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閑話 右大臣side

実に目出度い。

孫が「帝」になった。即位式は前例にない目出度いものであった。年甲斐もなく涙を抑えられなかった。孫は「朱雀帝」として即位した。


この雄姿を見て一番喜んでいるのは弘徽殿の女御(長女)である事は間違いない。在りし日の娘の姿が思い出される。


 

「私は必ず国母になってみせます。ですからお父様、ご安心なさってください」


実に頼もしい言葉をかけてくれるのは実の娘。私の初めての子供であり、長女の大姫だ。


姿形が優れている大姫であるが、和歌にも楽にも才があった。頭もすこぶる良い。息子の横で漢文を聞いていただけで完璧に覚えてしまえるほどの頭脳の持ち主でもあった。大姫と他の姉妹達とは少々年齢が離れているせいか、歳近い息子と遊ぶ事が多かった。馬を自在に操り、弓矢も百発百中の腕前。蹴鞠をやらせれば何時までも蹴っていられる。文武両道の自慢の娘。息子がいなければ婿を取って右大臣家を盛り立てたはずだ。あの子(大姫)なら誰が婿であろうとも「大臣」まで出世させる手腕があった。




入内する際の宣言通り、娘は「太后」となった。


喜ばしい事だ。

だが、大姫はいっそ「男子」に生まれた方が良かったのでは?と思う事はままある。それというのも息子達の誰もが気骨がないというか、才がないというか、野心がないというか……今一つなのだ。


大姫を筆頭に娘達は誰もが勝気で才に優れている。負けず嫌いとでもいうべきか……とにかく気の強い娘ばかりだ。当然、夫を尻に敷いている。逆に息子達は見目麗しいのは良いのだが……おっとりしている者が多く、風流をこよなく愛する。


もしや。

もしや、息子と娘が逆であった方が我が右大臣家はもっと繁栄したのではないか?




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