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「俺じゃダメなの? 俺、結構ちゃんとした就職先決まったよ? いくらでも一緒にいるし、多分佳奈子のこと今誰よりもわかっていて、誰よりも大切に思ってる。俺だって佳奈子のこと幸せにできると思う」
言い終わってからやっと口を押さえた。もう手遅れではあるが、これ以上何かを発言したら、さらに醜い言葉か彼女を傷つける言葉を発してしまうと考えたから。それでも押さえられない気持ちを深呼吸で抑えようと努力した。
彼女は笑顔になった。ただ、それが作り笑いであることはすぐに勘づいた。彼女の本当の笑顔はこんなものではないと誰よりもわかっていたから。
「ありがと。本当に嬉しいよ。でも、やっぱ友達としてしか見れないかな」
何より先に感じたのは恐怖だった。彼女が別次元の存在のようで。確かにスペックが追いついていないかもしれない。人間性も、容姿も、性格も、学力も、能力も、何もかもが彼女に追いつけていないかもしれない。でもそんなもので測るものではない、明確な差があるように感じた。おそらく一生埋めることのできない。
涙が溢れた。それでも彼女の顔から目を離すことができず、手の甲で拭いながらどこまでも笑顔の仮面を見続けた。




