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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)は只今基礎訓練中
123/228

123.

「一体あいつは何を言っているんだ?」

教官がぼそりとつぶやく。

更にリプファーグが言葉を続ける。

「このまま、ここに居ても周りに迷惑しかかからないだろう?途中棄権でもして、家に帰るんだな」

「御忠告はありがたいのですが、実は帰る場所もなくてですね、ここで追い出されると非常にまずいわけでして」

いやー全く切実なので、私。

その割には結構余裕ですが、それは全て城という拠点があるからで、実際追い出されたら本当に困る。

この間儲けたお金は薬代で消えたし、残りは昼食べたら終わりだ。

あ、何だか涙が。

「平民風情が、な……」

リプファーグが何かを続けようとした所で、教官が遮る。

「あのなぁ、俺が今何て言ったか、もう忘れたか?今言われた事も実行出来ないようなら、お前らこそ家にでも帰れ」

教官の叱責を受け、押し黙るリプファーグ。

それから、3人組は渋々剣を振り始めた。

ウィルが、クィリムに気を使ってかあの3人組の1人と剣を振っている。

あ、あれは鬱憤晴らしとも言うな。

教官が私とヴォイドを除いた全員の分を一通り見終わると、めいめい散っていた隊員を集めさせ二列横隊で並ばせた。

私は後列の端に並ぶ。

前後間隔を少し広めに開けさせた後、2・3パターンある形を順不同で何度も振る様に教官が指示を出してきた。

今度は何を見る気なんだろう。

まぁ、どんなに頑張っても出来上がりは阿波踊りっぽい何かだけど。

しばらくすると教官から肩をたたかれる人物が幾人か出てきた。

たたかれた者は、振りをやめて後ろに下がるよう指示がある。

ヴォイド・ウィル・ジェイも、どうやら肩をたたかれたらしい。

次私の番となって、教官が盛大に呆れ顔になったのを私は見逃さなかった。

「お前のそれは何だ」

やっぱり聞くよね。

「いや、実はこっちの形に慣れた方がいいのかと、今練習中でして」

私がそういうと、教官に更に呆れられた。

「あの時のあの剣は、すでに完成されていただろう?今更別の物を習う必要性とかあるのか?」

「実はよく解らないのですが、使用禁喰らってしまいまして」

「誰だよ、そんな命令出した奴」

会話を聞いていた、ヴォイドとジェイが一斉に目を逸らす。

何かを察した教官が、あの2人に事情を聴きに行くと、こちらを見てニヤッと笑ってきた。

なんか腹立つ。

ウィルはまたしても蚊帳の外だ。

眉間にしわが寄っている。

「そういう事なら、お前はこっち側だな」

私は肩をたたかれなかった方に移動。

それから、教官の指示により実力のある者とない者とでペアを組まされた。

実力のない者として。

で、実力のある者というのが先程から教官と話し込んでいて、いっこうに戻って来ない。

なぜ、あれと組ませるかな。

これは、あれか?

嫌がらせか?

教官を見ると、目があって又もやニヤリと笑われた。

腹立つ。

一向に戻る気配のないそのペアの相手というのが、リプファーグだった。

延々と教官に抗議をしていたらしいが、結局教官に丸め込…説得され、渋々ペアになる事を承諾したようだ。

それからの訓練は、一方的にリプファーグの連打に耐える事に始終した。

さすがに受けっぱなしは無理なので、所々避けつつも、それをすると怒るし、怒ると煩いしで少しいやかなり辛い。

精神が。

仕方なく受け続けたわけだが、この馬鹿力。

思わず愚痴が出るほど、腕は鉛の様に重くなっていた。

これはジェイといい勝負かもしれないと、時々こちらの様子を見ていたウィルが昼の休憩時間に言っていた。

「おい、大丈夫だったか?」

一日の訓練終了後、心配したジェイが声をかけて来た。

「まぁね。でも、あの連打はさすがにきついわ」

はじめは嫌々やってたみたいだけど、剣術好きなのかただの嗜虐趣味なのか、リプファーグは次第に熱が入ってきて剣筋が鋭くなってきた。

適当に攻撃を受けるのがきつくなっていたので、思わずいつもの受け方をしてしまったのは御愛嬌。

やはり慣れたやり方が一番だ。

まるでサイズの合わない、他人の靴でも履いているみたいな感覚だった。

はー、疲れた。

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