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1.15.縄張りの見回り

第一章最終回です。


 俺は今、一人で周囲を索敵しながら歩いている。

 いつも見ている風景だが、警戒は緩めない。


 大人になって色々やることが決まっていった。

 まずは狩り。

 狩りが出来るようになり、俺たちは積極的に狩りを始めるようになった。


 一人で狩れるのならば一人で狩り、群れの元へと持っていく。

 一人で狩れない場合は、それを報告して後日、調査してから狩りに行くといった形を取っている。


 流石に何回も狩りに行っていると、獲物を狩るのも慣れてきてしまった。

 俺はすっかり獣に染まってしまっている。

 もう戻れないね!


 それと、縄張りの見回りだ。

 縄張りは結構広く、俺も全部は把握していない程である。


 なので、一匹一匹が担当する場所を決め、広範囲の縄張りを見張っているのだ。

 俺たち三匹が参加したことにより、前よりも縄張りは大きくなったらしい。


 俺は東側担当だ。

 隣の区画には他の狼が居て、何かあれば遠吠えで知らせてくれるようになっている。


 ベンツは基本的に真ん中周辺を見張っており、遠吠えが聞こえたらすぐにでも駆けつけれるように待機しているのだ。

 これは速い足を生かすベンツに任された重要な仕事。


 因みにガンマは俺の区画の隣にいる。

 ガンマは一回、遠吠えじゃなくて地面を叩きつける爆音で仲間を呼んだことがあった。

 俺はそれを忘れないだろう。

 なんせ巻き込まれたからなこんちきしょう。


 まぁ大人になってやっているのはこのくらいだ。 

 今、群れの中で子供を孕んでいるメスがいるので、皆その子たちが生まれるのを心待ちにしている。

 そのためにも、しっかりとそのメスにはご飯を食べてもらわないといけないので、狩りをする俺たちは結構獲物を狩っていた。


 すまん獲物たちよ。

 これも新しい子供のためだ。


 とは言っても、獲物は目で探そうとしても探せるものではない。

 ここで使うのは、嗅覚。

 獲物の匂いを集中して嗅ぎ取っていく。


 この精度は群れの中で一番だ。

 これが唯一、俺が群れで誇れる技。


 匂いから周囲の地形を頭の中で構成していく。

 これももう慣れたもので、匂いだけで地図を作っていくのは簡単になった。


 そして、見つけた。


『……四匹』


 距離からして二キロほどの所に、四匹で水を飲んでいるウサギみたいな生物がいる。

 あれはバニロッド。

 割とすばしっこい奴だが、俺の魔法にかかればそんな奴は息も切らさずに狩ることが出来る。


 身体能力強化の魔法で素早さを底上げ。

 雷魔法を体に纏わせ、その速度をさらに向上させる。

 これは何とかベンツから教えてもらって修得した技だ。

 ベンツよりは全然遅いのだが、それでも使えるまでには練習した。


 次に風魔法で自分に当たるはずの風を払いのける。

 これで風の抵抗はゼロ。

 

 ぐっと足に力を入れて、爆発させるように地面を蹴り飛ばす。

 初速だけはベンツを凌ぐ。

 勢いに任せて足を動かす。

 地面に足を付けている時間より、空中にいる時間の方が遥かに長くなる。

 言ってしまえば超低空飛行しているような感覚だ。


 最低限の動きで木を避け、石をよけ、川を飛び越える。

 相手が俺の匂いに気が付く前に近づく。

 もし気が付かれても問題ない。

 気が付いた時には、もう後に引けない程近づいていればいい話だ。


 地面をもう一度蹴って、飛んでいく。

 獲物を目視できた。

 その瞬間に、一気に近づいて爪で両足を斬り飛ばす。


「ききっ!?」

『ワープ』


 この速度ではいきなり止まることはできない。

 そこで考えたのが闇魔法のワープ。

 勢いを殺さずにワープゲートを作り、前方と獲物の前に出現させる。


 ワープゲートを通った瞬間には、目の前に獲物がいるので、そのまままた両足を斬り飛ばす。

 そこでようやく止まり、残りの二匹を目視する。


 こちらの姿を確認したバニロッドは、全く違う方向へと逃げていく。

 一方を追ってしまうと、確実に一方は逃してしまうだろう。

 だがそんなことはしない。


『雷円陣!』


 雷を自身を中心にして一気に広げていく。

 雷の流れていく速度は非常に速いため、どんなに素早く逃げようとも、バニロッドは逃れることはできない。

 地面を雷が這ってバニロッドに接近し、直撃する。


「キキキキキキキキキキッ」


 バヂヂヂヂッという音を立てて感電し、パタッと倒れる。

 手加減して電撃を放ったため、まだ息はあるのでちゃんと足を斬って逃げられないようにしておく。


 これで四匹。

 それらを一か所に集めて、ワープゲートに放り投げていく。

 ワープゲートは、自分がしっかりと記憶している場所であれば、すぐに送ることが出来る物だ。

 なので、俺もすぐに帰ることが出来る。

 残念ながら、狩場はまだ覚えきれていないので、まだ繋げることはできないが。


『よし、俺も帰ろっ』


 そう思い、大きめのワープゲートを拠点へとつなげる。

 すぐに入って帰ろうと思ったのだが、嗅いだことのない匂いがした。


 なんだ?

 そう思って周囲を見渡してみると……何かがいた。


 その姿は俺たちと同じ狼。

 黒色の狼だが、俺を見て完全に敵意をむき出しにしているという事がよくわかる。


 えっ? えっ?

 お、俺たちと同じ種族……の狼だよなあれ。

 匂いからしてそうだし……っていうか他にもいるのか!?


 そう思い、嗅覚を使って奥の地形と他の狼を探ってみる。

 今目の前にいる狼が辿ってきた道を嗅ぎ取っていくと、まだ数匹こちらに向かってきているのがわかった。


 それに気が付いた瞬間、その狼はバウと吠えて空気の弾丸を飛ばしてきた。

 紙一重で攻撃を回避し、全力で撤退する。


 っとあぶねえぇえええ!?

 不味い不味い不味い!

 今戦ったら面倒くさいことになりそう!

 い、一時撤退だーー!!


 すぐに俺はワープゲートを通って、拠点へと帰る。

 その時も攻撃をされたが、攻撃は外れたようで俺に被弾することは無かった。


 これ……絶対に縄張り争いが始まる!


ここまで読んでくださり有難う御座います。

真打です。


何とか一ヵ月で第一章を投稿しきることが出来ましたー!

第二章ではオートが言っていたように、縄張り争いが始まります。


次回投稿日はキリの良い2020年2月1日です!

すぐですね( oωo)

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