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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
自称現実主義者のプチ旅行
106/228

106.

せっかくメイクオフ出来たので、出来ればそのままでいたい。

すっぴんで普通に街中うろつける女なので、メイク無しでとその旨を伝えたら、断固反対された。

こうして私のお肌が酷使されていくのね。

「出来たわ。女性の姿も素敵ね。ああ、街の皆に見せたいわ」

誰に見せる気だ。

それにしても商売上手な人だな。

こうやって客を乗せていくのかぁ。

気分を良くした客が、もう一着追加注文してくれるわけね。

「あはは、ありがとうございます」

一応礼を言っておく。

「ミルに見せなきゃね。少し待ってて」

うん、この服着てみた感じ動きやすい。

伸縮性の割に体にピタッとくっつくタイプではないので、不快感がない。

これいいわ~。

ビバ異世界素材。

しばらくすると、2人がこちらの部屋に来た。

「ミル、どう?見違えたでしょう?あの服私の力作なのよ。素材に拘ってみたの。歩き姿がきれいに見えるわよ。足に注目ね」

何のおすすめ情報だよ。

「昨日は昨日でよかったけど、今の服の方が自然だな。似合ってるよ」

ドミトリーがお世辞を言ってきたので「ありがとう」と返しておいた。

お金、どうしよう。

私的には先程の、男物上下だけでいいのだけど。

とか考えていると、どうやらドミトリーの図案代で男女物2着分の洋服代が賄えるそうだ。

ドミトリーにとって濡れ手にあわの収入だったので、私がお金を返すと言ってもいらないの一点張りで受け取る気0だった。

「じゃあ、決まりね。今レイさんが着ている服は、少しだけ詰めて今日中に届けるわ。ミル、レイさんも貴方と同じイェルナールの碧玉に泊ってるのでしょう?」

イェルナールの碧玉は、確か提携ホテルの名前だったはずだ。

チェックインまだしてないけど。

「ああ」

「じゃあ、そこに届けるわね。ミルの服は、もう少し時間がほしいから、出来上がったら王都の方に届ければいいかしら」

「頼む」

「そう。さて、レイさんの先程の男物の直し、すぐに取りかかるわね。2人ともそこで待ってて。女物と違って直すのは簡単だからすぐに仕上げるわ」

備え付けのテーブルでしばらく待っていると、本当に仕上げが早かった。

その後すぐに男物に着替える。

もちろん、メイクは落とさせてもらった。

「あの、色々ありがとうございました」

お礼ついでに、この店員の名前も教えてもらった。

この人を気にいったっていうのもあるけど、服の着心地も凄く気にいってしまった。

「私はクムージォ。それから、クムージォの服飾工房がこのお店の名前よ。良かったらまたいらっしゃい。男物でも女物でも、貴女は作りがいがありそうだから、いつでも歓迎するわ」

店長さんでしたか。

「ええ、その時はぜひ」

今まで着ていた服をクムージォさんから受け取り、私とドミトリーはこの店を出た。

服は麻で作られた袋の中に収められ、持ちやすいように肩にかけられる工夫がされていた。

「ドミトリー、その、服をありがとうございました」

お金のやり取りは無かったとはいえ、結局服をもらったことには変わりない。

お礼を言っておく。

「いや、構わないんだが、なぜ男物に着替えたんだ?」

顔を見ると、少し不満そうだ。

さり気なく袋を持とうとしてくれたが、重くは無いので断った。

「え?いや、船員の人に見られるのは不味いじゃないですか。男だと思われている訳ですし」

女装していたのは任務の為と思われている方が、何かと良い様な気がする。

あの船の人達は、騎士団と繋がってるみたいだし、人の口に戸は立てられないとも言うので念には念を。

「あ?あぁ、そうだったな。すまない、騎士団に所属しているわけだしな」

「そういう事です」

「まぁ、何だかいろいろ複雑なんだが。本人が納得している事にとやかく言うつもりはない。ああ、ここを抜けると雑貨なんかの工芸品が売っている区画だ。行ってみるか?それとも先にホテルに行くか?」

工芸品がもの凄く気になるが、先に泊る場所を確保した方がいいかもしれない。

艦長の話によれば、ホテルの宿泊費は既に払い済みなので気にしなくてもいいそうだ。

騎士団から前金でいくらか出てるらしい。

「イェルナールだったっけ、そちらへ先に行きたいです」

そうしてやって来ました、イェルナールの碧玉。

賑やかな表通りと比べて閑静な住宅街というより、邸宅街が目立ってきた辺りにそのホテルはあった。

貿易港の近くなので、何となく飲み屋兼宿屋なこじんまりとしたイメージを持っていたけど、どうやらなめていたみたいだ。

王都と違って、貿易都市としての色が強いのか家の造りが開放的で、雰囲気が高級別荘地。

何というかリゾート地に来た感じだ。

そのホテルは、パウダーブルーの壁が印象的なヴィラだった。

なるほど、碧玉だわ。

中に入ると、従業員が出迎えてくれた。

「ウラジーミル様、ようこそ。お連れ様も。ご宿泊ですね?」

「ああ」

「ではこちらに」

とてもいい滞在先となりそうだ。

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