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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者のプチ旅行
110/228

110.

ったー。

背中に当たった椅子が痛い。

他の3人が心配するが、大丈夫だと答えておいた。

それよりもウェイトレスさんだ。

「えーと大丈夫ですか?」

彼女の顔をのぞきながら、聞く。

びっくりしたのか、こくこくと頷くだけだった。

盛大に2人ともお酒を被っていたので、服が濡れてひどい事になっている。

顔にもお酒が垂れてきて、目に入りそうだったので指で拭い、そのまま指に付いたお酒を舐めとる。

うん、色んな味がしてちょっと美味しかった。

我ながら行儀が悪いと思うけど、そろそろお酒が飲みたいぞー。

こちらをじっと見つめるウェイトレスさんの濡れた姿が、なんだか色っぽくて目のやり場に困ったので、着替えをするよう促す事にした。

「このままでは身体によくないな。着替えてくるといいよ」

私がそう言うと、振り子のトラみたいに首を縦に振って、走って行ってしまった。

走らなくても。

それにしても、せっかくの新しい服が……

しかもテーブルの上は、大惨事だ。

あの美味しかった料理達の上には、満遍なく木片がまぶされていた。

ンのヤロー……

ふつふつと怒りが湧く。

洋服と酒と食事の恨みは、男と間違われるよりも深い!

ふふふふふ。

どう調理してやろうか?

垂れてきて邪魔になった髪をかき上げ、考える。

「おい、そこの周りが見えていない兄さんがた、ちょーっと面貸してもらおうか?」

そう声をかけながら、原因の2人に近づく。

「何だ、お前?」

「関係ねぇ奴は引っ込んでろ」

うん、兄さん方、見事に形式美を踏襲した返事をありがとう。

「関係無い、ねぇ。本気で言ってんのかなぁ」

私のお酒返せ。

「なんだ?やる気か?」

「そいつ諸共、やっちまおうぜ、ラポイ」

ラポイと呼ばれた男の仲間らしき奴が、追従する。

「いいぜぇ、今最高に頭にきてんだ。殴れる相手が増えるとはな、くく」

ラポイと呼ばれた男が、何ともいえない発言をしてきた。

やばい、キョウキーニ殿下と同じ臭いを感じる。

「だから引っ込んでろと言っただろ、ああなったら奴は止まんねーんだよ。邪魔だ。どけ」

「こちらはこちらの言い分があるんですよ。はいそうですかって引っ込んでなんかいられるか」

ラポイと呼ばれた男とそいつと喧嘩していた奴に、言い放った。

私が言葉を続けようとすると、待ったの声が入る。

「ルイ、ここで争うのはよくない」

ああ、ヴォイド止めないで。

このお腹の辺りのもやもやが、一発殴らないとおさま

「表でやりましょう」

え?あ、やるんだ。

「おい、ヴォイド何を言い出す」

キースが慌ててヴォイドに注意をする。

「キース止めないで下さい。ああいう輩はしつこいですよ。徹底的に殺ってしまったほうがいい」

「同意だ」

ヴォイドに続いてジーマまで、参戦表明する。

「待て、2人ともいや3人とも、落ちつけよ」

キースが慌てて止めようとするが、もう遅い。

私は、やる気です。

「何さっきから、ごちゃごちゃ言ってやがる。途中から首突っ込んできたんだ、覚悟はあるだろ?」

ラポイがそう言うや否や、キースに殴りかかっていった。

「うぉっ。俺は注意をした。そして巻き込まれた。少しお灸をすえる位なら、別に構わんよな。規則第5条の適用という事で」

キースがぶつぶつ言いながら、ラポイに反撃する。

それを皮切りに乱闘が始まった。

ラポイとその仲間が、12人ほど。

対するは、私達とプラスアルファ、人数はこっちが少ないか。

「だから表にと言ってるのに」

ヴォイドが溜息をつきながら、向かってくる相手を一瞬にして倒す。

早いな。

と、よそ見をしていたら、ストレートが来た。

相手の腕の勢いを利用して反撃しようとするが、標的がその前にいなくなった。

ジーマが相手の襟元を掴み投げ飛ばしたようだ。

今度は横合いからきた攻撃を身体を捻って躱し、そのまま相手の足をすくってやろうとするが、キースが頭殴って、その相手を気絶させた。

ラポイがこちらに気付き、にやっと笑う。

「おいおい、口先の威勢だけか?お前誰ひとり相手してねぇじゃねぇか。お・嬢・ちゃん」

良く見てるな。

確かに相手をしようとすると、横取りされる。

あんたの言ってる事は、一言一句間違っていないよ。

最後の発言も間違っていない。

間違ってないはずだ。

何だかむしゃくしゃするので、そこらのテーブルに置いてあった、奇跡的に助かっているお酒を一気に喉に流し込む。

「うあ、これ旨い。なんて言う酒なんだろう」

思わず笑顔。

それがいけなかったのか、ラポイがこちらに向かって突進してきた。

へぇ、相手になってやろうじゃない。

その前に、もう一杯別のお酒を。

と。

「ルイ!」

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