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6.8.発見


 セレナを探して数分。

 ずいぶん遠くまで来たのだが、依然として姿はおろか匂いすらも辿れない状況にあった。


 ベンツの方で見つけてくれていたらいいのだが……あいつも魔力を吸われて活動できなくなっている可能性がある。

 魔素のない大地がここまでの曲者だとは思わなかった。

 満足に探索すらできない。


 俺の魔力はまだあるので問題ないが、着実に吸われつつある。

 量が多いだけあって吸われる量も多い気がするのだが、それは気のせいだと自分に言い聞かせてとにかく早くセレナを探す様に行動した。


 だがいねぇ!

 匂いも全く辿れないじゃないか!

 一体何処にワープさせられてしまったんだ……。


 こんなくだらない事で大切な仲間を失うわけにはいかない。

 とにかく早く、一刻も早く探し出さなければ。


 俺もヴェイルガの様なレーダーを身に付けられればよいと思ったのだが、あれだけは真似できない。

 あの角が電波塔の役割を補っているらしい。

 流石に角は生やせないからな……。

 出来ないことは無いだろうけど、恐らく作り出しても意味がないだろう。


 くっそ、他に何か探す手段は無いのか?

 相変わらずあの植物共は俺の魔力吸って来るし、足場も先ほどより悪くなっている。

 体が大きければ問題ないと思うが、小さな体ではこの辺の壁一つ乗り越える事はできないだろう。


 そう言えばこの植物攻撃したらどうなるんだ?

 俺の魔力返して欲しいんだけど。

 とりあえず軽めの風刃で切り裂いてみることにする。


 ボンッ!!


『うおぅ!?』


 植物を切り裂いた瞬間、それなりの爆発が起きた。

 魔素が一気に噴き出し、それが爆発という現象を引き起こしたのだ。

 匂いで察知する限りそこまで魔力を貯め込んでいなかったというのにこの威力……。

 先ほどの俺の魔力を貯め込んだ植物が爆発したらどうなるのだろうか……。


 だが迂闊だった。

 大きめの音を出してしまった。

 周囲に人間がいない事を祈りつつ、とりあえずここから離れることにする。


 もう少しで魔素のない大地の終点だ。

 ヴェイルガの探知範囲はこの辺までの筈なので、この大地にセレナが飛ばされている事は間違いないのだが……。


『!! 見つけた!!』


 微かな匂いが鼻を衝いた。

 それはセレナの匂いであり、今は全く動いていないらしい。

 だがその周囲に妙な気配も感じられる。


 分かりにくかったが、どうやら小さな魔物がセレナを取り囲んでいるらしい。

 動いていないというより、動けないと言った方が正しいかもしれないな。

 人型の小さな魔物だ。

 ゴブリンとかコボルトとか、そう言った類の生物だという事がここからでもわかる。


 足に力を入れ、身体能力強化の魔法を発動。

 雷魔法で纏雷を纏い、風魔法で体を軽くして飛ぶように走っていく。

 セレナを巻き込むわけにはいかないので途中から減速する必要があるが、持てる最大限の速度を持って接近する。

 地形を把握していないのでワープが使えないのは痛いが、問題ないだろう。


 渾身の力で蹴り飛ばした地面は抉れて大きな音を出してしまったが、致し方ない。

 速攻で駆けつけ、減速して魔物どもに飛び掛かる為に牙をむく。

 匂いで確認しながら走っているが、相手はまだ動く様子はない。


 敵の数は全部で五体。

 どれも小さな小物なので、俺が現場に到着する事さえできれば一掃できるはずだ。

 あんな雑魚にセレナを傷つけさせはしない。


 崖を越えると、下には四匹の魔物とセレナの姿が見えた。

 だがそこで予想外な種族を見てしまうことになる。


 そこには人間の……子供がいたのだった。

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