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7.25.相談と準備


 またしばらく平和な時間が続いている。

 貿易商は既に帰り、あの盗人共もしばかれて今では牢獄に入っているはずだ。

 ボッコボコされた挙句監禁されるとは、なんとも不幸な奴らである。


 とはいえ、悪いことをしたら必ずどこかで返ってくるからな。

 いつしっぺ返しが来ても、悪いことしていたなら文句は言えないだろう。


 まぁそれはそれとして……。

 多忙であるはずのヴァロッドが、俺の元を訪ねて来た。

 何の用だろうと話を聞いてみると、どうやら俺たちにお願いがあって来たらしい。

 勿論通訳のベリルも一緒だ。


 とりあえず、話を聞いてみることにする。


「周辺諸国にフェンリルたちの話をしたのだ。すると、是非見てみたいという王族が数人いてな。もし話が上手くいけば、私たちに協力してくれると言っていてな。なのでその時はどうか私の近くにいて欲しいのだ」


 あー、なるほど?

 となると俺たちの存在の見方を変えてくる人間が増えるかもしれないということか。

 そういうことであれば是非協力したい。

 まぁ王族なんてちょっとした護衛がいるくらいで、別に脅威にはならないだろうし、問題はないだろう。


 それに、俺たちとこの領民の関係を認めてくれる大きな力は欲しいところだ。

 流石にずっとこの領地だけで戦って行くのは不可能だろうからな。

 俺たちがいるのであれば問題ないが、未来のためにも必要な事だ。


『いいだろう。何かした方が良いか?』

「ありがとう。そうだな、流石に子供は隠しておいてくれると助かる。お前たちは私たちから見れば魔物だ。なので王族との一定の距離は保っておいて欲しい。それだけしてくれれば、あとは私たちでなんとかするさ」

『それくらいならお安い御用だ。セレナの通訳はいるか?』

「いや、フェンリル。お前が居れば問題ないだろう。会話をすることができることは見せない方が良いだろうからな」

『それもそうか』


 確かにヴァロッドの言う通り、通訳をしてくれるエンリルがいるということと、エンリルと会話ができる少年がいるということは隠しておいた方が良いだろう。

 ベリルやセレナが狙われたりする可能性も増えるしな。


 まぁ流石に王族に子供たちをくれと言われても困るしな。

 そういうことはさせないように、見せないところから始めよう。

 第三拠点はここから離れているし、案内をさせる場所もその反対側で行う様なので、見つかってしまうということはないだろう。


 何かあっても俺の鼻があるし、ベンツの耳もある。

 あとはガンマの鼻で確認してもらえれば、無問題。

 今回のこの作戦は、できれば成功させておきたいところではあるな。


『で、最近はどうなんだ?』

「お前たちに話しても分かるかどうかは知らんが、まずは近場の三ヵ国に話をした。まずテクシオ王国、サニア王国、ベルネゾア王国。その中でお前たちに関心を持ったのはテクシオ王国とサニア王国だ。ベルネゾア王国はどうでも良さそうだったな」

『……何故テクシオ王国に?』

「ちょっとした意地悪だよ。あいつらが逃した宝をこうして自慢しているのさ」

『なるほどな』


 俺たちのことを宝と表現するか。

 悪くないなぁ。


 ま、それはそれとして……もう少し詳しく話を聞きたい。

 テクシオ王国の位置は分かっているが、他の国は全く分からないからな。


「サニア王国は北西、テクシオ王国の手前にある国だな。ベルネゾア王国は北東にある。で、今回はサニア王国の王族が見に来ることになっているんだ」


 サニア王国。

 テクシオ王国の近くにあるだけあって、最近は魔物の出現が以前よりも増えているらしい。

 だが二ヵ国の結束は非常に硬く、今でも助け合って魔物から国を守っているのだとか。


 普通に大きな国の様で、この領地とは比べ物にならない程の兵力がある。

 それに伴い様々な物資の生産に力を入れているので、毎年冬は安全に越せているようだ。

 そこと協力関係を築き上げることができたのであれば、この領地も安泰となるだろう。


 距離的には二週間の時間を有してしまうらしい。

 長い道のりだが、それまでに領地の整備や料理の準備をしておかなければならない。


「料理人はいるのであとは食材だ。それと城壁の外の整備をしたい。すまんが……任せてもいいだろうか?」

『構わないぞ。俺たちでできることは俺たちでやろう。料理とか礼儀とか交渉とかはお前たちに任せる』

「すまないな」

『では俺は道の整備に取り掛かろう。指示を出せる人間をくれ。他の仲間には獲物を取りに行かせるか?』

「ああ、それなんだが、この話は二週間も先の話だ。できれば前日か前々日に狩りをして欲しい。新鮮さが必要なんだ」

『それもそうか』


 俺の無限箱があるが……まぁヴァロッドがそういうのであれば、そうすることにしよう。

 俺たちばかりに頼っているのも良くないからな。


 では仲間たちには普段通りの狩りをしてもらうことにしよう。

 シャロは……っと、そういえばあいつは向こうに帰してしまったんだった。

 次来てくれる奴は力のある奴が良いな。

 それか風魔法を使える奴。


「ありがとう。ではこっちに来てくれるか」

『ああ』


 道の整備は土魔法で簡単にできるので楽勝です。

 ない資材は地面の奥底から持ってくればいいしね。


 じゃー仕事しますかぁ。

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