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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)は只今基礎訓練中
117/228

117.

「おいお前、聞いてるのか」

後を付けられているのはヴォイドも私も判っていたので、後ろから声を掛けられても驚きはしなかった。

「何か用か」

ヴォイドが不機嫌な声で答える。

「あんたじゃない。隣の奴だ」

勇敢にもこの男は、不機嫌状態のヴォイドと対峙をしても何事もなく言ってのけた。

風が吹き荒れているような気がするのは、何も今日が風がきつい日という事だけが理由ではないようだ。

怖いよ、ヴォイド。

「えーと、何かご用でしょうか?」

私が棒読みで答えると、相手が渋面を作った。

様に見えた。

辺りが暗くて見えません。

「付き合え」

ばからしい。

用件も名前も告げない相手の後を、一体誰が付いて行くと思うんだ。

あんたはテレビの有名人か。

「なぁ、ヴォイド。知らない人から、お付き合いして下さいと言われたように聞こえたんだが、付き合うべきなんだろうか?出来ればそういう事は、好みの異性から言われたいのだが…」

「奇遇ですね、俺もです。出来れば、自ら言いたいのですが…」

「え?」

何か続けて言ったような気がしたが、良く聞き取れなかった。

「…いえ。何でもありません。それより、付き合うのなら良く知った相手の方が良いでしょう。少なくとも、こんな暗闇で告白してくる輩とは、付き合うべきではありません。それでは、時間もありませんしそろそろ参りましょうか」

ヴォイド、ノリいいなぁ。

「そうだね。君とは付き合えないよ。ごめん。だけど、人前で告白する君の勇姿は、忘れないよ。それじゃ」

踵を反して帰ろうとしたら、後ろから何か言ってくる。

「な、な、貴様ら、一体何を勘違いして。こら、待て!行くな!レイと呼ばれている奴」

肩を掴まれた。

はぁ。

「まだ、何か?」

「当たり前だ!告白したわけではない。訂正しろ」

あれ?そっち?

「…解りました。えーと、訂正します。名も知らぬ誰かに、付き合えという告白をされたような気がしましたが、どうやら空耳だったようです。何も聞いておりませんので、私共はこれで。それでは」

「え?いや違う。なぜそうなる。わざとか」

わざとです。

はい。

「もう、いいですか?ルイ行きましょう」

ヴォイドが痺れを切らしたようだ。

私の肩を持ち、城の方へと誘導する。

「おい!」

「これ以上付き纏うようなら、実力行使にでますが」

ヴォイド、だから怖いって。

空気が。

「こらこら、子供相手に実力行使とか。後が面倒なので、こういう時にはに…」

「おい!いつまでかかってる」

どうやら仲間が2人、呼びに来たようだ。

あちゃー。

頭を抱えたくなる。

「はは、実力行使だって?こちらは手勢が揃っている。そこの出来損ないと、そんな奴と一緒にいるあんたにいったい何が出来るんだ」

うあー。

なんか痛い発言された。

恥ずかしい。

これ以上聞きたくない。

どうしよう、この三下発言。

身悶えしてしまいそう。

出来そこないは否定しないけど、手勢が揃ってるとか、揃ってるとか、揃ってるとか。

「はー。仕方ないですね」

て、ヴォイドものらなくていいから。

仕方ないとか言って、臨戦体勢なるんじゃない。

「ルイ、手出し無用です」

あ、はい。

「ふん、腰抜け。自分では何もしないつもりか」

こちらを挑発してくる、三下その1。

いや多分、こっちにあんたらが回ってくる事はないと思うよ?

ヴォイドの実力は、この間の酒場で実証済みだから。

気配も消せない人たちが、かなう相手じゃないって。

やめて去る事をお勧めします。

心の中で。

「怖くなって、言葉も出ないか。この役立たず」

はい怖いです、ヴォイドが。

三下その2が、こっちに殴りかかろうとする。

おっと。

こちらに来るかと思われたその2は、ヴォイドが無効化。

その1はすでに動かない。

残りその3も時間の問題のようだ。

「ヴォイド、なんか厄介事に巻き込んだみたいだ。ごめん」

終わったのを見計らって声をかける。

「いえ、これ位なら苦でもありません。ですがこのままだと、また変な連中が来そうですね。暫くはお一人での行動は避けておいたほうがいいでしょう」

きっと、私が弱そうだと思われている事に原因があるのだ。

一番いい事は、喧嘩できますよって言う所をアピールする事なんだけど、それって目立つし何か個人的に嫌だ。

既に悪目立ちしている自覚はあるが…

本当は、周りに空気のように溶け込むのが一番いいんだけどなぁ。

もうこの段階では、無理そうだ。

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