あなたは幼馴染みから恋人になって次は何になるでしょう?
「問題です」
私は大好きな彼にいきなり問題を出す。
「何だよいきなり」
彼はめんどくさそうにしながら携帯電話の画面から私の方へ目を向ける。
今、私は彼の家に来ています。
しかし彼は私の顔を全く見ないで携帯電話の画面ばかり見ていた。
せっかく来たのに。
彼は私より携帯ゲームに夢中。
だから私は問題を彼に出す。
そうすればあなたは携帯を見ないでしょう?
「問題です。私の好きな色は何でしょう?」
「えっ、女子はみんなピンクじゃないの?」
「もう、ちゃんと考えてよ」
「えっと」
彼は目を閉じて考えだした。
「ヒント。昔はあなたと何とかカードを集めてたよね?」
「昔? そういえば昔、レアキャラのカードを君が欲しいって言ってて俺がそのカードが出るまで買ったことがあったけどあのカードの名前がホワイトカードだ」
「思い出してくれた?」
「君の好きな色は白だ」
「違うよ。青だよ」
「何だよさっきのヒントは?」
彼ったらブツブツ文句を言っている。
当てられなくて悔しいみたいね。
「次の問題よ」
「まだあるのか?」
彼はそう言いながらも私の問題にちゃんと耳を向けている。
「私の好きな食べ物は何でしょう?」
「君はいつもチョコレートを食べている時、幸せそうにしてるからチョコレートだ」
「違うよ」
「また違うのか?」
「ヒントはあなたと初めて二人で夏祭りに行った時に食べた物」
「夏祭り? 何回も行ってるから最初なんて覚えてないけど?」
「私が初めてあなたに浴衣姿を見せた日のことよ?」
「その日なら覚えてるよ。君が足にマメができて歩けなくなってすぐに帰ったんだよな? あの日はたこ焼きを買って食べたはず」
「おしいよ。残念。違うよ。チョコバナナだよ」
「だからバレンタインはいつもチョコバナナなんだな?」
彼は納得したようにうなずいていた。
彼はまだ気付かないみたい?
じゃあ最後の問題を出そう。
「最後の問題だよ。私の好きな人は誰でしょう?」
「そんなの分かるに決まってるじゃん」
彼はそう言って私を見つめる。
「あなたの答えを聞く前にヒントよ」
「ヒントなんて聞かなくても分かるって」
「ちゃんと聞いてよ」
「うん」
「私の好きな人は携帯電話の画面ばかり見ないで彼女の顔を見て話して彼女を退屈させない優しい人よ」
「えっ、あっごめん」
「分かってくれた?」
「君の好きな人ってもう、俺じゃないってこと?」
「違うよ」
「俺って全部、不正解?」
「そう。あなたは私のことなんか全然知らないのよ。小さい時からずっと一緒にいるのにね」
「なあ、君の好きな人って誰?」
「違うよって言ったでしょう?」
「俺ってこと?」
「そうだよ。あなた以外に誰がいるの? 青色が好きでチョコバナナが好きでそして私が好きでしょう?」
私はあなたに気付いて欲しかったの。
寂しいよ。
もっと相手してよ。
私はあなたの好きなモノ全てが好きなのにあなたは携帯ゲームばかり。
私、本当はピンクが好きだよ。
たこ焼きが好きだよ。
あなたが大好きだよ。
「本当に君を好きだと思う?」
彼が私に聞いてきた。
もしかして私に仕返ししてるの?
「絶対好きよ。それじゃないと私は泣くからね」
「ごめん。それなら君は泣くことになるよ」
「えっ」
「だって俺は君を愛してるから」
「えっ」
彼の言葉に私は何も言葉を返せなかった。
だって、涙が止まらないから。
ただ私は彼に私もよって言うように何度もうなずいた。
彼はそんな私を抱き締めてくれた。
「君は幼馴染みから恋人になって次は何になるでしょう?」
彼はまた私に問題を出してきた。
この答えは正解しなきゃ。
答えは分かってるの。
でも声が出せない。
泣いているとちゃんと言葉にできないよ。
すると彼は私の背中をトントンと私を落ち着かせるように優しく叩く。
私の涙は止まり、落ち着いていく。
今なら言えるよ。
「あなたの奥さん」
私は彼を見上げて言った。
「正解」
彼はそう言って私にキスをした。
正解したご褒美なのかな?
私はそう思っていたのに彼はこの後、私をまた泣かせたの。
「このキスは俺と君が結婚をする誓いのキスだよ」
読んで頂きありがとうございます。
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