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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)は只今基礎訓練中
116/228

116.

ふふふふふ。

何故か先程よりも、酷い有様なんだけど。

これは、片付けたとは言わない。

もう諦めて寝るべきか、明日以降の為に片付けるべきか、それが問題だ。

そんな事で悩んでいた時、何故かBon Joviの"It's may life"の歌詞が頭の中に出てくる。

うん、今しかないわ。

今やろう。

後悔はしたくない。

というわけで始まりました、夜の大掃除。

の、掃除抜き。

それから2時間、怒涛の片づけがやっと終わった。

ふー。

「何か俺の母ちゃんより手際良い」

母ちゃん……

そうか、うまくやるとこれ位の息子がいてる同年代もいるわけか。

なんかますます年いった感じがする。

「言っとくけど、種類分けせずに適当に置いていっているから、後で各自自分の荷物を確認した方がいいよ」

私が言うと、2人とも渋々頷く。

その時、ノックが鳴ったのでジェイが出た。

すると何かを抱えて、誰かが入ってきた。

「これ、隊服だってさ。各自自分の名前の分を取って、隣へ回せだって。あ、俺隣の部屋のクィリムって言うんだ。宜しくな。じゃ、俺疲れたから、また明日」

入って来たのは、どうやら隣室の者らしい。

言うだけ言うとさっさと出て行き、そこには大量の隊服と思われるものが残されていた。

一応隊服って支給されるのか。

てっきり無いのかと思っていた。

この隊服のサイズは、健康診断の問診を参考にしているのだろうか?

自分の分を取り、隣へ回す為に運ぼうとしたらジェイに先を越されてしまった。

それにしても問題はサイズだ。

問診に適当に身長と体重を書いた記憶があるので、身体に合っているのか非常に気になる。

だが、それは明日だ。

今日はもう疲れた。

よし、寝よう。

「というわけで、身支度したら寝るわ。悪いんだけど」

皆に挨拶だけをして、トイレで歯を磨いて服を着替えて皆よりも先に寝た。

私は何故か上段を勧められたので、ベッドは上を使わせてもらっている。

私の下がヴォイドで、向かいの上段がジェイ下段がウィルだ。

ウィルが不平を言いまくっていたが、ヴォイドが一喝して治まった。

私は眠い。

お休み。

次の日隊服を着ると、サイズがやたらぴったりだった。

こうまでサイズが合っていると、非常に気持ち悪い。

何故私のサイズを知っているのだろうか。

その日の大半はその事で頭がいっぱいだったが、2日目3日目ともなるとそんな事はとうに忘れてしまった。

訓練メニューは2日目3日目ともども、初日と一緒で、ひたすら体力作りをしていく。

変化が起き始めたのが、4日目以降だ。

4日目の朝、教官の第一声が「今日から剣術を行う」だった。

それを聞いた時の皆のテンションは異常に高く、それだけで剣術への感心の高さが窺える。

それなりに剣を扱えるらしく、皆自信満々だ。

訓練メニューに関しても、剣術が中心となり指導教官も専門の者に替わった。

内容は本格的に経験者仕様になっていて、剣術をやった事がない者には厳しいメニューとなっているようだ。

だが、他の者は今まで自分達が習ってきたものとそれほど違いは無いのだろう、問題無く訓練をこなせている。

私と違って。

私は剣術指南の動きを何とかトレースしようとするが、出るわ出るわ私の変な癖。

何せ私の形は特殊すぎて、今教えられているものと何一つとして共通項がない。

なので必死になってトレースして振ってみたけど、どうも剣に振り回されている。

形が違うだけで、ここまでやりにくいか。

あえて言うなら、20年フェンシングをやってきた人が、いきなり日本の剣道を習う感じだろうか?

もうこの剣術の習得は諦めようか。

変に癖が付くのは嫌だし。

そう思い始めて4・5日経つと、指南役からも周りからも使えない奴認定されていた。

実力主義なので、使えない奴への態度は厳しい。

まあよくある話で、いわゆる排除活動が行われていく。

食堂でもよく悪戯されるようになった。

自分の分の食事がなかったりとか、食事を運んでいる途中に足引っ掛けられたりとか。

お前らはガキか。

いや、みんな10代だった。

少しへこむ。

若いなぁ、皆。

それにしても、この城のシェフと仲良くなっておいて良かった。

ここの食事のあまりの美味しさに、見かけたときに思わず声をかけたのだった。

それ以降ジョギングに出る際よく会うので話したりする。

そのシェフ達が、時々寄宿舎の厨房にヘルプで来るらしい。

その時は、私の分を残しておいてくれている。

とてもありがたい。

食いっぱぐれると、次の日へろへろだし。

何が良い方へ転じるか判らないものだ。

人との繋がりは大切にせねばと、つくづく感じた。

今では学習して、他の隊員が食べ終わるのを待ってから、食堂へ向かう様にしている。

ジェイとウィルには、付き合わせるのが申し訳なくて先に食べる様に提案したが、ウィルの「馬鹿か」の一言で一蹴される。

ウィルが最近歩み寄って来てくれてるのが判るので、少し嬉しい。

ジェイとも何だかんだ言いながら、よくつるんでいる様だしいい事だと思う。

ただ心配なのは、私のせいで彼らに何らかの影響が出たりしないかだ。

私と違って本気で騎士を目指しているので、私と一緒にいるのは将来の事を考えると良くないような気がする。

ヴォイドは私の護衛のためにいてくれているので、影響はないとして……

最悪の事態にならない様に、動いておかないといけないかもしれない。

「またおかしな事を考えているだろう」

ジェイが私の顔を見て話しかける。

こぼれる、こぼれる。

「食べながらしゃべるな」

ウィルがすかさず注意をする。

「母ちゃんみたいな事言うなよ」

「か!?誰がお前の母君だ」

本当に仲良くなったね、この2人。

食後のお茶を飲みながら、しみじみと思った。

「2人とも食べる事に集中しろ」

ヴォイドが注意すると、2人ともしゅんと大人しくなる。

ここ最近このパターンが多いな。

見てて面白い。

2人とも食べ終わり、部屋に戻る。

一度、風呂に入ろうと城に向かう途中、声をかけられた。

「おい」

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