ガラス越しに外の景色が見えるカフェより、ちょっぴり毒舌なギャル二人(推定20歳)の他愛無い会話
「おっ、うち好みのジェントルマンを発見。あー、こいつはうち的過去最高ハイスコアを獲得だよコリャ。まさかの100点満点中の90点が到来しちゃったわコレ」
「へぇ? 近年稀にみる高得点じゃん。どれどれ? 何処に御座しやがるドコのどいつよ?」
「ほれほれ、うちの人差し指が示す方向をよーくご覧あそばせ。現在電話をかけつつ、あの信号待ちをしている営業マンと思しきスーツの紳士だよ」
「ほうほう、アレか……って、げっ! マジかよアンタ? チビ・デブ・ハゲの三種の神器が揃い踏みな中年オヤジじゃん」
「はぁ、そうですが、何か? てか、チビ・デブ・ハゲのどこいら辺が駄目なのか、是非にもご高説を賜りたいものですな。それこそ、チビ・デブ・ハゲを余すこと無く兼ね備えている星のカー〇ィとかメッチャ可愛いだろうが!」
「すんげえ早口で喋ってて草生える。つーか、ソレって漫画だかアニメだかのキャラクターだっけか? リアルの代物じゃねーだろうがよ」
「そう、ゲームだよ。まあ、〇ービィは漫画化もアニメ化も共に果たしちゃってっけどさぁ……てか、え、まって、もしかしてス〇ブラとか知らんのオメー?」
「おう、このあーしがそんなん知る由もねえし、全てをひっくるめてどうでもイイし。つーか、前から思ってたんだけどさ、妄想とリアルを一緒くたにしているアンタってかなりヤベー奴だよな」
「ああん? ざけんな。二次元と現実の区別くらいついてるっての。てか、人のタイプにケチを付てんなよな。こちとら生粋の年上好きだからしょうがないだろうによ」
「あーね、そう言えばそうだった。アンタって筋金入りの枯れ専女子だったよな。つーか、オッサンとか何かキモくね? 言っとくけど、芸能人みたいな見た目も若くてカッコいい中高年とか早々居ねーかんな」
「あん? そんなの分かんねーじゃんよ。オメーは全人類の個人情報を漏れ無く把握してるってのかよ?」
「んまあ、そこまで地球規模じゃないにしろ、参考になるデータならあるべよ?」
「ほう? よし許す。今すぐこの場にて、その情報とやらを提示してみたまえよ」
「うぬん、謹んでかしこまり。あのさ、あーしってば、たまに読モのバイトしてんの知ってるっしょ? そんでまあ、少なからず芸能界とも繋がっちまう訳よ。んでな、業界関係者にはちょいちょいイケオジが居るには居るんだけどさ、大抵は助平な事しか考えてないエロオヤジばっかなんよね。要は見掛け倒しって事な」
「はっ、なして相手の思考まで読めてんだオメーはよ。読心術の心得アリかよ。エスパーかよ。こいつはスゲーよ、拍手喝采だよ、パチパチパチーですよ」
「チッ、茶化すなって。最後まで黙って聞いとけや、このボケアマが。つーか、これがバッチリ分かんだって。あーしとかアンタってさ、誰もが振り返って二度見するレベルの美人なお姉さんだろ?」
「むふふ、容姿が美しいカテゴリに、さりげなくうちの事も入れた所は評価に値する。褒めてつかわすし。よし、ここのお店でオメーが好きな物を何でも注文するが良いぞよ」
「ハハァー、有難き幸せみたいな。じゃあ、お言葉に甘えまして、ここで一番高値の高級メニュー「プレミアムフルーツパンケーキデラックス」なんぞ注文しちゃってもよろしいかしらん?」
「却下だ。頼んで良いのは水だけに決まっておろうが。うちの所持金の無さを舐めんじゃねーぞ」
「んだよソレ。奢る気がねーならそれっぽい言い方してんなよ文無しが。ええ、そうですとも。どうせここの支払いもあーし持ちですものね、クソが! ……つーか、何の話をしていたのか忘れちまったじゃんかよ」
「ははっ、プロのお笑い芸人でも、漫才やコントのネタをよく飛ばすらしいし、あんま気にすんなって。てか、世の中はエロい男だらけだとか、何となくそんな話だった筈だぜ?」
「おお、思い出した、そうだよソレソレ。そいで業界人の男なんてもんはよ、あーしの事とか、まず100%の確率で口説きに来やがるんだよ」
「ふーん。でもさ、実際にイヤらしい事をされたって訳じゃないんでしょ? いきなりオッパイやらケツを揉んでくる輩なんぞ、この現代じゃ既に絶滅種だろうに」
「まあ、流石にそんなストレートなセクハラマンは確かに居らんわな。けどよ、何度か打ち合わせと称した食事会にお呼ばれされたんだけんども、最終的には必ず「ラブホ行かね?」って話に終止するんだわ」
「や、そ奴らはひょっとしたらホテルの中に設置してある、映画やらゲームやらカラオケを楽しみたかったのかもよ。もしくはホテルの料理が目当てだったのかもしんねーし」
「いや、メシ食ったあとに再度メシ食うんかよ。あーしはフードファイターか」
「そこはホレ、お腹を空かせる為にエッチするから問題ないやん」
「それって、結局あーしヤラれてんじゃんか」
「プハッ、ウケる。てか、幾ら何でも無理があり過ぎるわな。そりゃヤリモク確定っすよ、おぜうさん」
「だろ? まっ、世の中の♂なんぞ、結局は交尾の事しか頭にねーんだろってな証拠だぜ。あっ、そうだ。つーか、アンタが大ファンだった初老のベテラン俳優「M」にも誘われた事あんだよ」
「は? 初耳なんですけどソレ。そげな重要なエピソードを、何故に今の今までうちに黙っていたのか。それでオメーの顛末やいかに? うち、気になります!」
「ふふん、ご多分に漏れず、他の輩と同様に只のスケベ野郎だったぜ。しかも口説き文句が「食事の次は君を食べたい」ときたもんだ。センスの欠片もないし寒さ極まりねえよ。……つーか、思い返してもキショ過ぎる。マジ死ねよアイツ」
「OH……うち大ショックの頂点なり……マジかあー、ショックだわー。更に言えば「M」様って愛妻家で有名な好感度ランキング上位の御人なのによう……あの御仁に限って不逞はあり得無いと信じていたのにぃ……あっ、てか、よく考えたらうちってば、多分「オジサマ」ってだけでOKな女だったわ。てか、うちならすんなり抱かれるルート確定っすな、うんうん♪」
「はっ、アンタも大概ガチの変わり者だよな。ごめんだけど、あーしはアンタの価値観にはついて行けそうにないわ。つーか、年上とか、ましてやジジイとかマジ無理」
「おほっ、じゃあコレを機会にさ、それこそ漫画やアニメやゲームの二次元キャラクターに対して推し活を始めるってのはどうよ? 二次元は絶対に裏切らないしさ。やあやあ、こちら側の世界へようこそ。歓迎を致しますぞい」
「はぁ……マジにアンタって、そっち系のヲタク趣味が大好物だもんね。でもさ、アニメとかの声を演じている人……確か声優とかって言うんだっけ?」
「おい、声優「さん」をつけろよデコ助女郎! ←おっと、言っておくが、この台詞はムッチャ有名なアニメが元ネタのパロディだからして、シャレも分からずにマジギレしたとあっちゃ、唯唯オメーが赤っ恥をかくだけだかんな」
「ったく、うるせえなあ。あー、はいはい、その声優さんですけれどもね、所詮は人間だし、何かホラ、最近声優さんの不倫報道だとか、頻繁にゴシップ雑誌にすっぱ抜かれたりしてんじゃん」
「ええい、中の人などいないのだ! てか、声優さんは最早2.5次元って別次元に鎮座まします存在だし、ましてや劇中のキャラクターとは別腹枠なんだよ!」
「あー そーゆーことね 完全に理解した」←(わかってない)
「んもう、「なるほど、まったくわからん」と同義の発言しやがって。あーあ、夢を破壊せしめるオメーの暴言のお陰で、一気にうちが鬱モードだわ。もうヤダ、死にたい。てか、死ぬわ」
「ったく、めんどくせえ奴だなあ。オラッ、んな事如きで命を粗末にするんじゃねーよ。つーか、精一杯生きてみせろや小娘が」
「くううー……てか、こうなれば自暴自棄となったうちは、今までの趣味嗜好とは真逆を突き進み、純粋無垢な三歳以下の子供にターゲットを変更する事と致しますわよ」
「だから何でそうなんだよ。訳が分かんねえよ。つーか、アンタのさっきの発言は完全にアウトだって。あーし以外の人に聞かれてたら通報ものだっつの」
「おおっと、ちょっと静まっておくんなまし、ヤリマン&アバズレ女や」
「ちょ、おま、いい加減にしろよ、この腐れ×××が! ぶち殺すぞコラァ!!」
「まあまあ、落ち着きなって。ほらほら、再びお外をご覧なされよ。今正に目の前を通り過ぎて行く男子高校生っぽいお子ちゃまが居るじゃろうて。お主的に何点じゃね?」
「ああ? ……どれどれ? ……んー、随分と童顔だな。まあ、あーしは超年下好みであるからして、100点満点中の90点で」
「んだよ、めっちゃ高評価やん。てか、私が最初に付けた点数と一緒やんけ。そうか、つまり、つい今しがたのチビ・デブ・ハゲなナイスミドルと同一人物って事で正解かね? それ即ち、人類皆兄弟的な意味合いだよな?」
「はぃ? 一体何を言ってやがんだよアンタは。元々頭はおかしかったが、狂気に拍車が掛かりまくってんじゃねーか。つーか、どうやらあの男の子ってば彼女連れじゃん? まさか今日はあのカップルに逆ナンを決行すんの?」
「イエッサー、仰る通りの大正解。うちは男でも女でもイケる両刀使いだしな。本日は両者とも平らげる所存でありまするよ教官殿。今晩はあの子達でハッスル、ハッスル!」
「はっ、相変わらず見境いねーなオイ。んじゃま、今すぐ追っかけて声掛けしに行かねーとな。つーか、あーしら二人の美貌で、これまでのナンパ成功率は100%だし、相手の性別も関係なしだもんな」
「おうおう、そうと決まれば退店じゃ。善は急げだ。全力で尾行すんぞ相方よ」
「ういうい、よし来た相棒……あっ、だけれども、今回は二人とも概ねアンタが頂いちゃって全然OKな。つーか、あーしダイエット中だし」
「うっは♡ラッキー♥やったね♪イエイ☆いやあー、オメーの様な小食が仲間だとホント助かるわー。うちらみたく定期的に人間を喰らう衝動を抑えられない食人鬼の一族からしたらよー」