雀の子と北山の姫君
ひでー現実を聞いた日から、度々、元後涼殿の更衣は父帝の元の通っていた。
いっその事、元後涼殿の更衣を父帝の元の返して、別の、というか、本物の女房と交換した方がいいかも……と思っていた頃に事件が起こった。
「ちゅうきょう、しょれなんなん?(訳:中将、それはなに?)」
「はっ!雀の子でございます」
いや!それは見たらわかる。
なんでお前の肩に乗ってるのかという事だよ。
しかもめっちゃ寛いでないか?この雀。
「ちゃんでちゅれしぇるの?ちょこにいちゃの?(訳:なんで連れてるの?どこにいたの?)」
「この辺りは僧坊と聞いていましたのですが、何故か女人が数多いることが気になりまして、様子を伺っていた処、木から雀の子が落ちてきたのです。かなり弱っていたので、水を食料をやったところ、このように傍にいるようになりまして…まあ、邪魔になる訳ではありませんからそのままにしているのです」
なるほど。
偶々か。な~~~~んだ、ってそんな訳あるか!
雀っていうのはな、中々人間に懐かねぇんだよ!
「ちょれ、ちゃいちゅじゅめちゃない?(訳:それ、飼い雀じゃない?)」
「女人たちが飼っていた雀だと仰るのですか?」
「ちょう!ちゃがちゅでるかも(訳:探してるかも)」
「そうですね。人懐っこい雀ですから。今から返してまいります」
「ぼちゅもゆく!(訳:僕も行く!)」
――僧坊――
僧坊の周りでは確かに女性の声が聞こえてくる。
別の女人禁制では無いからおかしくは無いけど。
でも、尼さんは修行出来ない事になってなかった?ここ。
「徳の高い僧都殿に限って、女人を手元におくなど考えられませんが……人というのは、どれほど徳が高くても人ですからね…『欲望』からは逃れられなかったのでしょう…」
蔵人の中将!
僧都に失礼だよ!
うちの両親のせいで情緒不安定になってんのかも。すまん。
「みーちのもんかも(訳:身内の者かも)」
「あ!確かに、そうかもしれませぬ。早速、しら…「曲者!!!」…」
「なにようでココに参った!庵室に住まう化生の一味か!」
長刀持った勇ましい少女が蔵人の中将の喉元に刃を突き付けた。
でも…化生って。
「あ…いや、私は…」
「昼夜問わず化生の淫らな声が聞こえてきておる!遂に、我が家の女人にも目を付けたか!」
「いや。そんな」
「見苦しい!言い訳は聞きとうない!神妙にせよ!」
随分勇ましい美少女だ。
女武将かな?
蔵人の中将もタジタジだよ。
でも、どうしよ。
説明できない。身内なのは事実だし。う~~~~~~ん。
「なにをしておる!こちらおわすお方をどなたと心得る!畏れ多くも今上帝の御子!尊き身分の皇子ぞ!!!」
僧都の一喝で場はシ~~~~ンと静まり返った。
水戸黄門か!
僕は黄門様か?
印籠は何処に?
何はともあれ事態は収まった。
僧坊:僧尼が居住する寺院付属の坊舎。




