表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/370

5.31.三匹の狐


 急に背中から声が聞こえた。

 それも三匹分だ。

 一体何がいるのかと思い、首を背中に向ける。

 だがいない!


『何だお前ら!? 何処に居る!』

『『『毛の中に居りまする』』』

『ざっけんなこらー!!!』


 全力で体を振るって、背中に乗っているであろう三匹を振り落とす。

 すると、何かが毛の中から飛んでいく感覚が分かった。

 それが三回ほど続いたのを確認した後、そいつらを見る。


 すると、そこには小さな狐がいた。

 赤、緑、黄色という変な色をしており、まるで信号機だ。

 丸っこいフォルムをしているので、団子の様にも見て取れるのだが、食欲はそそられない色をしている。


 全く違う方向に飛んでいった狐は、ササッと集まって俺の方を向く。


『『『何をするのですか!』』』

『こっちのセリフだわボケ! 貴様らいつの間に俺の背中に乗りやがった!』

『『『貴方様が竜巻を起こす直前でございます』』』


 マジかよ。

 全然気が付かなかったんだけど。

 ていうかこいつら一体何なんだ。

 狐っていうことは分かるけど、無駄に息ぴったりだし。

 兄弟か?


『えーと、お前らも山のヌシの座を争ってる一派なの?』

『『『初めはそうでしたが、貴方様を見て諦めました。あんな馬鹿みたいな竜巻を起こせる敵と戦いたくはないのです』』』

『馬鹿みたいは余計だぞコラ』


 まぁ確かにそう言う表現が正しい攻撃だったとは思うけどな。

 あれが一番簡単だったし、殲滅もできた。

 後で掃除しに行かなきゃだけど、それくらい簡単に終わることだ。


 えーと?

 で、こいつらは何で出てきたの。

 戦う意思はないというのは分かったけど……。


『で? お前らは何が目的で俺の前に出てきたの?』

『『『よくぞ聞いてくれました! ですがまずは名前をお教えいたしましょう! とうっ!』』』


 三匹は一度跳躍してから俺の前に立つ。

 すると、赤い狐から話始めた。


『私は天! 気候魔法を得意とする日天狐(ひてんこ)にございます!』

『私は界! 空間魔法を得意とする狭間狐(はざまきつね)でございます!』

『私は冥! 深淵魔法を得意とする闇悪狐(やみあっこ)でございます!』


 一匹一匹が背伸びをしながら、そうやって答える。

 とても自慢げに話しているのだが……その魔法を俺は全く知らない。

 なんだそれ。


『知らない魔法ばかりだな……』

『『『それもそうでしょうそうでしょう。私たちが考えた魔法なのですからっ! へっへっへ』』』

『笑い方気もち悪っ!』


 なんでそんな丸いフォルムから気持ち悪い声が出るんだよ。

 お前ら笑うな黙ってろ。


『『『そして、私たちは貴方様の配下に収まろうかと思っております! お名前をお聞かせくださいませ!』』』

『…………まぁ、戦闘しないで仲間になってくれるってんなら別にいいか。俺はオールだ。他にも仲間がいるが、それでも問題ないのか?』

『『『問題ありません』』』


 なら別に断る必要は全くないな。

 だが、普通は戦ってリーダーの肉を食うのが成り代わりの条件。

 こいつらはそんなことはしない様だ。

 まぁ、ただでさえ数が少ないしなぁ。


 ていうか狐か。

 前世では結構上位の存在として存在していたと思うが、ここではどうなのだろうか。

 知らない魔法ばかり持っているし、もしかしたら結構強いのかもしれない。


 ちょっと魔法でも見せてもらうことにするか。


『俺の知っている魔法の中に、お前らの魔法はない。それ教えてくれないか?』

『『『構いませんが、条件がございます!』』』

『お? なんだ?』


 三匹はお互いの顔を見合わせてから、何度か頷いた。

 そしてもう一度俺の方を向いて、三匹が揃って声を発する。


『『『竜の群れを鎮めて欲しいのです』』』


 俺はこいつらが何を言っているのか全く理解が出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] へっへっへ
[気になる点] 狐が上位の存在……? という言葉が出てきたって事は、オールの転生前は現代世界じゃなく最低でもローファンタジーな世界観かな……?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ