音楽の雑談 「君の後ろ姿」
・「君の後ろ姿」
振り返らないことを願うけど
一度も振り返ったことなんてない
君の後ろ姿を見送っている
疑いようもないぐらいに片思いだ
まるで立てかけた箒みたいに
壁にもたれかかりながら、ただ。
君の後ろ姿だけを見送るときだけ
嘘をついていない僕でいられる。
2008年に発表された、槇原敬之、作詞作曲「君の後ろ姿」の一節です。
サビの部分にあたります。
サビですので、この前後にも歌詞は存在しますが、ぶっちゃけ蛇足です。
ここだけを押さえてください。
なぜ蛇足かといえば、前後はなくても意味が通るからです。
今回はこの部分の個人的解釈を、書いていきましょう。
詩の情景としては、片思いをしている人を、駅と思われる場所で見送っているんでしょうね。
さて、皆さんはこの詩をどう受け取られるでしょうか。
私はズバリ「カッコイイ」です。
(。´・ω・)?カッコいいか?
根性無しの男が、好きな相手を見送ってるだけじゃん。
客観的に見ればそうです。
でも、これがカッコいいんですよ。私的には。( ̄▽ ̄)//
まず、「振り返らないことを願っている」
これは、強がりですよね。好きな人には振り返ってもらいたいもんです。
「一度も振り返ったことなんてない」
これは事実です。相手の人は振り返ってくれないんですよ。向こうはこの人のことが、大して好きでないことが分かります。
「君の後ろ姿を見送っている。疑いようもないぐらいに、片思いだ」
瞬きも惜しんで、後姿を凝視しているんでしょうな。相手が好きであると実感しています。
「まるで立てかけた箒みたいに、壁にもたれかかりながら、ただ」
この部分は、自分は箒みたいに無力な存在であると、卑下しているわけですよ。
「君の後ろ姿だけを見送るときだけ、嘘をついていない、僕でいられる」
これは、告白です。いや、宣言ですかね。
これが素直な解釈だと思います。
ではでは、ここから加藤良介的超解釈をしていきましょう。
いつも通り、話半分でお願いします。
出だしの「振り返らないことを願っている」ですが、強がり半分、本当に振り返ってほしくない想い半分でしょう。
はっきり言うと、振り返られると嬉しいけど、迷惑でもあります。迷惑な理由は後程。
「一度も振り返ったことなんてない」これは、事実というよりも、望んだ結果です。願いが叶ったのです。
「君の後ろ姿を見送っている。疑いようもないぐらいに、片思いだ」
ある種の幸せをかみしめています。好きな人がいるということ自体が幸せですから。
「まるで立てかけた箒みたいに、壁にもたれかかりながら、ただ」
段々核心に近づいてまいりました。このパートで大事なのは、箒ではありません。壁にもたれかかっている部分です。
さて、皆さんは、駅の壁にもたれかかることがありますでしょうか。
普通はありませんよね。服が汚れてしまいます。この人は普通でないことをしています。
「君の後ろ姿だけを見送るときだけ、嘘をついていない、僕でいられる」
普段は嘘をついているわけですな。この瞬間だけが真実であると。
要するに、この人はカッコつけているんですよ。
片思いの相手を壁にもたれながら見送っている自分が、カッコイイと思っているんですよ。
この歌は僕の美学について歌っているのです。
振り返られると嬉しいんですがその反面、片思いという美しさが損なわれてしまいます。
振り返られると、相思相愛ということになり、俗っぽくなっちまうんですよ。
別にそれでもいいんですけど、今、この人は、美しさを体現していますから。
だから、振り返るなと願っていますし、事実、相手さんは振り返りません。この人の念力が通じたって事です。世界をコントロールしているのです。
そして、疑いようもないぐらいに、片思いでなくてはならないのです。
疑いは美しさを損ねます。
更に、普通に突っ立って見送るよりも、壁にもたれかかりながら見送る方が様になります。箒には密やかに目立たない様にとの、奥ゆかしが込められています。
そして、この見送っている瞬間が、嘘のない真実の世界だと、宣っておられるのです。
これは、誰から見てカッコいいのかというと、この歌の主人公的に超カッコいいんですよ。
秘めた想いを、この一瞬に開放している「僕」が、カッコいいんです。
一言でいっちまうと、ナルシストですね。
相手の人が好きというよりも、その人の事が好きな自分が「大好き」なんですよ。
これが、僕の美学です。
傍から見たら、まあまあ間抜けですけどね。
実際にやっている人を見たらイラっとするか、何やっとんじゃ(。´・ω・)?。
みたいな視線を送ってしまいそうです。
でも、いいんです。
この人の中では超絶カッコいいんですよ。この瞬間が。
どうですか。この溢れ出る童貞感。最高です。( ̄▽ ̄)//ダサカッコイイ!!
思春期ど真ん中の感覚ですよね。
これをオッサンになっても歌える槇原敬之。
恐るべし。
終わり
最後までお読みいただき、ありがとうござます。
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