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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者と大量迷子
131/228

131.

冷静になるために、一昨日の夜から思い返す。

寄宿舎であの後、ああでもないこうでもないと、座学で習った行軍用の所持品チェックをしていた。

もちろん頭をもたげた、最悪のケースも鑑みて。

今思えば、一覧に従って荷物を持って来ていたら、かなりの重量になっていただろう。

あの重さ、仮に1日だけだったとしてもきつい。

まあ3日目の座学の時に、前日までのまとめをやったので、その時に持ち物の事についても教官言っていたし誰も、ばか正直に持ってきたりはしないだろうけどね。

うん。

その後つまり、訓練に何を持っていくか話し合って決めた後に、教官から夜間帰宅の許可を取りに行って、その足で食堂へご飯を食べに行き、たまたま寄宿舎担当だった知り合いのシェフ達から、乾物なんかを大量にお裾分けしてもらった。

そんなに簡単に食材分けてもいいのだろうか?

ありがたいので、なにも言わないが。

「あ、そうだ。もし、城下町で食料品とか買うんだったら、コリュッリの店にするといいよ。俺の名前出してもらったら、いくらか安くなるから」

「ああ、あそこなら間違いねぇや。日保ちするもん結構売ってるし。そうだ、どうせならタユタヨの店で装備揃えろや。コリュッリの裏でやってるから、ちょうどいいじゃねぇか。紹介がいるとこだが、シノヤカからと言やぁ、何か売ってくれるだろ」

シェフのイグプリームさんとシノヤカさんが、色々な情報をくれる。

私的には大変助かるが。

まぁ見返りに、前から気になっているというメイドさんの、勤務情報とか色々聞き出された。

この2人は色々見込みがありそうなので、朝にかち合いそうな時間帯だけ、教えてあげた。

後は努力しろ、2人とも。

2人に礼を言い、食堂の席に戻ると私が抱えて来た乾物類を見てウィルたちが目を丸くしていた。

食料品店の情報を伝えると、地元民のジェイでも知らないようなお店だったようで、何だか得した気分を味わった。

ちなみに、タユタヨという店もあまり知られていないようだ。

「装備と言えば、ウェユアって聞くけどな」

「ズドクグーナも、品揃えがいいとも聞くが」

ウィルがそう言うと、ジェイがそこは貴族しか買えねぇよと突っ込みを入れていた。

「貴族御用達は、さすがに手が出ないな。明日はウェユアとタユタヨに寄って比較してみて荷物揃えよう。ウィルはどうする?既に装備が揃っているんなら、新たに揃えなくてもいいと思うんだけど。せっかくだから一緒に行く?」

私の提案に、ウィルが頷いた。

ウィルが自分の家の物で使えそうな物があったら使ってもいい、という有難い案を出してくれたので、次の日にウィルの家に装備を借り、足らずは街で調達と相成った。

ジェイがはじめ渋っていたのは、やはり貴族の物を借りる事に抵抗があったからだろう。

が、結局ウィルの説得で折れたようだ。

次の日の早朝、皆でウィルの家に行く。

「この間私が売られた館よりも、一回り大きい」

私の独り言に、ウィルとジェイとクィリムが目を丸くしている。

クィリムはジェイが誘ったようだ。

いつの間に。

「売られたって。えっ?レイってそうなの?」

ジェイが興味津々だ。

「だから、異国語を書いていたのか」

なんだかウィルがいいように解釈してくれている。

悪いが利用させてもらおう。

ヴォイドにアイコンタクトを取ると、頷いた。

「えっ、レイってやっぱり異国人なの?」

クィリムが聞いてくる。

この話は終わりという意味で、微笑んでおいた。

ウィルの家の内装は、厳格という言葉が一番しっくりいく。

調度品もどちらかと言えば重厚だ。

家の内装と言うのは、意外とその家の主人の性格と言うものが現れる。

まだ部屋に案内されていないので、ちゃんとした判断はつかないけど、少なくとも玄関から入った瞬間、生真面目オーラが漂っていたので、ウィルの父上もそういうタイプなのではないだろうか。

ウィルもどちらかと言えば真面目だし。

多少融通利かないけど。

「ウィロアイド様、お帰りなさいませ。お客様ですね」

「ああ、この者達と私の部屋で話がしたい。父上は?」

「午前中はこちらに」

「そうか、一度会いたいと伝えてくれ。多少話したい事がある」

「畏まりました。それでは皆様ウィロアイド様のお部屋が整うまで、別の部屋にご案内いたします」

ここの使用人は一般人である私たちを見ても、微笑みを崩さなかった。

かなり教育が行き届いた使用人らしい。

ところが、ウィルの兄さんは駄目だったようだ。

私たちを見たとたん、顔色を変えていたから。

貴族間と一般人の溝はどうやら深いようだ。

ウィルはお兄さんにその後少し呼び出され、何か小言を言われたようで屋敷にいる間機嫌が治らなかった。

「すまない不快な思いをさせてしまった」

気にしてないよ、と伝えるとウィルの表情が元に戻った。

ウィルから借りた

実用的な装備品を持って、予定通りウェユアとタユタヨに行く事になり、先に近い方のウェユアに入った。

そこそこの物が売られているが、店員が足元をみているのか売れ筋でない物を結構な値段で売りつけてきた。

買わずに一度店を出て、クィリムの案内でタユタヨに行くと、店ではなくどこか工房のようだった。

そこで見せてもらった商品の品質は申し分なくしかもリーズナブルだ。

どうやら、職人を抱えて直販しているので、マージンがかからず安くなるようだ。

シノヤカさんのお陰か値引きもしてもらったし、ここで購入する事に。

購入の際はグリップの調整までしてもらえて、至れり尽くせり。

金はヴォイドとウィルに借りた。

くっ、年下に借りるとか情けない。

初任給出たら、絶対返すと念押しした。

その後すぐにコリュッリの店に行き、中に入ると見知った顔がいた。

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