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閑話 頭の中将side

目を覚ました私の前に正妻の四の君がいた。


なぜ?

驚きと恐怖に震える私に、四の君は、源氏の君がここまで送り届けたことを教えてくれた。なんでも、しばらく体が動かせないであろう私の世話は正妻がした方がいいだろうとのことらしい。源氏の君、悪化する!


私の心の声も届かぬまま四の君はかいがいしく私の介護に明け暮れた。

なので油断していたのだ。

そして忘れていたのだ。

源氏の君と四の君が親しいということを。


結果、体を動かせるようになっても四の君の屋敷(一条邸)から出られないでいる。四の君が長いロープのようなものを私に向かって振り下ろしてくるのだ。痛くて仕方なかったのは最初だけ。今では気持ちよく、四の君にそれをしてもらわなくては夜も眠れなくなってしまうほどの快感なのだ。


しかも知らぬ間に四の君と妹が親しくなっていた。

文のやり取りも頻繁におこなっていて、遂にはは互いの屋敷を訪問するまでの仲になっている。

その結果、母とも親しい関係になっていた!いつの間に!驚きを隠せない。


何故だ!?


原因は源氏の君であった。

そのことを宮中に出仕していた時に知った。いや、四の君の兄である藤の大納言に教えてもらった。


源氏の君と四の君は姉弟のように仲が良く、今まで私と関係していた女人達との仲を裂いていたのは四の君だけでなく源氏の君が多大に協力していたからこその成果であったという。しかも浮気性の私と離縁して自分と婚姻して欲しいとまで源氏の君は宣っていた。

おい!

いつの話だそれは!


どうやら源氏の君が十歳頃の話らしい。

だが、相手は十歳の童。笑って辞退したという。

まあ、無理もない。当時、四の君は十六歳だ。周りも年が離れている(女人の方が年増だ)ので源氏の君に諦めさせた。源氏の君も説得の末、元服して出世してもまだ夫(私だな)が四の君をないがしろにするなら離縁して妻になって欲しいという。四の君も「十年たってまだ源氏の君が独り身なら考えよう」という事で話は終わったという。


現に源氏の君は妹を妻にしているのでその話は自然消滅している。

そんなことがあっても二人の仲は良く、右大臣曰く、「二人の年齢がもう少し近かったら一緒にしてやったのに」と嘆いていたそうだ。

もっとも、藤の大納言を始めとする息子達は猛反対であったそうだが。「あの二人を一緒にさせたら大惨事になる」とか。

なにがあったのだ?

藤の大納言達は口を固く閉ざしていた。

きっと想像できない出来事があったのだろう。知りたいが……恐ろし過ぎて聞けないままだ。




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