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去年の誕生日に佳奈子から貰った誕生日プレゼント。無名なピカソもどきが描いたと思える文字板が多数の人にとって不要と感じさせる要因だろう。おそらく彼女もプレゼントと銘打っていらないものの処分をしただけだったろう。だがプレゼントとは代物以上に誰から貰ったかが重要なようだ。彼もいらないと思いつつ、捨てることも適当に扱うこともなく、机に散らばったものの中で唯一置いた記憶が残っている物だった。印象に残ることは特になく、ただ「おめでと」とだけ言われて渡されたもの。先ほどの本に比べればまだわかるが、思い出として挙げるには少し弱いものな気がした。強いて言えば貰ったこと自体が思い出ではあるのか。
続いて手に取ったのは写真。彼が佳奈子とその元カレの三人で撮った物だ。展望台で佳奈子を挟んで座り、適当なピースと笑顔を並べている。三人とも目が笑っていなかった。
「これはようやく、思い出らしい思い出だな」
元彼と別れたあと、ボロボロになっていった佳奈子の気を紛らわせようと遊びに誘ったときのものだ。本来は二人で行く予定だったが、何故か佳奈子は元彼を呼んだ。それが彼への信頼のなさから来るものなのか、元彼に対する依存によるものなのか、今となっては全くわからない(信頼のなさから来るならまず誘いに乗らないとも思うが)。
写真の次にと机の上に再度目を向ける。改めて俯瞰して見たことにより、思い出の山がかなりの大きさになっていることに驚く。




