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四の君の覚悟 

「今すぐに女を囲い込んでいる別邸を壊します!」


拳を振り上げて宣言する四の君は凛々しく綺麗。

こうして見ると弘徽殿の女御によく似てる。奥さんに欲しいな。浮気男なんて捨ててしまえばいいのに。まてよ?離婚して僕と再婚すればいいんだ!右大臣にお願いしたらいいのかな?



「四の君、それはいけない」


兄上が待ったをかけた。


「何故です?」


「それは犯罪だよ、四の君。賛成出来ない」


どうやら発言と行動が過激すぎるらしい。

確かに、屋敷を壊すのは普通に考えて犯罪だ。こればっかりは如何に右大臣家の姫君といえども罪に問われる案件だ。貴族なんだから犯罪にはならない、キリッ!は意外に通用しなかった。権力者は何をしてもOK!とは法治国家には通用しない……何で平安時代で法律が厳守されてんの!そこは融通を効かせるべきだろ!


「東宮様、確かに褒めらえた事ではありません。ですが、あの女人を野放しにすることは危険です」


「お相手は誰か分かっているのかい?」


「先の三位の中将の息女のようです」


「三位の中将?そういえば……亡き奥方の忘れ形見の娘がいると聞いた事があるね。母親が居ないばかりに随分と内気な性格になってしまったと生前に零していたよ。三位の中将は、一人娘を入内させたかったみたいだけど……御息女の性格上、寵を競う後宮ではやっていけないと早々に判断して婿探しに奔走していたが……。そうか、左近衛の少将が相手だったのか。四の君、今は亡き三位の中将の息女なら大人しい女人だ。寧ろ()()()()()()()()()と父親が嘆いていたほどだ。君が牽制する必要はないと思うよ?」


兄上……詳しい。

親が入内を希望していたなら美人なのは間違いないな。


「ええ。大人しい方なのは知っております」


えっ!?

四の君、相手の性格も知っていたの?

リサーチが凄い。

別れさせないといけない理由でもあるのかな?

  

「何と言いますか……得体が知れないのです」


「四の君、気に入らないからといって襲撃するのは感心しないよ」


「ですが!」


「私は自分の叔母上を罪人にはしたく無いんだ。聞き分けてくれないかい?」  


「~~~~っ。如何に東宮様の御命令でもこればかりはご容赦くださいませ。私の直感が告げているのです。()()()を排除せよと!」


何時になく過激な発言。ステキ。ここで良い処を見せないと男が廃るってもんだ。



「なら僕が何とかするよ!」


「「え?」」








僕は早速、清涼殿に向かったら、昼間っから両親はお盛んだった。

猿か?

比喩ではなく物理で父帝の尻を扇子で引っ張たたいて、許可申請書にサインさせた。


これでお墨付きをもらった!

四の君の安全は確保できたぞ!

イエェ~~~~イ!!!





約一ヶ月後、四の君の方から愛人の元に使者が立て口上で「御覚悟これあるべく候、相当打何月何日参るべく候」と、『うわなりうち』に行く旨を知らせる書状を持っていったのである。




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