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7.23.強い闇魔法


 昨日の事件が嘘だったように、シグマとラムダは人間の子供たちと遊んでいる。

 セレナも混じって一緒に遊んでいるが、セレナだけ異様に速い。

 流石ベンツの子供だけあって本気で走ると速いなぁ。


『ところでベンツ』

『なに?』

『セレナに魔法は教えないのか? シグマとラムダも魔法を使いこなしているんだから』

『でもそうすると通訳が居なくなるんじゃないの?』

『それもそうだが、いつまでも魔法が使えないってのはマズいだろう。狩りは一度見せたんだよな?』

『うん。それは大丈夫。後は適性魔法を認識してもらえばいいだけだね』


 となればそんなに難しい話ではない。

 あ、ていうか俺が教えればいいのか。

 通訳係として普段から近くにいてもらっているし、それでも全く問題はないだろう。


『じゃあ俺が教えるか』

『そうしてくれると助かるな。僕はちょっとそういうの苦手だから』

『ガンマもそうだったなぁ……』


 ベンツとガンマは極振りしすぎて何の参考にもならないのだ。

 なのである程度普通に魔法を使いこなせる奴が教えた方がいい。


 こういうのは一番三狐が得意なので、俺と一緒に教えてやるとしよう。

 ただまずは適性魔法を見るところからスタートだけどな。


『じゃ、僕は狩りに行ってくるよ』

『そうか』


 ベンツはそう言うと、すぐに何処かに行ってしまった。

 最近はセレナを監視するということもしなくなったよなぁ。

 いいことだけど。


 よし、じゃあ俺はセレナに魔法を教えましょうかね。


『セーレナー』


 俺に呼ばれてトテトテとやって来た。

 もう少し遊んでいたかったのか、シグマとラムダを気にかけている。

 だがすまんな。

 お前は今日から俺と特訓だ。


『お前に魔法を教える』

『あいっ! ……あい?』

『お、意外か?』

『お父さんから教えてもらうものだと思ってたから、びっくりした』

『そうか。あいつは教えるの下手だから、俺が教える。じゃあまずは目を瞑って……』


 あとは昔と同じ教え方で教えていく。

 エンリルであればどいつでも使用できる風刃をはじめに特訓させて、次に自分の中に眠る適性魔法を見つけさせていった。

 時間はかかってしまうだろうなと思っていたのだが……。


『えいっ』


 ザクッ。


 二度目のお手で小さな傷が地面に付いた。

 明らかに風刃の攻撃跡であり、魔法の発動が上手くいったことを指している。

 中々センスがあるようだな。


 念のために二回ほど風刃を発動させてもらったのだが、どうやらコツを掴んだようでそれも全て成功させていた。

 これなら次のステップに行っても問題ないな。


 だがこれはなかなかできなかったらしい。

 風刃ができれば簡単に見れるものだとは思ったのだが、そういう事ではないようだ。


『魔素を感じ、目を閉じて体の中にある光を見るんだ』

『んん~……? んー? 光……?』

『見えない何かを見るイメージだな』

『…………んー……』


 パリッ。

 セレナの体に、一瞬黄色い稲妻が走った。


 セレナはそれに気が付いてはいないようだが、これは雷魔法だな。

 やはり雷魔法には適性があったか。

 あと一つくらいないのだろうか?

 最近の子供たちは凄いから、二つとか余裕で持ってるもんなぁ。


『……暗いー……何も見えないよ?』

『……暗いか。んー……あ。もしかして闇魔法か』


 闇魔法の適性がある奴は、黒い光として認識できる。

 だが黄色い光が見えないというのは何ともおかしな話だな。

 闇魔法の適性が強すぎて雷魔法の光が見えていないのだろうか?

 そんなことある?


 とりあえず実験してみるかね。

 俺は闇魔法でワープゲートを作り出す。

 これを真似て作ってみてもらおう。


『セレナ。ここから、あそこまでの距離を見ろ。そしてそこに闇魔法でワープゲートをこんな感じに開かせるんだ』

『うん』


 見本を見せてから、距離を指定して発動させてもらう。

 目に見える位置であれば完全に記憶している必要はないため、簡単に使用できるはずだ。


 闇魔法の魔力で、指定位置にワープゲートを発現させるように念じる。

 すると……簡単に出現した。

 だがその大きさが、門くらいに大きかったのだ。


『んん!?』

『おーきいー』


 俺よりでかいんだけど何このワープゲート。

 とりあえずすぐに仕舞わせておく。

 デカすぎだろ何あれ。


 だけど魔法自体は成功しているし、魔法の特訓の区切りはついたということでいいはずだ。

 後は雷魔法を使わせてみたところ、普通に纏雷を使用することができていた。

 完璧なのは良いのだが、やはりあのワープゲートが気になりすぎる……。


『オール様オール様』

『冥か。どうした?』

『セレナなのですが、もしかしたら暗黒魔法と深淵魔法にも適性があるかもしれません』

『ほぉ?』


 まぁあれだけ大きなワープゲートを出現させることができるのだから、それくらいの事は出来てもおかしくはないかもな。

 では暗黒魔法と深淵魔法は冥に教えさせることにしよう。

 こいつらの得意魔法であれば、俺じゃなくてこいつらに教えてもらった方が絶対に良いからな。


 あ、そういえばメイラムにベリルの事聞くの忘れてた。

 魔法の特訓は冥に任せて、ちょっと聞いてくることにするか。

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