3.42.雷魔法
俺が今使える雷魔法は三つ。
纏雷 雷円陣、感電水だ。
雷円陣は、一定の範囲に雷を流す魔法で、感電水は水魔法との複合魔法。
当たれば勝ちという結構チート臭い攻撃である。
雷自体の攻撃速度が速いので、雷魔法自体がチートと言えばチートなのだが……。
ていうか雷魔法回避する方法とかあるの?
俺知らないんだけど。
初撃でかまされたら回避は難しいだろうな……。
思いつく方法としては、闇魔法で魔力を感知して、どの属性の魔法を撃ってくるか見極めることくらいか。
ん~あんまり現実味ないなぁ。
土魔法とかだったら、電気流すから攻撃逸らすことくらいできるかな。
でも相手が発動する前に使わないと、絶対に間に合わないか。
あ、雷魔法で来るなら、雷魔法で対処すればいいのかも。
……できんのかそんなこと?
んーー……今度ベンツに協力してもらうか……。
雷魔法の対処方法は、誰でも出来るようにしてもらえるようなものを考えるとしよう。
じゃ、とりあえず攻撃魔法考えますか。
ふふふ、実かこれだけは考えていたのです。
その名も……。
『雷狼!』
名前の通り雷の狼だ。
黄色い稲妻で体が形成されており、常にビリビリと電撃が弾けている。
初めて使って見たが、どうやらこれは一匹しか作れないらしい。
常に雷の糸が俺に繋がっていて、一定距離を保っている。
近づけることは可能。
だが、離すことはあまりできないようで、十メートルくらいしか糸は伸ばせない様だ。
予想はしていたが、まさか十メートルくらいしか伸ばせないとは思わなかった。
ベンツならばもう少し長く伸ばせそうではあるが……果たしてやってくれるだろうか。
攻撃魔法に関しては、ベンツはあまり乗り気じゃなかったからな。
雷狼に関しては、威力を確かめる必要はないだろう。
当たれば勝ちのこの魔法。
雷狼は普通に雷魔法を発動させるよりも、電圧が高い。
何ボルトあるかはわからないが、喰らえばひとたまりもないだろう。
とりあえず、出来るという確認は終わったので、雷狼を解除する。
『よし、まずは一つ。次』
俺の持っている雷魔法は、全てが近距離か中距離の魔法だ。
なので遠距離魔法を作りたい。
普通に雷魔法を放てば良いとは思うのだが、何故だかそれが上手く行かないのである。
見当違いの方向に行くのは当たり前で、もし狙った所に当たっても、威力が弱くなったりしてしまうのだ。
であれば、一定距離の範囲攻撃魔法として使えばいいとして、俺は雷円陣を作った。
感電水は中距離魔法で、遠くまでの敵には届かない。
これも雷の糸で自身に繋げている為、威力は保障されているし狙いも正確だ。
だが俺が作りたいのはそれじゃない。
正確に、銃のように真っすぐ飛び、火力のある雷魔法だ。
と、いう事で考えました。
『雷弾!』
雷弾。
雷を一つの玉のようにして凝縮し、それを空中に放つ魔法。
移動速度が遅く、素早い敵には使えない魔法のように思えるが、この魔法は数を作ることが出来る。
俺は一気に十個ほどの雷弾を作り出し、適当な場所に展開した。
フヨフヨと動き続ける雷弾だが、その光は徐々に弱くなっていく。
雷魔法は言わば乾電池。
本体……要するに俺から離れてしまうと、どんどん使われてしまって電気が無くなっていくのだ。
電気を供給し続けないと、萎んで消える。
ではその前に、攻撃を発動させればいい。
俺は一個の雷弾を弾けさせ、小さな電撃の爆発を起こさせる。
すると、他の雷弾も呼応するように爆発し、一瞬だけ雷の糸が全ての雷弾に繋がった。
その雷の糸は網目状になり、その場を埋め尽くさんばかりの光が一瞬だけ起こる。
『んーと、大体三十秒って所か……』
三十秒というのは、俺の体から雷弾が発射されて消えるまでの時間である。
その間に、先程のように雷を爆発……というより弾けさせれば、今の様な攻撃が展開されるようだ。
それだけ分かれば、この魔法は使えないことは無い。
秒数を数、そして雷の糸が繋がる場所を想定して動かないと、自分にもダメージが入ってしまうが、そこは何とかなるだろう。
『ん~とりあえずこんなもんでいいかなぁ~』
ていうか思いつかないのが現状。
ネタをください。
流石にアイデアがないと、魔法なんて作れませんよ……。
でも面白いなこの世界。
自分で考えた魔法が、本当に出来るようになっちゃうんだからなぁ~。
一体何処の神様が俺をこんなところに転生しやがったのかは分からんけど、とりあえず気持ち程度には感謝してますよ。
できれば人間が良かったけどなぁ!
はいっ! 次の魔法にいきまっしょい!




