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第4話 今世の私と世界観


 どうやらあの熊のお爺ちゃんは私の命の恩人であったらしい。


 不審者だと思って思いっきり泣いてしまった。

 素直に申し訳ない


 でも、熊のようなお爺ちゃんが涙をダバダバ流しながら迫ってきたら誰でも泣くと思うの。許して。

 

「おぉ、ごめんよ。驚かせてしまったかな?でも、それぐらいお主が生きていてくれ嬉しかったんじゃよ。なんてたって、1週間も目を覚まさなかったんじゃからな」


 涙や鼻水やらでぐしゃぐしゃになった顔をハンカチで吹いてお爺ちゃんは破顔する。

 そして、宝物に触れるかのように優しく私の頭を撫でてくれた。


「よく、頑張ったのぅ。山の中で一人、良くぞ生き残って……。儂はお主の本当の親にはなれんが、親代わりとしてしっかり育ててやる。だから、元気に育つんじゃぞ」


 そう言ってもう一度私の頭を撫でたお爺ちゃんは、ナースを呼びに部屋を出ていった。




「……だーう」


 一人、病室に残された私は思う。

 

 私は前世を含めて精神年齢は200歳近い。

 お爺ちゃんとの歳の差も100歳以上離れているはずだ。

 感謝の念は覚えても、安心感を覚えるのはおかしいと。


 それでもさっき、頭を撫でられたときに私は思ってしまったのだ。


 ”あぁ、なんて温かい手の平なのだろう“、と。


 やはり、人は人肌が恋しくなるものらしい。


───────



 あれからなんやかんやあって、私は無事退院をすることができた。

 軽い栄養失調や大きめの擦り傷などがあり治るまで1ヶ月はどかかったが、その甲斐あってか今では元気ピンピンである。

 お爺ちゃんには感謝しかない。


だーうぶぅ(ありがとうございます)


「ん?どうした()()、お腹が減ったのか?ちと待っておれよ」


 私としてはお爺ちゃんに感謝を告げたのだが、どうやらお爺ちゃんはご飯の催促だと勘違いしたようである。

 キッチンへと歩いていってしまった。

 まぁ、実際お腹は空いていたのでありがたくミルクは貰っておこう。

 私は心のなかで再度お爺ちゃんへと感謝を告げた。



 さて、生まれ変わってすぐのごたごたも収まり、今世で分かったことを整理するのにもいい機会なので、お爺ちゃんがミルクを作りに行っている間にこの世界に生まれ変わって分かったことを纏めようと思う。


 まずは、私について。


 今世の私の名前は、さっきお爺ちゃんが呼んだように有栖。

 これは私を養子として引き取ってくれたお爺ちゃんが付けてくれた名前で、苗字はお爺ちゃんと苗字の桜川である。


 また、有栖という名前からも分かるように今世の私は女の子であり、これはあの転生システムですべての数値を最低値にしたことによるものだと私は考えている。

 単純な力や素早さでは、やはり男である方が有利ですから。

 前世との身体の違いによって居合に影響がでないか心配である。


 次は、この世界についてである。


 私は転生すると聞いて、てっきり中世ヨーロッパてきな世界に転生するものだと思っていたのだが、どうやらこの世界はもとの世界とあまり変わらないらしい。

 街にはマンションが建っており、車も走っている。

 違うのは全国にダンジョンというものがあることぐらいである。


 そして、最後は『ギフト』について。

 

 私は転生するにあたって『ギフト』は鍛錬の時間へとしたが、この世界では殆どの人が神からの『ギフト』として何かしらの能力を授かるらしい。

 『ギフト』を授からなかった少数の者は()()()として冷遇されるらしく、『ギフト』を転生する前段階で使いきった私もこれに当たり、私が捨て子とされたのにもこれが関わっていそうだ。




「有栖〜ミルクが出来たぞ〜」


 と、丁度キリがいいタイミングでミルクも出来たらしい。

 情報を纏めるのもここまでにして、今はミルクを堪能するとしよう。


 私はお爺ちゃんに飲まされるがままに、ミルクを一気飲みする。


「ごきゅごきゅごきゅ」


 そして1分もかからずに飲み干し、私は思った。


 100年以上食べていない寿司や焼肉が恋しい、と。

 別にお爺ちゃんが悪いわけではないが、私も味の濃いものを食べたいのだ。


 そんな風に私が微妙な顔をしていると、お爺ちゃんは私を抱き上げて背中を叩いてくれる。


「けぷっ」


「よしよし良く飲んだなぁ。一杯飲んで大きくなるんじゃぞ」


 そうしてお爺ちゃんは私にげっぷをさせると、私を布団に下ろして頭を撫でてくれる。

 やはり子供の頭とは無性に撫でたくなるものだろうか?

 迫りくる睡魔に身を任せながら、私はそんなことを疑問に思うのだった。



 


所謂説明回でした。本格的な戦闘描写などは次回からですね。

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