深夜の狼藉者達
「今宵、子の刻。畜生共が再びこの屋敷を狙っておる。
我らは向かい打たねばならん!
不埒な輩に正義の鉄槌を下すのだ!北山の聖地を守るのは我らの役目!引いてはならん!我らを敵にしたことを地獄で後悔させてやろうぞ!!!」
「「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」」
狂気の女武士団。
なにが悲しくて夜中にこんなことをしているのかというと、父帝に仕えている男衆が来襲してくるという情報を得たからだ。
「招かざる客がやって来る!覚悟はよいか?!」
「「「「「「はい!」」」」」」
殺気立っている女武士団はヤル気に満ち満ちている。
怖い。
断わられたけど蔵人の中将は姫君を守るつもりで部下に屋敷の周りを固めているけど、これ、僕らいる?
姫君たちで十分いけると思うんだけど。
僧都は兎も角、姫君の母親の尼君は、娘の変貌に強いショックを受けて寝込んでいる状態だ。
姫君は長槍を片手に天高く振り上げた。
「奴らに目にもの見せてくれようぞ!」
「「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」」
木霊する女武士団に恐れをなして奇襲止めてくれないかな?
宮中の恥になるし、犯罪者を出したくないんだよな……。
そんな僕の願いも虚しく『女』を求めてやって来たアホども。
「へへへ。今夜は上手くいくんだろうな?」
「心配するな。こんな夜中に起きている訳がない。以前失敗したのは日が明るかったからだ」
「おいおい、女どもはまた物騒なもん持ち出してくるんじゃないか?」
「威嚇程度が関の山さ!」
「はっ!前なんか怯えまくってたじゃねえか!」
「あ、あれは突然だったからさ!今回は大丈夫だ」
「ははっ。今夜はたっぷりと可愛がってやろうぜ」
「ああ、今夜こそはお目当ての『姫君』とやりたいぜ」
「ここの女房どもは口が堅いからな」
「いいか、『姫君』を見つけたら俺が先にヤルからな」
「分かった分かった。初物はお前に譲ってやるよ。俺は『姫君』が泣き叫ぶ姿が見たいからな」
「「「「「「はははははは、いい趣味だぜ!」」」」」」
下品な会話が垣根の向こうから聞こえてくる。
こいつら本当に両親に仕えているのか?
地下の公卿でももっと上品だぞ?
宮中に仕える公家にしてはどうも妙だな。
胸糞悪いぞ!こいつら!
地下の公卿:昇殿を許されない公卿。




