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5.9.配慮


 とりあえず、全員を住処に案内することにする。

 こいつらの事を他の奴らにも教えておかないといけないからな。


 スルースナーは俺の背中に乗せて移動することにした。

 勿論闇魔法の闇の糸で固定しているので、落ちるという事は無いだろう。

 めっちゃ背中チクチクするんだけど。


 つーか寄生生物ってマジで害悪だな。

 毒は効くらしいから、俺もその魔法欲しいけど……多分俺には出来そうにない。

 これあれでしょ?

 適性がある奴しか使えないとかそう言う奴だよ絶対。


 だけどあれだな。

 七匹とは言え、大人で戦闘経験のある狼が仲間に加わったのは大きいと思うぞ!

 食いぶちも増えるけど、多分ここであれば問題はないだろう。

 今は山のヌシの座を巡って戦闘中だし、お肉は勝手にやってくる。


『……』

『……』

『……おい二匹とも。くっつきすぎ』

『『だって』』


 だってってなんですか……。

 まぁ新しく仲間になったこいつらが怖いんだろうな。

 いきなり知らない奴らが来たら怖いに決まってる。

 とは言え、慣れてもらうしかないんですけどね。


 新しく仲間になった狼たちも、子供からちょっと怖がられているという事は分かっているようなので、一定の距離を保っている様だ。

 最後尾にはガンマを置いている。

 何もないとは思うが、念のためにだ。


 そうこうしていると、住処に辿り着いた。

 今は全員が洞窟の中にいるらしく、ベンツは少しこちらに顔を出して警戒している。


『ベンツー。大丈夫だ。全員連れてきてくれ』

『わ、わかった……』


 ベンツは子供たちを呼ぶために、洞窟の中に入っていく。

 俺が帰って来たことにはしゃいでいた子供たちだったが、知らない狼を見て固まった。

 可愛すぎか。


 小さい子供たちはすぐにベンツの後ろに隠れる。

 これは慣れてもらうのに時間がかかってしまいそうだなぁ。


『とりあえず紹介する。新しく仲間になった奴らだ』

『僕たちと同じ種族なのか。よく見つけたね……』

『運が良かったんだよ』

『で……背中に乗ってるのは何……?』


 あ、ベンツはこいつの事が気になってたのね。

 とりあえずスルースナーを下ろして、寝かせておく。


『こいつはリーダーだ』

『? 生きてるよ……?』

『俺はこいつからリーダーの権利を奪っていない。だが俺の下についてくれた。殺す理由は無いだろう?』

『……なるほどね。兄さんらしい』


 そう言って、ベンツは警戒を解く。

 それにより、仲間になった狼たちもほっとしたようだ。

 だが、子供たちはまだ警戒を解ききってはいない。

 近づくのも躊躇している様だ。


 シャロとデルタも、ベンツの後ろに駆けていく。

 あからさまに嫌がっている様だ……。

 これも仕方がない事なのだろうか……。


『すまんな』

『いえいえ、お気になさらず。こういったことはよくある事です』


 あ、そうなんだ。

 そっちが慣れているなら別にいいんだけど……。

 俺としてはちょっと心苦しいな。

 ま、一緒に生活していたらちょっとずつ心を開いていってくれるだろう。


 俺はアリアたちに子供たちとベンツの事を教えておいた。

 今この群れの中で一番力を有しているのが、俺とベンツとガンマ。

 これは能力的な意味合いではなく、立場的な意味だ。


 その次がスルースナーたち。

 だが、この立場は子供たちが大人になるとひっくり返る。

 今は守ってもらう存在なので、立場的にはそこまで強くないのだ。

 最終的にはスルースナーの群れが俺たちの一番下につくわけだが、それで問題ないらしい。


 これから一緒に生活することにはなるのだが、アリアからの提案で寝るところだけは分けようという話になった。

 これだけ子供たちに警戒されていたら、休むことが出来ないだろう。

 入ってきてくれたばかりなのに、子供たちの事を気遣ってくれたことに俺は少し驚いた。


『配慮痛みいる』

『? 意味は分かりませんが、これでも子持ちでしたので……』


 ……それ深く聞けない奴……。

 とりあえず隣の崖に土魔法で穴掘っとくか……。


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