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4.29.生活拠点


『ヌシはこの辺全てのリーダー格と戦って勝たないとなれないよ』


 土ウサギを使っていたであろう魔物を咥えて帰ってきたベンツが、開口一番そう言った。

 説明することをすっかり忘れていたらしい。

 ご丁寧な説明ありがとございます。


 他にもいろいろ条件があるそうなのだが、基本的にはそれを覚えておけばいいらしい。

 しかし、明らかな体格差や実力差があった場合は、弱い方がすぐに服従してくるのだとか。

 それではそいつらが戦う意味は無いと思ったのだが、低ランク帯の争いも行っているらしい。


 強い奴らは強い奴らで戦いがあるのは当たり前なのだが、弱い奴らは弱い奴らでも戦うんだね。

 ランク付けみたいなのがあるんだろうな……。


 まぁそれは別にいいとして、まずは生活拠点を確保しなければな。

 この辺を探索したベンツなら何か知っているだろう。


『ベンツ、何処かに住処になりそうなところはないか?』

『あるよ。こっち』


 ちゃんと探しておいてくれたようだ。

 では、とりあえずそっちに向かうとしよう。


 その前にヌシ食べるけどな。



 ◆



 ベンツについて行くと、大きな洞窟のある所に出てきた。

 そのすぐ前には小川が流れており、木の密度も濃い。

 洞窟自体も結構広い様だし、外の空間もそれなりにあるので、確かにここは生活の拠点になりそうだ。


『よくこんな所見つけたな』

『まぁさっきのヌシの住処だしね』

『!?』


 お、おうふ。

 まじっすか。

 いや、まぁ使える物は使って行かないとな。

 うん、これは再利用、これは再利用……あまり気にしないようにしよう。


 ていうか中は大丈夫なのか?

 見る限り結構深そうに思えるのだが……。

 まぁ主は殺したし、番さえいなければ多分大丈夫だとは思うんだけど。


 ……俺は奥まで入れそうにないな……。

 俺以外は全員はいることが出来そうだな。

 ベンツに任せるか。


『とりあえず中の確認を任せてもいいか?』

『わかった。でもラインを借りていくよ』

『ええっ!?』


 急に名前を呼ばれてびっくりしているライン。

 まぁそりゃそうだわな。

 子供たちは洞窟の探索なんてしたことは無いだろうし、まさか自分の名前が呼ばれるなんて思ってもいなかったのだろう。


 ま、連れていくのは全然構わないので、俺は小さく頷く。

 だがラインはとても困惑している様だ。


『ええ!? 僕!?』

『そうだよライン。行くよ』

『本当にぃ!?』


 ラインがベンツに突かれながら洞窟に連れていかれている。

 まぁ同じ雷魔法使い同士、何とかなるだろう。


 じゃあ俺は……。

 この洞窟の入り口らへんをおしゃれにしてみますか。

 やっぱりヌシがいた時のまんまで使うのはちょっと抵抗がある。


 さぁどうしようかなぁ~。

 出来れば人工物っぽい感じで綺麗にしたいよな。

 いやでもそれだと浮くか?

 浮くよな絶対却下却下。


 とりあえず、床はまっ平にしよう。

 風魔法でゴミや小石を外に吹き飛ばす。

 それから土魔法でピシッと綺麗な床を作ります。

 本当は奥までしっかりと作りたかったけど、今はベンツとラインが探索中なので待機だ。

 急に床が変わったら驚くもんね。


 次は寝床を作りましょう。

 柔らかい素材があったら良いんだけど、残念ながら俺はそう言う物を作る技能を持っていない。

 なので、土魔法でそれっぽい場所だけ作っておこう。

 また素材が手に入ったら敷いてみることにする。

 多分魔物かなんかがいい素材になるだろう。

 革を敷いてもいいけど、俺処理できないから臭くなりそうだなぁ……。

 また今度考えるか。


 とりあえず内装はこんなもんで終了。

 次は外。

 土魔法でいつでも隠せるようにだけはしておこう。

 まぁこれはイメージするだけ。

 外の壁と全く同じになるようにだけしておく。

 緊急の時は埋めて隠せばいいだろう。


 んーそうだな。

 とりあえず……土魔法で周囲に草木生やしとくか。

 それそれそれそれっ。


 ずももももっと草木を生やしていく。

 この辺りはちょっと緑がなさすぎるのだ。

 特に洞窟の周辺。

 これで少しでも洞窟が隠せれたらいいなという気持ちで草木を盛っていく。


 そろそろ冬だしね。

 できるだけ風が入らないようにしたいわけですよ。

 まぁ皆は俺の毛で暖取るんだろうけどさ?

 よし、完成っ。


 とりあえず適度に草木を生やしておいたので、外観はこれでいいかな。

 洞窟の口がデカすぎるんだよ。

 もう少し小さくてもいいんだよねぇ。

 ま、変になりそうだから今は弄らないけどさ。


『おおー! オール兄ちゃん、火を付けるところは作らないの?』

『ああー……。洞窟だからなぁ。入り口付近だったら大丈夫だぞ』

『じゃあ作ってー!』

『はいはい』


 奥に作ると酸素無くなりそうだしな……。

 まぁここまで洞窟の口がデカかったら、それなりに奥にも作って大丈夫だろうけど、ここは安全を考慮します。

 自滅とか洒落にならん。


 後はおいおい考えよう。

 一年を通して過ごしていけば、何が必要かわかってくるだろう。


『うわあああ!!』

『っとととと!』

『ふべぇ!』


 小さい子供たちが滑ってこけているっ!?

 かっわいい!


 ちょっとつるつるに作り過ぎたか……。

 少しだけ凹凸をつけるとしよう……。


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