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9.7.久しぶりの本拠地


 ワープゲートをくぐって、久しぶりに本拠地へと戻ってきた。

 懐かしい風景だなぁ……。

 滝の近くに洞窟を作ったから、ここはちょっと寒いね。

 でも日光はしっかり当たってる場所があるから、そこに集まって日向ぼっこをしている仲間が多い。


 あれは……シャロとニアか。

 お、近くにいるのは子供かな?


『! わあ! オール兄ちゃん!!』

『え!? うそっ!』

『んー?』


 おそらく匂いで分かったのだろう。

 丁度風下だったこともあり、日向ぼっこをしていたシャロたちはすぐに気づいたようだ。

 見つけるなり立ち上がり、駆け寄ってくる。


『お帰り!』

『ああ、ただいま。少しの間だが、様子を見に来ようと思ってな』

『そっか! 皆喜ぶよ!』

『……お前はここを指揮してくれたらしいな。メイラムやヴェイルガから聞いたぞ。俺がいない間よくやってくれた』

『へへっ、まぁガンマ兄ちゃんやスルースナーさんの真似をしてただけなんだけどね……』

『真似るのはいいことだぞ。それでできなかったことができるようになるんだからな』


 シャロはスルースナーに懐いていたからな。

 良く狩りのやり方とか、群れの副リーダーとしての動きを見ていたような気がする。

 いやほんとうに、俺がいない間よくやってくれたよ。


 まぁ、俺もほとんどスルースナーに任せっきりだったことは否めないんだけどなぁー。

 本能云々お話は分からないし、その辺はよくベンツとかに助けてもらってたからね。

 ぶっちゃけ俺は方針を決めるだけで、あとはほとんど任せてたかもしれないなぁ。

 なんか今更申し訳なくなってきたんだけど……。


『お父さん、お父さん。誰ー?』

『お前たちは初めてだったね。リーダーのオール兄ちゃんだよ』

『『『リーダー!? でっかー!!』』』


 小さい狼が俺の姿を見ておどおどしていたが、シャロに紹介されて驚いた。

 一番初めに出る言葉がそれってどうなのよ。

 いやまぁ確かに俺はデカいけども!!


『ほら、自己紹介』

『シャリアです!』

『ニックスです!』

『め、メティです……』

『オールだ。いい子じゃないか。これはニアの教育の賜物だな?』

『え!? 俺は!?』

『あははははっ! 確かにシャロは技は教えるけど……こういうのはしてこなかったわね』

『うっ!!』


 図星かよ。

 まぁここをまとめていたんだから、子供たちの方に手が回らなくなるのも分かるけどね。


『オール様。俺は、ラムイムに話を……しに行きます』

『ああ、分かった。またあとで結果を教えてくれ』

『はい』


 メイラムは俺にそう言ってこの場を立ち去った。

 話がうまくいって皆こっちにこれたらいいな。


 さて、新しく産まれた子供たちを見て回るとするか。

 挨拶しとかないとだからね。


『シャロ、悪いがデルタの子供の所に連れて行ってくれないか?』

『いいよ。ニア、子供たちをお願いできる?』

『ええ。いいわよー』


 全員のところにできれば行きたいな。

 マジでここ最近戻ってなかったしね。


 トトトトトッ!

 少し離れた木陰から、小さな足音が聞こえてくる。

 四匹分の足音だということが分かったのだが、俺はあえて聞こえないふりをした。

 子供たちの匂いがしたからだ。


『『『『リーダー!!!!』』』』

『お、久しぶりだな。レリー、ロー、アルーにティー』


 俺に体当たりをしてきた子供たちは四匹で、ラインとレイアの子供だ。

 話によれば父親であるラインにへばりついて離れなかったと聞いていたのだが……。

 まぁいいか。


 こいつらは少し早く産まれてたな。

 物資を取りに来た時に一回顔を合わせているからね。

 覚えていてくれたんだろう。


『デカくなったなぁ~。子供の成長は早い……』

『リーダーお土産は!?』

『あっ』

『『『『リーダー!!?』』』』

『やべぇ忘れてたわ……』


 そういやそんなこと言われてたな……。

 これは拗ねられるぞ~?


 その時、小さな稲妻がこちらに全速力で走ってきた。

 地面を滑りながら急停止したラインが、自分の子供たちを叱る。


『こらお前たち! オール兄ちゃんを困らせるんじゃない!』

『でも約束したもーん!』

『もーん!』

『もーん!』

『もーん!』

『ええい、うるさい!』


 ラインもしっかりお父さんしてるなぁ~。

 微笑ましいわぁ。

 でも良いタイミングで来てくれたな。

 言い争っている間に抜けますかね……。


『シャロ、案内頼むわ』

『うん。まったく、あいつらは……』

『いっつもあんな感じなのか?』

『そういうわけじゃないんだけどね。あの四匹はラインのことが大好きだから、帰ってきたらへばりついて離れないよ。でもオール兄ちゃんが帰ってくるとね。なんかこうなっちゃうんだ』

『……土産目当てで集まって来ているだけかこれ』

『可能性は……あるね』


 おうふ。

 今度からお土産持って帰るの控えようかな。

 ていうか俺がそういう文化を覚えさせてしまったのが原因か。

 ラインには申し訳ないことしたな……。


 外から持ってくる物は、子供たちにとってはいい遊び道具。

 それを俺がお土産と称して沢山あげてた時期があったんだよね。

 誰から聞いて覚えたのかな。

 ウェイスやリッツ辺りが怪しいけど……まぁいいか。


 んじゃ挨拶しに行こうかね。

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[一言] スルースナーの名前が出てくると涙が…
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