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 例の声は「境遇が似てると感じ思わず購入した小説」を購入したときの声だった。行きつけの本屋でタイトルに興味を惹かれ、あらすじを読んだ。内容としては、「片想い相手の他者との恋愛を応援する」といった内容だった。詳しくはもう少しファンタジー寄りの内容であったが、そんな設定以上に主人公の置かれた境遇に惹かれた。

 コップに入った水を飲むと過去の思い出を鮮明に思い出す。それが恐らくこの曖昧なファンタジー現象の設定らしかった。同系統の小説が好きなせいか、腑に落ちるのは早かった。

 本を取り上げる。既に本は読み終わっている。設定というよりも、文章の繊細さが際立つ作品だった。それだけでこの作者の作品全てに興味を持てるほどに。現にこの作者の最後の一冊を取り寄せ切った所だ。ファンと言っても良いほどにはのめり込めているだろう。

「とりあえず、この状況が俺の行動によるものじゃなさそうな気がするしよかった。恥ずかしくなく済む」

 結黒歴史にもなり得る様々な代物が机の上に広がったままなのだが、ひとまずそのままにした。失恋の痛みが蒸し返してくるが、この際だし愛惜を少し楽しんでみようと。

 彼はコップと本を机の上に置き、ひとまず机の上に置かれている物を簡単に確認する。特に目につくのはやはり懐中時計だった。


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