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「佳奈子は俺とあたりまえに二人でいたり、居酒屋に行ったりするけど、怖くないの? 俺だって男なんだよ?」

 手が離れ開放された口から言葉が出てきた。深呼吸のおかげか少し落ち着いた声で。

「うん。だって友達だし、絶対そういうことしないでしょ」

 なんの抵抗もなくさっぱりと回答がきた。異性としてすら見られていない。危険意識を一切持たれていない。人によっては喜ばしいことなのかもしれない。だけど、彼はほんの少しも喜ぶことができなかった。

 押さえられなくなった彼は腕を伸ばし、彼女の腕を握る。蓋のない空のペットボトルが全く潰れないような強さで。

「こんなこといきなりされても、怖くないの?」

「うん」

 怖がって欲しかった。危機感を持って欲しかった。ちゃんと男性なんだぞ。君を狙うオスなんだぞ。なのになんだその顔は。なんで笑い続けるの? 舐めているの? お前なんかに私をどうこうできないだろうって? ああそうだよ、できないよ。俺は君が大切なんだ。できる限り傷つけたくない。幸せにしてあげたい。君が心から笑い続けられる場を作れる人間でありたい。今の状況は俺の望みじゃない。ここで君を襲ってもし一時的な快楽を得ることができるとしても、俺はそれをしたくないと思ってる。でも、そうじゃないんだよ。俺の想いとこれは別なんだよ。ちゃんと怖がってくれよ。扱い方はわかっているみたいな余裕な笑顔を見せないでくれ。怖い、怖いんだよ。その顔が。

 彼女はゆっくり彼の手を解いた。その後も握っては剥がされを繰り返し、遂に手を膝に戻して沈黙した。これが彼の失恋物語の最終章だった───。


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