り着ければ、城まで短時間で帰る手段も見つかるかもしれない。

「レイとやら、こちらを向いたらどうだ」

無理やり肩を掴まれ、回転させられた。

「え?何?」

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