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3.29.罠を作ろう


 俺は始めに、罠を作るために必要なあの白いロープを回収しに向かった。

 片付けた場所は覚えているので、すぐに回収することが出来たのだが、その量が如何せん多い。

 だが、罠を作るにはこれでちょうどいいだろう。


 もう一本一本数えるのも面倒なので、とりあえず使えそうな分だけを選び抜き、ワープを使って西の縄張りへと白いロープを持っていく。

 間違ってこれが切れてしまうと非常に危ないので、出来るだけ仲間がいない時を狙って罠を作ることにした。


 まずこれの特徴なのだが、伸びない。

 そして、切れると勢いよく縮んで、それがあの見えない攻撃を繰り出す。

 ゴムに似ているが、全く違う性質を持っているので、何とも扱いにくい。

 このロープを作り出せる狼は死んでしまったし、他の仲間はこの魔法についてよく知らないようだった。

 実際に自分で作れれば、こんなものを使わなくても良いのだが。


 だができない物は仕方がない。

 あの狼が残していったこれを、とりあえず有効活用させてもらおう。


 これは設置型の罠になると思うので、とりあえずその辺に投げておくだけでも問題がなさそうだ。

 間違って人間たちがそれを切ったり、踏んづけてくれたりすれば、それだけで発動する。

 切断には弱いみたいなので、冒険者の履いている靴でも切れてしまうだろう。


 この罠で好ましいのは、一本切れたらそれに呼応して他のも切れるような配置にすることだ。

 切れて勢いを持ったロープが、違う所に設置してあるロープを切り、それがまた他のロープを切る。

 これで広範囲の敵をなぎ倒すことが出来るはず。


 威力は普通にあるし、人間に当たれば骨折は容易いだろう。

 そんな攻撃に耐えられた俺ってどうなんだろうとは思ったが、とりあえず何も考えないようにして罠を設置していく。


 長ーい白いロープを持ってきて、木に引っ掛けてぶら下げる。

 たったこれだけなのだが、こいつは見かけによらずに強いので、これだけでも十分な脅威になるだろう。


 ふっふっふ……。

 この攻撃を知ってしまった人間たちは、迂闊に魔法を放つことはできないはずだ……。

 だが、俺たち狼は遠い場所から狙い撃ちが出来る為、この罠に怯える必要はない。

 音も少し大きな動物が走り回っている程度の音量くらいしかでないので、周囲の魔物も時期に帰ってきてくれるだろう。


『よーし、じゃあどんどん設置していきましょうかね!』


 因みに、これを設置しているのは西の縄張りの外である。

 中に設置してしまうと、仲間たちが間違って切ってしまう可能性があるので念のためだ。

 いずれこの区画も縄張りになってしまうだろうけど、そうなった時にはこの罠も全員に伝わっているはず。

 子供たちは此処に近づけさせないよにだけしておけば、後は何の問題もないだろう。


 長ーいロープは木と木に引っ掛け、短いロープはその辺に転がしておく。

 打撃でも切れてしまう弱い素材だ。

 その威力を知っていると、転がっているだけで脅威になる。


 だって俺これ跨ぐの怖いもん。

 爪でちょっと切ったら俺にぶつかって来たもんな……。

 これ本当に怖いからまじで。

 あれが暴れまわると本当に手が付けられない。


『設置するときも結構慎重になるよなぁ……』


 噛み千切ったりするだけでも暴れそうなので、この瞬間が一番怖いのだ。

 とは言え、ロープの中心ではなく先端を咥えていれば問題はない。

 引っ張りにはとても強い素材なので、こうしていれば切れることは無いだろう。


 それからしばらくの間、様々な場所に白いロープを持って行って、罠を仕掛けていった。

 これでまた時間が稼げれば良いのだが……。

 それはその時にならないとわからないな。


『うっし! こんなもんだろ!』


 回収した全ての白いロープを設置し終えた。

 随分と広範囲に仕掛けたものだなと、自分でも感心する。

 これだけの数を仕掛けておけば……絶対に一回は引っ掛かってくれるだろう。


 しっかし疲れたー!

 白いロープが再利用できたのは良かったけど、これ設置するだけで一日終わっちゃったよ。

 ま、切れても片づけは簡単だし、問題はないけど。

 そう言えばあれから何も食べてないや……。

 この辺に獲物はいないから、一回帰ってその辺でなんか狩って来ようかな。


 あ、そうだ。

 地雷電もどこかに一個くらいは仕掛けておきたいんだよね……。

 あれ、結構敵が来た時の合図になるし。

 獲物は逃げるけどね……。


 まぁまたしばらくしたら仕掛けるとしよう。

 あいつらもまだ来ないだろうし、来たのがわかった時にでも仕掛ければそれで大丈夫なはずだ。


『うん、そうしよう。じゃ帰ろっと』


 俺は腹の虫の音を聞きながら、皆の待つ拠点へと帰っていったのだった。


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