29話
「これが、武器に……?」
箱に収められているそれが、双樹にはただの球体にしか見えなかった。
本当に、他のパイロットたちが操っているような立派なものに変身するのだろうか。
『それはな、複数のセルファの核で作られている』
当惑していると、青海川が説明を始めた。
『君も見ただろう、敵を倒した時に』
「は、はい。白くて、硬いものでした」
あの日、双樹がその物体を槍で完全に砕くと、セルファの生命活動は停止した。
『そう。我々はそれをセルファの核、またはセルファの骨と呼んでいる』
「骨?」
『ああ。セルファはその命が尽きると、体内の骨が消失してしまう。だが唯一残るのが、核となっている骨だけ。我々は研究を重ね、ある程度の数でそれらが融合することが分かった』
まだ完全に制御しきれていない第七機は、しゃがんでその核の塊をちょんちょんと突いている。
『それからもう一つ、不思議なことに、セルファの核は花柩の骨部と同じ成分で構成されていることを発見した。花柩は自身に溶け込まない異物を受け入れない。そこでこのセルファの骨ならば武器として転用できるのではないかと考えたわけだ』
青海川は双樹のことはお構いなしにぺらぺらと説明を続ける。
『予測は正しかった。花柩がそれに触れる。するとカイが考える、パイロットが一番扱いやすい形、パイロットを一番守りやすい形の武器に変化した』
『薊さーん、話長いよー』
『なんだと? 冬夜、理論を理解してこそだな、』
藤が話に口を挟む。
内容を理解するのに頭が痛くなっていた双樹は、セルファの骨と呼ばれるそれをまじまじと見た。
「俺が持ったら、どんな武器になるんだろ……」
その時、突然花柩第七機が球体を掴んだ。
「え……?」
白い両手で包まれたそれは、双樹の目の前まで来ている。
『か、花柩第七機、複合核を所持……』
花澤の戸惑った声が響いた。
『おい夏宮! 勝手にっ……』
『お、俺指示してませんっ! 葵、待て……!』
『花柩から、複合核へのエネルギー注力を確認っ……』
球体は徐々に光を放ち、何かが起ころうとしていたのは明らかだった。
『そいつはだなっ……』
青海川が何か言いかけた時、その光は最大限になり皆の視界を奪った。
次の瞬間。
「……恐竜……?」
花柩が大事そうに握りしめているのは、玩具をそのまま大きくしたような、金の恐竜模型。
『……そいつは、一度形成されたら元に戻らない……のに、なんだそれは……』
青海川は思わず頭を抱えた。
『あははっ! 恐竜⁉』
今は笑ってくれる藤だけが救いである。
『薊、どうする……?』
『あぁもう僕に聞くな蓮……おい、それは遊ぶものじゃないぞ!』
花柩第七機はそれを嬉しそうにガラス面へ近づけて、彼らに自慢しているようだった。




