表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/119

桐壺の更衣の評判は最悪


原作クラッシャーだ!と意気込んで二年。

現実の厳しさに直面しております。


なにが厳しいのかって?

それは、僕が思っていた以上に桐壺帝は桐壺の更衣を溺愛してたことだ。悪い方向に。




「最近、御所に狐が増えてしまったようですわね」


「子狐でございましょう」


「狐は狐でも、九つの尻尾を持つ(たぐい)のもの。母狐同様に主上のお傍に侍っているそうですわ」


「まあ!どうりで、最近妙な匂いがすると思っておりましたわ。獣の匂いが……」


「畜生風情が御所を我が物顔で闊歩するとは嘆かわしい」


「いずれ、母狐のように人を堕落に導くのですよ、きっと」


「おお~~~怖い。日夜酒色(しゅしょく)(ふけ)る母狐のようになるのですね。卑しい身の者の考えは、わたくし達には理解の範疇にあるようです」



簾の向こう側の女たちの嫌味が響く響く。

シルエット越しの姿なのにギンギンの目で僕を見ているのが分かる。


どうやら母は九尾(きゅうび)の狐、つまり、妲己(だっき)と揶揄している。

世間では「楊貴妃(ようきひ)」、後宮の女たちには「妲己(だっき)」。

どちらも皇帝の寵愛を欲しいままにして、国を傾かせた「傾国の美女」だ。

特に、妲己(だっき)の場合は本当に国を滅ぼしているから笑えない。

この場合、誰が周の武帝になるんだ?




「卑しいと申せば、母狐は最近“従三位(じゅさんみ)”を強請ったというではありませんか」


「“従三位(じゅさんみ)”ですと?どこまでも厚かましい狐ですこと。更衣の身分では“四位”に上る事も稀ですのに」


「そのお話でしたら立ち消えになりましたわ。太政大臣(だじょうだいじん)が『道理に合わぬ行いだ』と苦言されたそうです」


「流石は太政大臣(だじょうだいじん)です。物の道理を弁えていらっしゃいますわ。かの大臣がおられる限りは主上も滅多な事はなさいますまい」


妖狐(ようこ)の悔しがる姿が目に見えます」



「「「「「「ほほほほほほほほ!!!」」」」」」



こぇ~~~~~。

後宮の女達の悪口は怖過ぎ!



太政大臣:太政官の筆頭長官。朝廷の最高官位。

従三位:更衣の位階は「五位」。稀に「四位」もいる。源氏物語で、桐壺帝は亡くなった桐壺の更衣に従三位を贈ります。追贈であっても異例の措置でしたので、今回も帝は何らかの理由付けをして更衣に位を与えようとしていました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ