4.24.氷魔法
オレンジの光は炎魔法。
水色の光は水魔法。
レイはこの二つしか、光は見えなかったと言っている。
はて、これはどういう事なのだろうか。
氷魔法はやはり複合魔法になるのか?
てなると俺でも使える可能性があるのだが……炎魔法と水魔法でどうやって氷作るんだ?
できる事って精々湯を沸かすことくらいだぞ……。
なんだ?
一体何が違うというのだ……?
『レイ、どうやってそれを発動させるのか教えてくれるか?』
『んー……。喉が渇いたの。それで、水が欲しいなって思ったら冷たいのが出てきたの!』
いや全く分からん!!
ごめん、言葉のキャッチボールはしような?
俺が投げたボール真後ろに投げないで?
お願い。
『もう少し分かりやすく……』
『えー』
えーじゃねぇよ。
何でちょっと嫌そうなんだよ。
ほら、他の子供たちもなんでそんな態度取るのって目で見てんぞ。
もう少ししっかり教えてくれ。
『んんんん……! 初めはちょっと熱かったの。でも熱いのは嫌だったから、冷たくなれって思ったの……。もう説明できないのぉ……』
『熱い? が、冷たくなる……? んー……』
……もしかしてだけど。
炎魔法って、火を扱うだけじゃなくて……温度調整できる?
それで…レイは水魔法にも適性がある。
もし、無意識で水魔法も使っているとすると……。
出来るかもしれない。
俺は子供たちとは逆の方向を向いて、炎魔法と水魔法を使用する。
まずは水魔法を使って水を出す。
だが、その瞬間に炎魔法を使う。
炎魔法を使う時は、ただ火を起こすのではなく、水の温度を全力で下げる為に使用した。
これは意識して行わなければならない。
水を出した瞬間に凍らせるイメージを持って、魔法を発動させた。
すると、ピキピキピキっという音を立てながら、氷の柱が出現した。
水の量で大きさも変わるようではあるが、今回のは少し小さめに作った。
これだけでも、小さい獲物であれば凍り漬けにすることが出来そうだ。
『で、できるもんだな……』
『わぁー! きれーい!』
『おおー! ……寒い……』
確かに寒い。
この魔法、冷気を常に放出することが出来るらしい。
それに従って氷は解けていくようではあるが、速度は遅い。
罠なんかにも使えそうだな。
これは覚えておいてよかった。
レイには感謝しておかないとな。
俺が今まで挑戦して出来なかったことを、解決してくれたのだ。
これでまた、技が増える。
『レイ、凄いじゃないか。これは一番期待できそうだな』
『へへー! レイはすごいの! すごいの!』
『それは氷魔法って言うんだ。初めのうちはなれないかもしれないが、それを極めなさい』
『頑張るのー!』
体は冷たくなってしまっているけど、心は燃えている様だ。
なんとなくこの子の性格が分かったような気がするぞ。
しかしあれだな。
この氷魔法、使うと少し体温が下がるような気がする。
俺は体がでかいし、毛も長いからあまり変化はないのだが、子供にとってこの変動は少し危ないかもしれないな。
俺のいるところで練習させることにするか。
そして、それを見ていた子供たちは、やばいとでも思ったのだろうか。
また一生懸命手を地面に叩きつける。
いい兆候だ。
子供たちが真剣に魔法を習得しようとしてくれている。
これなら、何かあった時でも自衛をすることが出来るだろう。
『うおおおおお!』
『オール兄ちゃんにぃい!』
『褒めてー!』
『貰うんだああああ!』
……。
いや、いい兆候ですね。
うん。




