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5.15.冬


 雪が降って来た。

 まだ本格的な物ではないが、ここは山なので積もるとなれば数メートルを超すかもしれない。

 できる事なら冬に向けて、獲物を狩っておきたいのだが……。

 まぁ、そんな都合よくはいかないよな。


 子供たちは雪が降って嬉しそうにはしゃいではいるが……。

 んー、数が増えれば増えるだけ食料の問題も浮き彫りになってくるもんなぁ。

 俺たち食料作れないし……。

 何かいい方法は無い物かね。


 ていうか此処ってどれくらい雪積もるんだろうか……。

 初めての場所だし、流石にそこまでは分からんよなぁ……。


 あ、でもヴェイルガたちならわかるんじゃないかな。

 あいつらこの辺に暫く住んでいたっぽいし。

 ちょっと聞いてみるか。


『ヴェイルガー』

『はいはい!』


 バリバリッと電気を纏いながら俺の所に走って来た。

 呼んだらすぐに来るんだよなこいつ。

 まぁ有難いからいいけど。


『ヴェイルガはこの辺に住んでどれ位なんだ?』

『んー、仲間とはぐれてここに来たので……二か月くらいですかね!』

『あ、そう……』


 あーそうか。

 そういやそうだったわ……。

 暫くこの辺に住んでたって言っても、一年も住んでいるわけじゃねぇよな。

 忘れてたわ……。


『それがどうかしたんですか?』

『ああ。ここはどれくらい雪が積もるのかなと思ってな』

『雪が積もってるときにここには住んでいなかったので、流石にわからないですねー。でも僕の背よりは積もると思いますよ!』


 それくらい見たらわかるんだよなぁ……。

 ヴェイルガはシャロたちより小さい。

 大体大型犬くらいの大きさだろうか。


 こいつの背丈より高くは積もるだろうな。

 ま、その辺はおいおい考えていけばいいか。

 雪が降ったとしても、やることは変わらないしな。


 すると、シャロが洞窟の中に走って来た。

 それを見て、ヴェイルガは『ゲッ』と言って速攻で逃げる。


『くぉらーー!! ヴェイルガ! 此処では魔法を使うなって言っただろうがー!』

『オール様が僕を呼び立てたのです! 素早くいかなければ失礼でしょうが!』

『そう言う問題じゃない!!』


 ヴェイルガがゲッて言ってる時点で確信犯なんだよなぁ。

 そう言えば、洞窟の中には小さな子供たちもいるから、魔法の使用は全面的に禁止してるんだった。

 シャロは律儀にそのことを守ろうとしているらしい。


 しかし、ヴェイルガは我儘だ。

 結構自分勝手なところがある。

 シャロはそれに怒っているのだろう。


 ていうか、一角狼たちは随分早く皆と仲良くなったな。

 ヴェイルガのあの性格がよかったのだろうか……。


『でらぁ!!』

『グハァッ!?』


 ……あれ、仲良くない?


『おーいシャロー。手加減してやれよー』

『大丈夫! 身体能力強化の魔法は使ってない!』

『うーん、単純火力が高いからねー君ー?』


 どうして身体能力強化の魔法に適性のある狼は、総じて単純火力が高いのだろうか。

 ガンマは昔からそうだったし、シャロも結構力強いんだよなぁ。


 やっぱり魔法はその個体の能力値が反映されるのだろうか。

 こういうの追及して行くと話が終わらなくなるからやめとこう。


 ていうかヴェイルガ一発で伸びたな。

 弱くない?

 まぁ肉弾戦には向いてない体つきしてるもんなぁ……。

 角だけは鋭利そうなのに。


 そうだ、そろそろ子供たちに魔法を教えてあげなければいけないな。

 もう雪降って来たし、これから暫くは襲撃もなくなってくるだろう。

 となるとどうしようかなぁ。

 本当に食料が心配になって来たぞ。


 あんまりスタックもないしなぁ。

 んー……。


『兄ちゃん!』

『うお!? びっくりしたあ! なんだベンツ!』


 ベンツが急に現れた。

 ヴェイルガよりも速いので、パッと出てくると驚いてしまう。

 もう少しゆっくり出てきてほしい。


『大変だ! 魔物の群れがこっち来てる!』

『魔物ぉ?』


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