112.
とまあ調子に乗ってエウェジークを頼んだが、エウェジーク、その前に。
某製薬会社の製品みたいなこのフレーズが頭に思い浮かんだが、やはりこのお店の惨状はいただけない。
という事で、ラポイその他大勢はロープで身動きが取れないようにしておく事を提案した。
各々自分の倒したと思われる人物を、オーナーから借りたロープで締め上げて行く。
その途中で若干一名程呼吸を乱しながら抵抗する者もいたが、これ以上なんだか関わらない方がいい様な気がして、きつく締めあげておいた。
終わって顔をあげたら、目があった。
目がトロンとしていた。
うん見なかった事に。
ほぼ全員気絶しており、どうやら皆まとめ終わったようだ。
騎士団まで人員を要請中のようで、それまで片隅に放置。
後、モップみたいな掃除道具を借りて、店内の清掃もしておいた。
常連の客も手伝ってくれたので早く終わる。
その後、は無事なテーブルに料理やら酒やらが置かれ、常連客などを巻き込みながらの飲めや歌えの大宴会がはじまった。
私は酒蒸しをリクエストして、更に先ほど飲み損ねたハイジェクを一緒に注文。
いやー、おいしかったなぁ。
あのコクとほんのり苦味の絶妙さ加減、あの喉を刺激する喉越しがくせになる。
他にキースの隠し玉がないか質問攻めにしたが、呆れられたのか後日リストをくれるそうだ。
うしっ。
ジーマとヴォイドは強そうなお酒を飲みまくってた。
後、私が覚えているのは、常連との飲み比べで少しお金を儲けた事だ。
これで、お酒買えると思って喜んだのが大間違いで、ナンチャラの酒イウィという薬屋でそのお金をほぼ全部持って行かれた。
薬って高いのね。
そしてジーマが飲んだとういう、酔い止め薬と全く同じものを飲まされた。
何故かって二日酔い予防。
ならないと言い張っても皆聞いてくれなくて、無理やり飲まされた。
苦い、不味い、もうごめん。
絶対みんな楽しんでるだろ。
とりあえず、宿泊先で寝て早朝に起きる。
王都に帰るためだ。
キースによれば潮の流れの関係で、今の時期は船より陸路の方が王都への到着が早いそうだ。
なので、艦長には申し訳ないが陸路で帰途につくこととなった。
で、今はと言うと、馬に乗っている。
正確には馬……もどき。
この馬のさばき方は地球とほぼ一緒で、少し馴らしたらすんなりと動く。
どうやら素直ないい子に当たった様だ。
むしろ普通の馬より捌きやすいかも。
顔は厳ついけど。
という事で、王都に向けて出発といきたいが、その前に艦長の所へ挨拶に行く。
お世話になったし、料理美味しかったし。
艦長に理由を話すと、快く承諾してくれた。
バンサーの事が気になり尋ねると、すでに騎士団へと引き渡した後のようだ。
そうか、まぁ、今すぐどうこうなるわけでもない。
放置と言うのも一つの手か。
情報が少なすぎるので、今動いても意味がないという結論に達した。
再度艦長に礼をして、船を下りた。
それから2時間かけてひたすら王都に向かった。
途中休憩をはさみホテルでもらったパンを食べた。
そして着いたのが、初めての王都!
ずっと城の中だけの生活だから、見た事が無かったし。
だけど残念、ゆっくり見る時間も感動に浸る時間も無く、城の厩舎へ直行。
何故かというと、訓練に間に合うように皆スピードを出してくれてたからだ。
「ルイが、あれに乗れるとは思いませんでした。少し残ね、いえ。それに早駆けについてこれるとは」
ヴォイドが感心したように言う。
「ああ、うん。小さいころに習ったから」
あれではないけど。
後ラクダにも乗った事がある。
先に馬に乗ってたから、ラクダは慣れるのに日がかかった。
懐かしい。
「道理で手慣れていましたね。少し疲れていませんか」
「休憩させてやりたいがな、集合の時間大丈夫か?」
キースが忠告を入れる。
思わず時計を見る。
集合時間15分前です。
ヤバいです。
「キース、ジーマありがとう」
急いで挨拶し、この2人とはここで別れた。
ヴォイドと私は慌てて、寄宿舎へと戻り荷物を置きに行った。
もちろん荷物とは私の服達だ。