猫のお仕事
タマはとてもブサイクな猫です。
にらんでも無いのに潰れたようなブサイクな顔で誰もが嫌な顔をします。
白い体にシミの様な黒い模様があり其れの所為で更に嫌われてます。
鳴き声は聞くに堪えない声です。
其れで誰もが不快で益々嫌われてます。
母は美しい白い猫なのに何故かブサイクに生まれました。
兄弟も美しい猫なのに何故かタマだけがブサイクでした。
ですがタマは優しい心の持ち主です。
ですが誰も其のことに気が付きません。
何故ならタマが醜いからです。
醜いから誰もタマの優しい心に気が付きません。
「やだやだ誰に似たのかしら此の子はブサイクで嫌だわ」
等と我が子を見て嘆く母の言葉にタマは何時も傷ついていました。
「お母さんに似て無いね弟は」
「よその子が紛れ込んだんだろうお母さん」
更に二人の兄たちの蔑んだ言葉に益々タマは傷つきました。
その様な理由で家族と一緒の住処で暮らす事を嫌がられてました。
冷たい風が直に当たる木の下で寒さに震えながらタマは生活をしていました。。
子猫のタマは寂しい思いをしながら一人で暮らしていました。
家族から心無い言葉を受けながら。
タマのお母さんは独り立ちするまでは面倒をみてくれました。
ですがいつもご飯は二人の兄の後でした。
二人兄はお母さんのお乳をお腹いっぱい飲むのでいつも少ししかタマは飲めません。
お腹がちっとも膨れません。
なのでいつも空腹で眠れぬ夜を過ごしました。
そんなある日。
ご飯はお母さんのお乳から虫や小さい動物に変わりました。
小さい動物を御飯にするのは狩りの仕方を教える為です。
いずれ独り立ちするためです。
傷ついたスズメやネズミを前に兄たちは一生懸命に狩りの仕方を覚えます。
ですがタマは其れができません。
なぜならネズミやスズメたちが死にたくないと言ったからです。
「ネコさんネコさんお願いします助けて下さいお礼に美味しいご飯を貰える所を教えるから」
「良いよネズミさん助けてあげる」
助けて欲しいと願うネズミを口でくわえ家族の目の届かない所にはなしてやるタマ。
「ネコさんネコさん美味しいお米を上げるから助けて下さい」
「良いよスズメさん助けてあげる」
傷ついて弱ってるスズメを口で運んで逃がしてあげました。
そんな事を何度もやるのでいつもお腹はすいてました。
ですが助けたネズミやスズメから何度もお礼を言われて心の中は満たされていました。
そんなある日。
ネズミやスズメを逃がしている所を家族に見つかりました。
「あ~~やだやだこの子は~~ご飯を逃がすなんて何て愚かなんだ」
「ご飯を逃がしてお腹を空かせて倒れてもしらないよ」
「いまごろ逃げた御飯たちはお前のような馬鹿をあざ笑ってるだろうね」
家族からの心無い言葉にタマはいつものように傷つきました。
ですが直ぐに立ち直りました。
ネズミやスズメのお礼の言葉を思い出したからです。
涙ながらに話すお礼の言葉に傷ついた心は癒されました。
そうして暫くして独り立ちしたタマは途方にくれました。
狩りができないからです。
狩りをしようとしてもどうしてもできません。
泣きながらお礼をいうネズミとスズメの姿が心に浮かんだからです。
ですがお腹が空くのは我慢できません。
お腹を満たすために草の種や虫を捕まえてたべました。
其れでも足りません。
だから出会った犬にご飯を分けてくれるように頼みました。
「犬さん犬さんご飯をくれませんか?」
「嫌だよ図々しいそれよりお前を食べてやる」
其れどころかタマを追いかけてきました。
捕まえて食べる為に。
恐ろしい思いをして逃げるタマ。
必死の思いで犬から逃げました。
もはやお腹が空きすぎて倒れそうでした。
そうして見上げた空に流れ星がいました。
「流れ星さん流れ星さんお腹が空いたので何か食べ物を下さい」
「断るお前はネコとしての仕事をしてはいないだろうが」
「仕事ですか?」
「働からず者食うべからずだ」
「流れ星さんネコの仕事とは何です?」
「ネズミやスズメを捕まえる事だ」
「そんな可哀そうな事は出来ません」
「だがネズミやスズメを捕まえないと困る者がいる」
「誰ですか?」
「ネズミは何でも沢山食い荒らすからそれを食べてる者が困る」
「そうなんですか?」
「誰かが捕まえないといけないのだ」
「それがネコなんですか何て残酷な」
「なら他の者が飢えて死ねと? そちらが残酷だ」
流れ星の言葉に納得できないタマ。
「ではスズメさんは?」
「米や多くの穀物の種を食べる悪い奴だ」
「そんなまさか」
「いいやお蔭で人間のお百姓さんが困ってる」
「でも人間さんだけですよね?」
「いいや人間だけではない他の者のご飯も奪ってる」
「ですがそんなに多くないでしょう?」
「いいや多いネズミとスズメは数が多いからな」
「そんな馬鹿な」
「だから神さまは増えすぎるネズミとスズメを減らすためにネコをつくられた」
「そんな残酷な事の為にネコはつくられたんですか?」
「そうだ」
おおいに打ちのめされたネコはうずくまる。
ネコの残酷な役割に心を折られたからだ。
暫くして立ち上がると歩きだした。
真実を知ってもお腹は空く。
だからご飯をさがして歩いた。
「ネコよ心が優しいのは確かに美徳だ」
「ありがとうございます流れ星さん」
「だが可哀そうだと言う理由だけで何も考えずその人を助けるのはいけない」
「はい」
そんな言葉を記憶にとどめながらもタマは歩みを止めなかった。
そうして当てもなく歩き続け最後には倒れてしまった。
空腹で動けなくなったからだ。
「もう此処迄か」
その言葉を最後に心優しいタマは息を引き取った。
暫くして沢山のネズミとスズメが現れた。
ネズミやスズメは沢山の食べ物をタマの前に積み重ねていく。
遅すぎたお礼だ。
「ネコさんネコさん御免なさい貴方の優しさに甘えていました」
「貴方のお蔭で再び家族に会えたのに恩を仇で返しました」
ネズミとスズメのすすり泣く声。
沢山の鳴き声が響く。
其れを見た神様はタマを憐れに思い其の魂を天に召し上げた。
天国で幸せに暮らせるように。
タマを慕ったネズミとスズメ達はもう二度と此の様な事が無いよう話し合いをした。
そしてこれからはネコとは一言も話さないと誓ったのだった。
駄作ですみません。