閑話 鳳凰side
人間とは欲深い生き物だ。
この世で最も汚らわしい生き物だ。
私は瑞兆として何千年も人間の世界を見てきた。人という生き物に愛想が尽きるのには十分な時間だ。こんな事を仲間に言うと非難されるがな。
「お前には瑞兆の自覚が足りない」
「慈悲の神獣が何時までも根に持つなどあってはならない事だ」
「大きな心で人の過ちを赦してやるべきだ」
「儚い命の人はそれだけ繊細に出来ている」
「鳳凰……お主、少しばかり執念深いぞ」
色々、言われた。
それはもう色々。
どいつもこいつも……人、人、人。
何で人間の味方をするんだ!
普通は私の味方をするべきだろう!
同じ神獣だぞ!
なのに……。
ふ・ざ・け・る・な!
許してやれ? どう見ても許される範囲を逸脱しているだろう!
慈悲深い神のする事じゃない? ほっとけ!慈悲など尽き果てたわ! 残っている方がどうかしているぞ!?
人間の欲望と残酷さは他の種族を超越している!
そこもこれも白沢の阿保のせいだ!
彼奴が人間に甘い顔をしたせいでこのザマだ。
一万千五百二十にも及ぶ妖異の存在を教えやがった。
ただ教えるだけじゃない。どんな姿形でどんな能力があるかも詳しく教えたのだ。
「君達人間は弱い生き物だ。怪異の存在に食い殺されるかもしれない。私が妖異の知識を授けてあげよう。この知識を未来永劫語り繋げていって欲しい」
時の為政者を随分と気に入ったのだろう。
人に害を及ぼすであろう妖異の存在を余すところなく教えたのだから。
確か名は、こ、黄帝といっていたか?