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8.9.援軍


『なのなのなのなのー!!』

『う、うわぁ……人間がいっぱいだ……』

『レイ。ちょっと、ちょっと暴れないで?』


 ライドル領に狼の援軍がやって来た。

 それは拠点を新たに作って食料調達をしてももらっていたレイたちだ。


 食料の確保は順調で進み、しばらく狩りをしなくても問題ない程に備蓄があるらしい。

 ということだったので、俺はこいつらを呼び戻したのだ。

 

 えーと、今このライドル領にいる狼たちは……。

 俺とベンツ、ガンマ。

 ベンツの子供のセレナと、ガンマの子供のシグマとラムダ。

 毒魔法に長けたメイラムに、ベンツの弟子的存在のライン、それと一角狼たち。

 さらに追加で来てもらったレイ、ウェイス、ドロの三匹。

 合わせて十八匹の狼がここに居る。


 これだけいればどんな人間が来ても勝てる自信がある。

 まぁ内三匹は戦うことができないが、それでも問題はないだろう。


 一角狼だけで七匹いるんだ。

 それで雷狼を使って十七匹になるんだよ?

 触れただけで人間死んじゃうから、もうチートですよねそれ。

 俺も使えるけど、なんか君たちの個性を奪っちゃいけないと思うので、俺は水狼を使って戦う予定です。

 戦うとしたらだけどね!

 ていうか俺がいなくてももうこいつらだけで戦争勝っちゃうんじゃないかな。


 今攻めてきているのはサニア王国だったな。

 でもアストロア王国の動向も気になるから、少し気をつけておかなければならない。

 絶対この二ヵ国同盟結んで攻めて来るから。

 頼むぞガルザー……お前の情報が頼りだ。


 ああ、ちなみにだけど、人間たちはレイに触れることができないようです。

 まぁそうだよな。

 常に冷気を身に纏っているし、逆に纏ってないとレイは熱中症みたいな症状になって倒れちゃうし。

 唯一触れることができない狼ですね。


 氷魔法特化のレイに、風魔法特化のウェイス。

 沼魔法という新しい魔法を作ったドロの参戦は、大きな戦力増強になっただろう。

 ウェイスは俺の父親に似た魔法を使うからな。

 風魔法適性が二つもあるのだ。

 こいつの風刃は、極めれば俺の複合魔法、風神よりも強いかもしれないな。


 さてと、ついでに食料を持って来てもらったわけだが……。


『結構な量持ってきたな』

『デルタ兄さんがワープゲートを作ってくれたからね。運ぶのはそんなに難しくはなかったよ』

『ああ、そう言えばあいつ、スルースナーを連れて来た時にここに来てたな』


 この場所を覚えて、この三匹の手伝いをしてくれたのだろう。

 向こうでも頑張っているらしいな。

 少し落ち着いたら、俺も一回戻ってあいつらの様子を見ておかなければならないな。

 シャロやバルガンがいるから心配はいらないだろうけどね。


 ああ、その前にこいつらに向こうの様子を聞けばいいじゃないか。


『お前たち。向こうの拠点は今どうなっている?』

『私が説明するの!』


 レイがぴょんと跳ね、俺の前に座った。


『バルガンおじさんがシャロと一緒に群れをまとめてるの。あと子供たちが産まれたのー! 可愛いのー!』

『おお、そうか。それは朗報だな』


 やはりシャロを向こうに戻しておいて正解だったな。

 本当はメイラムとラインも戻してやりたかったが……こいつはこっちに居て欲しい。

 また会わせに行ってやるからな……。


 そういえば何匹になったんだろうか?


『十二匹なの! ニアお姉ちゃんが三匹で、レインお姉ちゃんが四匹。ラムイムさんが五匹だよ!』

『だってよメイラム! 良かったな!』

『む? な、なんのこと、ですか?』


 通りかかったメイラムに、喜びの報告をしておく。

 こいつが喜んでいるところなんて見たことなかったが、子供が無事に生まれたと聞いて薄い笑みをこぼしていたように思う。

 いつもみたいに不気味な感じじゃなかったな。


『名前考えとけよー』

『ラムイムが、名付けてくれる……でしょう。俺は、オール様の元を、離れるわけには……いきませんから。ラムイムも、分かって、くれるはずです』

『んぅー……なんか申し訳ねぇなぁ……』

『それに毒治療の、観察もしたい……ですしね』

『そうか。まぁ戦争が終わったらすぐに帰してやるからな。もう少しだけ待ってくれ』

『はい』


 うん、こいつらのためにも早くこの戦争終わらせてやるからな!!


 とりあえず問題なのはサニア王国か。

 一回全部の兵士を始末しているし、次の増援が来ることは確実だろう。

 あとはアストロア王国。

 こっちはまだ動きがないらしいが、サニア王国が動き出したと同じタイミングで何かしら仕掛けてくる可能性も捨てきれない。


 この辺はしっかし見極めておかないとな。

 敵が攻めて来るとなれば、俺たちの出番だ。

 戦争が終わってからは、ヴァロッドたちの出番となる。

 人間のことは任せる方が良いだろうからな。

 あいつらなら、俺たちのことをしっかりと守ってくれるはずだ。


『あ、そう言えばオール兄ちゃん』

『なんだ? ウェイス』

『面白い魔物がいたから、それ持ってきたんだよ。これなんだけど』


 そう言って、ウェイスは光箱の中から一匹の魔物を引っ張りだした。

 それは小さかったが、硬い鱗を有している蛇のような魔物だ。

 鱗が大きく、全体的にけば立っているような感じがする。


 なんだこれ。

 皮もずいぶん分厚いな……。


『俺の風魔法だと倒せなかったんだ。レイがいなかったら、怪我してたかも』

『拘束系の魔法じゃないと仕留められないのか。物理魔法は効かない……と』

『うん。倒すのに苦労したんだ』

『大活躍だったのぉー!』


 んー、こういうのは魔物とかに詳しい冒険者とかに聞いてみるのがいいかもしれないな。

 ベリルも冒険者やってたみたいだし、あいつに見せれば何かわかるだろう。

 よし、とりあえず持っていくとしますか。


『おっも!』

『あ、やっぱり?』


 闇の糸五本じゃないと持てないってどういう重量だよ……。

 光箱に入れてしまえば軽くなるから、持ち運びは簡単だったんだな。


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