表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
149/370

5.21.春

 外から光が差し込んでくる。

 眩しくて目を開けると、朝日が昇ってきているのが見てとれた。

 まだ朝焼けが少し残っているが、次第にそれもなくなるだろう。


 雪はまだ残っているが、これ以上降るということはなさそうだ。

 まだ朝と夜は寒いため、雪はなかなか溶けない。


 俺が起きると、皆がもぞもぞと起きてきた。


 しかし、冬の間は本当に何もなかった。

 数日に一匹獲物が獲れる程度で、危ないことや、前みたいに魔物の軍勢が押し寄せてくるということもなかったのだ。

 割りと平和だった気がする。


 冬ごもりは……大体三ヶ月くらいだろうか?

 もうあまり日付の感覚がない。


 だが、子供たちは大きくなった。

 シャロたちは完全に幼さが消え、今では俺たちと同じ様な喋り方をする。

 レイたちの体も大きくなり、ようやく魔法もしっかり使いこなすようになってきた。

 いい兆候だ。


 冬の間はずっと魔法の練習をさせていたからな。

 それがよかったのだろう。

 しかし、レイは困ったことに、この春の陽気ですら暑いと言う。

 これは何とかしてあげた方がいいのだが、如何せんその方法が思い付かない。

 冷蔵庫でも作ってみようか。


 完全に雪国にいるような狼の体質になってしまっているな。

 氷魔法って結構使うの危険なのかな?

 そんなことは無いと思うけど……。


 俺は氷魔法を使ってもこの通りぴんぴんしてる。

 炎魔法が使えるか使えないかで別れてくるのだろうか?

 この辺は詳しくないからわからないな。


『しっかし……でかくなったなぁお前ら……』

『それが普通だろー?』

『そうよそうよ』

『いやそうなんだけどさ』

『『ていうかオール兄ちゃんには言われたくない』』


 ごもっともですね。

 大体こう言うと、こんな感じの返しが来る。

 

 一番変わったのは俺だもんなぁ。

 そう言われるのは仕方がない。

 でも能力的には他の奴らも引けを取っていないぞ。


 ガンマはびっくりするくらいの馬鹿力だし、ベンツは光の速度で走り抜ける。

 シャロだって今では炎魔法の使い手だ。

 全員分の肉を焼くことだってできるようになっている。

 器用なもんだ。

 デルタは土で作ったアームの精度が良くなっているし、ニアは光魔法と闇魔法を練習して複合魔法を作ろうとしている。

 成功はまだしていない様だが、諦める気は無い様だ。

 ラインはベンツに追いつこうとして、良くかけっこをしていたな。

 雪の中だというのに、結構な速度が出ていた。

 俺も真似したい。

 レインは水魔法を練習していた。

 まだ水刃の発動速度が遅いので、何とかしようと思案しているようだ。


 シャロたち兄弟はこんな感じで冬を過ごしていた。

 皆魔法に熱心で、自分の使える魔法を勉強しているようだった。


 次はレイたち兄弟。 

 レイは氷魔法で自分の周囲を冷やそうとしていた。

 これは現在進行形でそうなのだが、なかなかうまくいっていない。

 どうしても地面を凍らせてしまう。

 炎魔法を単体で使えたらいいのだろうが、レイは使えないので難儀しているようだ。


 リッツは炎魔法と雷魔法を使うメス狼だ。

 基本的には単発での攻撃を得意としているのだが、どうにも複合魔法が苦手らしい。

 教えたんだけどなぁ……。


 ヒラは魔法の適性が分かってはいたのだが、魔法自体は使う事の出来なかったメスだ。

 だが、今では聖魔法という魔法を使っている。

 俺も初めて知った魔法の種類なので、これで何ができるのかはまだよくわかっていない。

 俺もヒラと同じ様に、光魔法と回復魔法を複合して聖魔法を発動させようと思ったのだが、特に何も起きなかった。

 マジでこの魔法はよく分からん。

 ただ、攻撃魔法ではないという事は確かだろう。

 光魔法が使われているという事は、アンデットには使えると思うが……。

 要検討だな。


 次はオスのバッシュ。

 身体能力強化の魔法と闇魔法を使う。

 初めは単体で使っていたのだが、最近になって複合魔法を使うようになった。

 それを見て驚いた。

 バルガンと似たような魔法を使えるようになっていたのだ。

 バルガンは変毛という毛を操る魔法を得意としていたのだが、バッシュの能力はまさにそれだ。

 だが、全く同じという訳にはいかないようで、毛の一部を変化させることが出来るらしい。

 攻撃より防御に優れていそうだ。


 オスのドロは名前に似合う泥魔法という魔法を編み出した。

 罠や足止めに使うことが出来そうだ。

 単体でも魔法を使うことが出来る様なので、攻撃も問題ない。

 だが、精度はあまり良くない様だ。

 練習あるのみだな。


 最後はウェイス。

 風魔法を二つ使う事の出来るオスだ。

 俺が教えた風魔法を難なく使いこなすことが出来るようになった逸材である。

 一回教えただけで、竜巻や風圧を物にしていた。

 威力はまだ弱いのだが、どうやらウェイスの放つ攻撃には切断効果があるらしい。

 風圧は風を起こして相手を倒す程度の力しか持っていないはずなのだが、練習にそれをさせてみると周囲の木に切り傷が入ったのだ。

 それも結構深い物だ。

 ウェイス自身、それに気が付いていなかったらしく、教えてやると大層驚いて喜んだ。

 俺も出来るようになりたい……。

 風刃とはまた違う物らしいので、ちょっと難しいかもしれないな。


 小さい子供たちはこんな感じで大きくなりました。

 時の流れというのは早い物だ……。

 今でも可愛いけど、やっぱり小さい頃の可愛さの破壊力は違うよなぁ。


 さて、次は入って来た仲間たちを紹介しておこうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もはや目線がパパになってるオール兄ちゃん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ