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6.15.連れてって!


 俺はそろそろ魔素のない大地の事を調べようと思い、準備をしている最中である。

 準備と言っても誰を連れて行くかを決めるだけなのだが、ここは俺だけの方がよさそうだ。

 背中に乗っけている三狐を降ろし、待機しておくようにと命じておく。


 レイたちの所も気になるのだが、向こうは土狼を待機させてあるのですぐに見ることができる。

 とりあえずちらりと見ておいて、大丈夫そうだという事を確認してから視界共有を切った。

 怪我も無いようなので問題はないだろう。


 食料の問題はもう少し時間が経たないと解決しそうにはないが、まぁ気長に待っておくことにする。

 期待しているぞ。


 向こうのチームの無事も確認したところで、そろそろ調査に向かいたいなと思っている所ではあるのだが……。

 ここで持ってきた問題が発生してしまっていた。


『連れてってー!!』

『いや、だからそれは……』

『ヤダー! 連れてってー!!』


 セレナが俺の周囲をグルグル回りながら、そう訴えて来ていた。

 魔素のない大地に行けば、あの少年とまた会えると思っているようなのだ。

 だが今の自分の体では到底行くことができないので、こうして俺に連れて行ってくれと頼み込んでいる。


 連れて行ってやりたいのは山々なんだけどなぁ……。

 お前を連れて行くとベンツの子供全員連れて行かなきゃいけないんだよ。

 ほら、不平等って良くないじゃん?

 セレナだけ連れて行って貰って、他の三匹はお留守番なんて変な話ではありませんか。


 だから何とかして宥めようとしているのではあるが、どうしても諦める様子が見えない。

 やっぱりあの少年に懐いてしまったのは大きな問題になってしまったようだ。


 うぬぅ……我儘な子供の面倒を見るのって大変だなぁ……。


 勿論セレナの母親であるレスタンも止めようとはしてくれているのだが、どうにもあまり効果が無いようだ。

 何事だと出てきたベンツの言葉でさえも無視する始末。

 どうすればいいの。


 だが、パタパタと動き回っている子供は可愛い。

 転んでも足を動かし続けながら連れて行ってくれとせがんでいるのだ。

 可愛いですよ本当に。


『しかし参ったなぁ……』

『ごめんよ兄ちゃん。こっちは何とかしとくから、行ってきて』

『ああ』


 俺はセレナにもう一度だけ大人しくしていなさい、とだけ言って魔素のない大地へと足を運ぶことにした。

 人間の動向も気になるので、遠くの方までしっかりと調査しておきたい所だ。

 だがこの体だと目立つな……。


 ヴェイルガ連れて行くか。


『ヴェイルガー』

『ここにっ!』

『速い……。なんだ、纏雷修得したのか?』

『雷魔法は全般的に使えますが、ベンツ殿より速くなかっただけです。ちょっとはましになりましたが』

『そうか。ちょっとついてきてくれ。魔素のない大地の調査をする』

『はいっ!』


 こいつには索敵能力があるからな。

 絶対に役に立つはずだ。


 魔素のない大地の果てまで行った後、レーダーを使ってもらって人間の棲んでいる所を把握してもらっておこう。

 あ、だが子供があそこまで来ていたという事は、比較的あの森は安全なのだろうか?

 となるともう少し後方から索敵をしてもらったほうがよさそうだな。


 まぁそれは向こうに行った時に決めることにしよう。

 とりあえず調べることとしては、あの魔素を吸収する花……っていうか草かな?

 そいつの調査である。


『そう言えばヴェイルガ。お前の魔力総量って分かったりするか?』

『え? えーっと……自分ではどれくらいあるか分かるのですが、それを伝えるとなるとなかなか……』

『まぁそりゃそうか』


 こういう時何か数値になるものがあれば良いのになぁ。

 ステータスとかゲームみたいなのないしねこの世界。

 まぁそれが普通なんだろうけど。


 よし、じゃあささっと調べに行くとしますかぁ。 

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