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9.9.バルガン先生


 遠くで炎、雷、他にも風や光魔法が使われていた。

 音でなんとなく分かる。

 使用している魔力の匂いでどんな風に使っているのかが分かった。


 俺の鼻もついにここまで利くようになったか。

 なんか不思議な感覚だな。

 分かり過ぎるってのも問題ですねぇ。


 もう匂いで俺のことはバレているだろうけど、遠くから特訓中の子供たちを覗いてみる。

 子供の数は四匹。

 ということはデルタの子供かな。

 メイラムは五匹だっていう話だったしね。


 バルガンもいるみたいだな。

 めっちゃこっち見てるけどどうしよう。


『オール兄ちゃん?』

『むぅ、匂いでバレるからこっそりって訳にはいかんか……』

『いやそもそも隠れる必要あった……?』

『あるんだ。そう、あるんだよ』


 いやそもそも俺の体デカいんだったわ。

 悲しきかな。

 まぁ堂々と行きましょうかね。


 俺がようやくこちらに来る意思を見せた時、バルガンが子供たちに魔法の練習を止めるようにと声をかけた。

 バルガンが座ったのを見て、子供たちは少し離れて座る。


 こいつらとは初対面だからな。

 知らない匂いだろうから警戒されてるのかも。

 でもバルガンとシャロが動じないから、大丈夫だと思ってるのかな。


 俺がそばまで近づいた時、バルガンが声を掛けてくる。


『オール、久しぶりですな』

『ただいま。体はもう大丈夫か?』

『この通り。ただ少し老けましたがな』

『最年長だもんな』


 とはいっても俺たちと再会して一年も経ってないんだから、そんなに老けてはないんだけどね。

 こいつなりの冗談のつもりなのだろうか……。


 まぁそれは置いておいて。

 今はバルガンの後ろで固まってこっちを見ている子供たちのことが気になる。

 俺がそちらを見てみれば、四匹は少し驚いたようにして身を寄せ合った。


 か、体でかいからなぁ……。

 そりゃ怖いよねー。


『ば、バルガン先生……誰ですか……?』

『バルガン先生??』

『いつの間にかそう呼ばれるようになりましたぞ。子供たち、この方がリーダーですぞ。挨拶しなさい』


 バルガンが子供たちにそう言うと、驚いた表情をした後ピシっと背を伸ばす。

 カチコチになってるけど大丈夫だろうか。


『ラディです!』

『ケルマ……』

『レダ!』

『イリスです』

『デルタの子供だな。オールだ』


 可愛いなぁ。

 一番元気な時期なんじゃないかな。

 はぁー、もっと早くこの子たちとご対面したかったのぉー。


 さて、魔法を教えてやりたいが……その前にバルガンのことについて聞いておこう。


『そういえばバルガン。お前いろんな魔法を教えているそうじゃないか。そういう知識なんてあったか?』

『ああ、昔の知識ですな。私めの居た群れには様々な魔法を使う仲間がおりましたので、その使い方を覚えていただけですぞ』

『へー。魔力総量とかも見れるのか?』

『ええ。まぁこれは感覚ですが……。闇魔法を使い続けていると、なんとなく相手の魔力の質、その総量などが分かるのですぞ』

『ああー、俺も分かるな。なるほどねー』


 そういうことであれば、バルガンが数多くの魔法を教えてあげているのは不思議ではないな。

 シャロも話を聞いて納得してるしね。


 んじゃ謎も解けたことだし……。


『たまには俺も魔法を教えてやらないとな』 

『おお、オールが教えるとは意外ですぞ』

『嫌って訳じゃないんだ。ただちょっと火力がなぁ……』

『であれば、魔法の使い方を教えてあげればよいですぞ。魔力コントロールも重要ですからな』


 バルガンの言う通りだが、火力に頼ってきたから最近は新しい魔法を作ったりはしてないんだよなー。

 まぁ仲間たちの魔法は全部使えるようにはしているんだけどね。

 大魔法とかは使えなかったけど。


 よし、じゃあその線で子供たちに魔法を教えるとするか。


『まずは得意な魔法を見せてもらおうかな』

『分かりましたぞ。子供たち、リーダーが魔法を教えてくれるらしいですぞ。得意な魔法を使ってみなさい』

『『『『はいっ!』』』』


 子供たちは一気に立ち上がり、自分の得意な魔法を使い始める。

 威力はやはりまだないが、大きくなっていけば魔力総量も増えるだろうし、戦うには十分なものになっていくだろう。


 だがみたところ、こいつらは一つの魔法にしか適性がないらしいな。

 じゃあ一つを極限まで伸ばす方が良いだろうね。

 よーし、じゃあ教えていきますか!

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